R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える②

昨夜の計算でリアメインスプリングの考察を進めましたが
大先輩からの提案でもう1仕様追加考察
フロント7kgfmm リア7kgfmmを計算してみます。

HKS Max4 GT-k2H
フロントスプリングレート 7.14kgfmm
ACF 1.08
ホイールレート 6.61kgfmm
走行時バネ上重量 827.01kg
バネ上固有振動数 1.99Hz

リアスプリングレート 7kgfmm
ACF 1.09
ホイールレート 6.42kgfmm
走行時バネ上重量 645.29kg
バネ上固有振動数 2.22Hz
sketch-1593954704298

リアはHKS Max4 GTの7kgfmmのまま、
フロントスプリングをハイパコHC65-10-400(7.14jgfmm)に変更した仕様です。

フロント1.99Hz リア2.22Hzで前後固有振動数の差は0.23Hz
リアスプリングをハイパコ8kgfmmに変更したHKS Max4 GT-kH(0.27Hz)と標準車の0.17Hzの間に入ってきます
現状のNismo S-tune(0.35Hz)に比べて回頭性方向にシフトします

乗り心地の目安となる平均バネ上固有振動数は2.11Hz
フロント スプリングレートを下げた分だけ柔らかい設定になっています。
結構良さそうなバランスですね~

先にフロントを変更でも面白いと思いますが
もうちょいスタビリティ方向に振りたくなった時にリアのレートUPはちょっと勇気が要るかなぁ(笑)

さらに硬めるのぉ?(しんどいのは嫌)ってバイアス掛かりますからねぇ、、、

さて、
昨日まででリアメインスプリングが見えてきたのでフロント メインスプリングを考え始めましたが、、、、
今日までで色々な仕様の数値を出したので一度整理します。

この辺で一度整理しないと仕様毎のイメージが掴みきれなくなるのでイメージマップ作りました
縦軸に「平均バネ上固有振動数(バウンス硬さ)」
横軸に「前後固有振動数差(運動性傾向)」
として地図を作るとこんな感じ
FB_IMG_1593954967030

メーカー系とチューナー系の各グループでの傾向の違いが見えてきます。
これで「自分の現在位置と進路」が見えるから迷子にはならないでしょ♪

セッティングって数値化して現状把握してから求める仕様を計算して実験しないと積み上げにならないんです
データが少ない車だと根本的な方向性すら怪しくなりますから

「峠の先輩が言ってた!」とか
「みんなが使っている」って
結構あやふやで成分確認しないで迂闊に鵜呑みにするとお腹痛くなります(笑)

しかも人間の感覚って凄い一面を持っているけど、
体調や気分によっても評価が変わるので
体感だけで追い込むと
お金がいくらあっても足りません

求める仕様を計算で求め、
実走して感じた事を記録し再考する
そんな地道な作業の積み重ねでしか僕は進めません

で、、、、
このマップを見ながら求める仕様の「ワインディング~小さいサーキット」を考えると

硬さの指標になる「平均バネ上固有振動数(バウンス硬さ)」2~2.3Hzくらいがちょうど良い硬さの目安
ばね上の動きの速さなので「車の持っているリズム感」の指標になります。
だから表現が「硬い柔らかい」じゃなくて
「キツいユルい」の「Tight & Loose」

乗り心地はダンパーの高速側減衰力とストローク量がポイントなので、多少固有振動数が高くてもリカバリーできますので大丈夫

回頭性とスタビリティの関係を表す「前後固有振動数差(運動性傾向)」の選択ですが
僕のオススメは0.3Hz以上
コレにはいくつか理由があって、

①「旋回特性」が自然
凄く抽象的な話になるんですが基本的な部分
4足歩行動物の走る姿と筋肉の付き方を見てみると、
「運動性能が高い動物ほど後ろ足が軸足」
になっているんです。

代表的な凄いヤツを見ると
最速の「チーター君」
・最高速度 100km/h
・前後重量配分はノーズヘビー
・アクティブトルクスプリット4WDで基本駆動軸はリア
・高速旋回中にリアのスリップアングルが大きくなるとフロントへトルクが送られてトラクションを確保
・旋回はフロントで操舵した後にリアのスラスト軸をIn側に向けるアナログ制御の4WS

どこかで聞いた事のあるなぁ、、、

民間仕様の「猫さん」も同じ動きしてますよね、
フローリング廊下の直角コーナーで華麗な4輪ドリフトを見せてくれます。

こんな具合にリアで荷重を支えて旋回力を作ってフロントは従輪として姿勢を作るのは自然な事なんです

バイクのコーナーリングだって
フロントは従輪でリアのキャンバースラストとトラクションで旋回しています
だからウィリーしても曲がれる
フロントタイヤの基本的な仕事はピッチ方向の静安定を作る事とブレーキングです。

コレが逆転してフロント>リアのバランスを持つ乗り物は「不安や危険」を感じます。
体感できるのは
「過積載のトラック」
「極端なセッティングのドリ車」
くらいですね、、、
最近の「速いドリ車」のセッティングってどうなっているんだろ?

