スプリングの比較

スプリング直接比較

今回のフロントスプリング仕様変更で3種類のスプリングを試す事が出来ました。
3種類のスプリングの緒元を並べてみます。

p1
①SWIFT
自由長 5inch
レート 14kgfmm
有効ストローク 67mm
耐荷重 938㎏
重量 0.94kg
固有振動数 60.82Hz

p2
②X-coil
自由長 125㎜(ほとんど5inch)
レート 14kgfmm
有効ストローク 61mm
耐荷重 854㎏
重量 1.18kg
固有振動数 54.29Hz

p3
③HYPERCO
自由長 5inch
レート 12.5kgfmm(700lbs.)
有効ストローク 74mm
耐荷重 930kg
重量 0.97kg
固有振動数 56.58Hz

これらのスプリングを乗り比べてみると
路面の不正を伝えてくる感触(ある意味ダイレクト感)粗い感触
SWIFT > HYPERCO > X-coil
粗い←ーーーーーー滑らか

固有振動数が高いほど乗り心地が粗く感じ
固有振動数が低いほど乗り心地が滑らかに感じます

大入力時の跳ね感、ストロークした後に弾かれるように伸びる感覚
SWIFT > X-coil > HYPRECO
跳ねる←ーーーー跳ねない

耐荷重が大きくストロークが長いほど奥まで一定の動きでゴムボールを潰すように粘ります
耐荷重が少なくストロークが短いほど突っ張ったり跳ねたり、バネっぽい硬さを感じます

ステアリング入力に対する反応
レート&減衰力が変わってしまっているHYPERCOは参考程度
SWIFT > X-coil > (HYPRECO)
鋭い←ーーーーーー鈍い

多分固有振動数とレートに対する減衰力の影響だと思います。
HYPERCOはレートが12.5kgfmm、レートに対して一定の減衰率で減衰力をあわせたこと、バンプラバーを抜いてストロークを増やした事によりレスポンスに関しては一番不利です。

感想と考察
SWIFT
ダンパーシャフトを見ている分には同じだけストロークしていますが、感触としては14kgfmmってレートを意識させる張りを感じます
いかにも”スポーツサスペンション”って感触です。
この部分はスプリング単体の固有振動数に表れていると思います。
サスペンションを一番速く動かせるので理論上はトラクションは大きくなるはずですが、、、
ヲッサンにはストローク感が早すぎて体力が削られるような気がします(笑)
ダンパーの伸び側高速域をシッカリ出せば使い易くなるのかな?
乗り心地をある程度犠牲にしても軽さを求めるならSWIFTですね
一見素線が細くてストロークが多く見えますが、素線が細く短い(巻が少ない)ので高応力設計で耐荷重が少なくストロークは短め
オーバーストロークに注意して使わないとダメです。

X-coil
SWIFTとは正反対の考えで設計されたスプリングです。
カタログにも「乗り心地重視」を謳うだけの事はあります
SWIFTから交換すると見た目のゴツさとは正反対 乗り心地良いです。
感触はSWIFTで身体が覚えた14kgfmmの感覚とは全く異なり、路面から伝わる振動が半分以下、
硬いけど新品タイヤに履き替えたような滑らかさ
”ストロークに高級感”を感じます

コレがスプリング重量が効いて固有振動数が低く抑えられているスプリングの乗り味なんでしょう
「乗り心地命!」で作るなら絶対的有利なスプリングです。

じゃあ、「振り回すとレスポンスが悪くてダルい動きなのか?」って思われますが、、、
ダンパーの低速側の減衰力を高めればレスポンスは改善出来るので 結構なレベルに仕上がると思います。
「エンドレス」って”いかにもな”チューニングパーツブランドの商品ですが、一番ロードユースに振っていますね
対象年齢が高めで35歳以上って感じでしょうか?

なんだか万能感ありますが、もちろん極端な設計なので割を喰う部分があります。
どうにもならないのがストローク量
太くて長い素線を使って重量を増やし固有振動数を低く抑えて しなやかな乗り心地を作ったので、当然巻数が多くてストロークが短いんです。

今回の比較でもSWIFTより 8mmは短くなっています。
素線長が長い”低応力”設計で大入力時にも跳ねる感覚は少ないのですが、スプリングのストロークを守る為にバンプラバーを追加した分だけ最後の「バンプタッチで止められる感」を感じていました。
(結果的にバンプラバーの耐荷重が増えているので止められ感は穏やかになりましたが)