②リアのスラスト軸が体感しやすい
車が走っている時に無意識に感じているのがリアのスラスト軸
ドライバーは後輪が進みたがっている方向を感じてステアリングやアクセル&ブレーキの操作して車に意思を伝えます。

特に旋回中はリアがどちらに進みたがっているのかを感じ取る事が重要で、
リアのトラクションが掛かる車ほど「掴みやすい」です。

凄く大雑把な捉え方なんですが、
車ってロール剛性が高い軸に主導権が現れるんです
フロントを硬めればフロントの限界が高くなるのでオーバーステア
リアを硬めれがアンダーステア方向になります。
4輪とも硬めれば限界高くなるでしょ
(もちろん程度問題はあるけど)

単純な理由ですが、
基本特性はアンダーステアに設定しないと乗れたもんじゃないのは当たり前
だから市販車は程度の差はあっても絶対にリアの方が硬くなる

ボディ剛性の作り方もリアを固くフロントは柔らかくなっています。

初代インテグラ Type-Rなんてモノコックの板材の厚み変更してまでもリア周りの剛性上げてますし
E46 M3 CSLはクーペなのにトランクスルー廃止してますから

逆にリアにバルクヘッド(隔壁)を持たず、でっかいリアゲートを持つワゴンは剛性確保できないからリアが苦しい
ちょっと前にツーリングカーで走っていたボルボなんてモノコックの中にパイプフレーム組んじゃったくらいコテンパンに補強されてる

ちょっと脱線しましたが、
リアを硬くするとテキメンに「車の座り」が良くなります
すごく真っ直ぐ走りたがる感触で「安心感」も出ますし

なにより疲労が少ない

体力が有り余っていて元気な頃はちょっと物足りないかもしれないけど、疲れてきたときに大きな差が出ますし
低速域で座りが良い車は高速域でも真っ直ぐ走ります
低速域でチョロつく車は何やってもダメです

ちなみにリアを硬めにしたセッティングを若い子に運転させると
「ダルくて何が良いのかわからない」ってインプレ喰らいます
あくまでも「大人味」なんです

③タウンスピードでも操る感触が楽しめる
「フロントタイヤできっかけを作ってリアタイヤを軸足にして旋回する」って楽しいですよね
車を運転する醍醐味だと思います

「そこいらじゅうでドリフトして曲がれ」って意味じゃなくて、もっと遅い速度でのお話

「フロントタイヤの活かし方」って基本的にはピッチングを使って前後のバランスを崩して効率的に初期旋回させる事で
ドライバーが試行錯誤して楽しむ領分

タウンスピードの旋回でも
「イメージを組み立てて具現化できれば」運転って面白いんです。
そんな面白さを作るのがリアに対してフロントがある程度柔らかい事

ばね上固有振動数が2Hz付近の硬い脚でも、前後のバランスを上手く作るとちゃんと面白さが現れます。
「ちらっと見せる動きの奥深さ」ってヤツを表現できる

傾向として前後固有振動数が近いほどピッチングの動きが感じ取りにくくて、
車が無表情になります。

前後固有振動数の差が0に近いセッティングでタウンスピード域だと
会話無しで勝手に曲がっていきます
気持ち悪いですよ~
それに会話が無いから運転してて飽きちゃうんです

この面白さの表現が上手いのがBMWの脚
僕はコレにハマってずーっと乗り続けて楽しんでます(笑)

こんな具合に前後の固有振動数の差を考えて設定するんですが、、、
「じゃあいくつなんだよ!?」って適正値を探るんですが

僕は前後固有振動数がフロント>リアのセッティングからスタートした幸運(?)の持ち主で
あまりにも動きが気持ち悪くてセッティングを独学で初めて今に至りますが、、、
色々な仕様を考えては実走して、
前後固有振動数の差が0.3Hz以上に”当たり”があると考えています。

「確からしさ」を確認するのに横並べ比較してみると
・ノーマルのE36 M3
・S660 モデューロ(最近インプレで大好評)
・マクラーレンF1(海外サイトで見つけたんで信憑性がイマイチ)

このあたりが0.3Hz差を採用しています。
「大先輩号」のNismo S-tuneも0.35Hzで近似値

こんな具合に比較すると「この辺りのバランス」って気になるでしょ(笑)

って事で、
こんな要素を踏まえながらフロント メインスプリングレートを考えてます。

ブログランキングに参加しています、記事を気に入っていただけましたら
↓クリックしていただけると嬉しく思います。

にほんブログ村 車ブログへ
にほんブログ村

全般ランキング


「R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える②」への2件のフィードバック

  1. お先に業務連絡で、リンクおねがいしマ〜ス。(笑)

    せっかくの4drRですから、テールハッピーな選択肢は無いですよね。
    小生的には、Z軸の位置が気になります。永らくFull Time 4WD乗りだったので、今のE46みたいに車体のど真ん中にある方が性に合います。お尻振る時はだいぶ危なくなってる時ですが。(笑)
    車両のウェイトバランスもあるし、乗り手の好みや使い方もあるし、文字通り「沼」ですねー。

    > E46 M3 CSLはクーペなのにトランクスルー廃止してますから
    小生のE46ツーリングMスポ、リアシートアームレストのラゲッジスルー?廃止されてます。リアシート倒れるのに。(笑)
    Mでなくても、Mスポになるだけでガチできますね、BMW。

    1. は~い! リンク修理いたしましたっ

      第2世代GT-R のサスペンションって各社出揃っているのでデータが豊富なのが良いですね~
      仕様毎に固有振動数を計算して特性をプロットするとメーカーの考え方と現仕様の関係が見えるので
      進むべき方向が決まります。

      狙うはV-spec&Nismo 400Rのバランスでバネ上固有振動数を高めたワインディング仕様です!
      メーカー系チューニング仕様の延長線で仕上げますよ~

      Z軸は基本的には重心位置になるのでBMWより少し前方になりますね!
      今から仕上がりが楽しみです

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です