スプリングストロークに余裕のあるシングルスプリング仕様やシングルスプリング+テンダースプリング仕様でストロークを稼げれば良い結果を作れます。

X-Coilに変更する場合はスプリングの有効ストロークを確認する事が重要です。
スペースの問題で長いスプリングを使えない車両は特に注意です。
(基本的な事ですが、同じ自由長でポン付けでもヤバイかもしれません)

僕のM3は、あと1inch長いスプリングを組めればX-coilで決まりでした、その位好感触のスプリングです

実はフロント トリプルスプリングを廃止して「X-coil 7inchメインスプリング+テンダー仕様」って今でも悩んでいます

HYPERCO
X-coliのストローク不足を解決するために選択したスプリング
世間での評判、価格共に最強のスプリング(笑)
車両の旋回バランス修正の為に14kgfmmから12.5kgfmmにレートを下げたけど、X-coilと比較しても路面から伝わる振動は僅かに増加
レートは下がりましたが素線が細く短く重量が軽くなった(一巻き少ない)事によりX-Coilより固有振動数は高い
この固有振動数差が乗り心地の滑らかさに関っていると思います。

それでもX-coilの乗り心地を知らなければ「滑らかなストローク感」の範疇
他のスプリングから交換したら感嘆に値します。

HYPERCOのスポーツスプリングとして特筆した部分は、やはり豊富なストローク量ですね
高応力スプリング鋼を使ったロングストローク設計,
自由長5inchなのに76㎜もストロークがあるのでX-Coil仕様の時に追加した10㎜のバンプラバーが不要になり
2Gまでの車両運動性に関わるストローク領域は全てスプリングで受け持つ事が可能になります。
旋回Gを与えて深く沈んだ状態でもバンプラバーでストロークを拒んだり、ストローク終末でスプリングレートが上がって突っ張ったり跳ねたりしないで、とにかくタイヤを一定に押し付ける
金属じゃないみたいです。

世間での高評価も理解できます、、、

おおざっぱな商品ポジションは SWIFTとX-Coliの中間 ややX-Coil寄りの感触で、
ストローク量も豊富で耐荷重も高い、固有振動数低めの重いスプリングなので、ストローク量に悩まされず使い易い
ってかHYPERCOでストローク不足、耐荷重不足になるようなら根本的な設計がダメでしょう

ネックになるのは価格くらいな物で、ある意味「究極のオールラウンダー」 非常に上手い設計で
「おぉう!!金ならあるぞ 一番イイ物持って来いっ がははっ!!」って豪快なお買い物にも十分対応可能
試乗したらイチコロですね、こりゃ売れるわ、、、、、
(もちろん車高下げまくってバンプラバーに乗せっぱなしとかは論外ですよ、、、、)

この比較で体感したのが「路面からの振動伝達はスプリングの固有振動数に反比例」重くて遅いスプリングほど滑らかな感触になります。
世間一般で言われている事ですが、
実験してみると笑っちゃう位の体験変化があります。

X-CoilとHYPERCOの比較が良い比較例になっていますね
「低レートで軽い vs 高レートで重い」の比較はスプリング単体の固有振動数が低い方が路面不正をバネ上に伝えにくく滑らかな動きになるって体験が出来ました。
これは直巻スプリングを使ったサスペンションを好みに仕上げるポイントになると思います。

スプリングレートを下げても乗り心地が粗くなるパターンもあり得るって事が新しい発見です

つまり現在の仕様の乗り心地に不満を感じる場合は、レートを変えずにより重い(=固有振動数の低い)スプリングに交換すれば解決できますし
運動性をシャープにしたい場合は軽い(=固有振動数の高い)スプリングに交換すれば解決できます。
もちろんスプリングを収めるスペースとスプリング対ダンパーストロークに余裕が有れば自由長変更する事により調整幅が広がります。

また、車両の旋回バランスを修正する場合は前後のスプリングレート(バネ上固有振動数)を変更すれば旋回特性を変更する事が可能です。

これらのセッティング幅の広さが直巻きスプリングを使用するサスペンションの最大の利点ですね

なんとなくスプリング選択方法のイメージが固まってきました♪

スプリングでここまで詰めれるなら、
「街乗りが苦手と言われる単筒高圧ダンパーに固有振動数を低く抑えた滑らかなスプリングを組めばどんな世界が見れるのか?」

う~ん、、、気になる
でもコレって絶対に「パンドラの箱」もしくは「週刊誌の袋とじ」だよなぁ、、、(笑)

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「スプリングの比較」への2件のフィードバック

  1. はじめまして、いつも拝読させていただいております。少しご質問なんですがスプリング単体での固有振動数はどのような方程式で求められますか?ぜひご教示お願い致します。

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