競技9日目 一発勝負のUnknown

昨日に引き続き、朝からAdvancedクラスのFreeの競技が始まります。
残り9名なので、午前中にはFreeが終わり
午後からはUnknown
このUnknown文字通り「不明」のシーケンスで、
各チームからフィギュアを出し合い、提出されたフィギュアを組み合わせてUnknownシーケンスとなります。
つまり、KnownやFreeと違って一切の練習飛行が出来ません。
与えられたシーケンスをどの様に飛ぶかを考え、イメージトレーニングのみで挑む「一発勝負!!」

時間とお金が許す限り反復練習が出来るKnownとFreeが「サーキット走行」なら
Unknownは歩いて下見&一発勝負のまさに「ジムカーナ」ですね♪
「基本的な技術」と「引出しの数」が勝負になる本当の意味での実力勝負です。

で、、、、これが実に面白いです♪

昨年は飛んだ事の無いフィギュアばかりでボロボロにされましたが、
普段のトレーニングで、Unknown対策として苦手な背面系フィギュアをいくつか練習しておいたので
去年よりは少しは上達しているはず!!

今年は、意地でもコンプリートを狙います。

で、、、公開されたUnknownシーケンス がコレ
1
順番に見ていくと
①1/2ロール+6/8ループ+1/4アウトサイドループ
1/2ロールで背面に入れて下向きにループを描いて垂直上昇
垂直ラインを作って、操縦桿を押し込み1/4の背面ループで水平飛行
昨年のポーランド選手権でボロボロにされたフィギュア、、、リベンジです

②45°Downline+6/8ループ+1/2ロール+45°UP
水平飛行から45°で降下 6/8ループで45°背面降下へ
1/2ロールで45°降下後に水平飛行に引き起こし

③7/8チャイニーズループ
ループの頂点でロールを入れる”チャイニーズループ”
今回は45°降下後に水平飛行に引き起こし

④1/4ループ+1/2アウトサイドループ+DownLine1/4ロール
水平飛行から1/4ループで垂直まで引き起こして、即操縦桿を押し込んで1/2背面ループで垂直降下
垂直降下で1/4ロールでX軸へ

⑤45°UP+3/8アウトサイドループ+DownLine1/4ロール
水平飛行から45°上昇姿勢、Lineを作ってから3/8背面ループで垂直降下
垂直降下で1/4ロールでX軸へ
僕が提出したフィギュアです♪

⑥エルロンロール;キューバンエイト
水平飛行からエルロンロール1回転、続けて5/8ループで45°背面降下
加速後に1/2ロールで45°降下姿勢から水平飛行へ

⑦4ポイントロール
最後の〆に90°毎に止める4ポイントロール

搭乗順番は14番目、午後遅くのフライトになりそうです。

p5

地上での機体ハンドリングを手伝いながら、他の選手のフライトを観察
Unknownシーケンスなので他の選手のフライトを見て、自分のイメージを修正していきます。
p2

特に気になったのがNo.4フィギュアの1/4ループから1/2背面ループの「繋ぎ」の部分
フィギュアを見るとこの「繋ぎ」の部分には直線ラインが存在しないのでループを描く曲線でつながなければなりません
つまり普通のループから一気に背面ループに持ち込む、+4Gから-4GへGを入れ替えます
他の選手を見ていると、「繋ぎ」の部分が少し緩い、、、
マクラさんからのアドバイスも「ここだけは特別!!6Gで引き起こして、一気に操縦桿を押し込んで背面ループ ダイナミックにイケ!!」との事
p3

夕方になって、いよいよ僕の搭乗順、
イメージフライトを繰り返して、シーケンスを頭と身体に染み込ませる
計器盤の中央にはシーケンスカードと呼ばれる、縮小版を張り付けてシーケンスを確認しながら飛ぶんですが

p8
(計器の上に貼り付けられているシーケンスカード)

どうも、これが苦手、、、

機体の姿勢を確認したり、高度計、速度計、Gメーターをチェックしたりで忙しくて、なかなかシーケンスカードに目が行きません
グライダーはエネルギーが限られているので、フィギュア数が10~13個程度なので、記憶のみで飛べちゃうので何とかなりますが、、、
(記憶だけで飛ぶからフィギュアをすっ飛ばすなんてミスをしちゃうんですが)
なるべく早くシーケンスカードを確認する事を習慣付けなきゃマズイですね

ポーランドチームのみんなに「行ってこい!!」と励まされて最後の競技へ

またもポジション取りに苦しみ、思った以上にジャッジ席側に寄ってしまう、、、
No.1フィギュアは昨年のポーランド選手権で失敗したフィギュア
背面に入れて下向きにループを描いて、真下で250km/hになるようにループをアジャスト
位置エネルギーを持てる限りの速度エネルギーに変換して垂直上昇、
機首を垂直に立てると重力に引かれて速度が一気に失われるので、水平飛行を維持できるように一瞬だけラインを作って操縦桿を押し込み
機首を下げて水平飛行へ、、、
失速速度ギリギリでなんとか水平ラインを作れた、、、

No。2~3までは特に大きなミスを誘発するフィギュアではないので、ポジションを見ながら慎重に飛ぶ

N0.3フィギュア出口の45°降下で十分に加速して、例のNo.4フィギュアへ
BOXの端が近いので水平で一呼吸入れて、一気に6Gで垂直めがけて引き起こし
ちょっとオーバーアクション気味になるけど、垂直を僅かに超えた姿勢から、強めに操縦桿を押し込んで、動きを強調
6Gでシートに押し付けられていた身体が-4Gを受けてハーネスに釣られる
このまま押し込むと十分に減速できないまま垂直降下に入るので、押し込んでいた操縦桿を僅かに緩めてループ半径を大きくして減速

静かに垂直降下に持ち込んで自分のポジションを確認すると
BOXのセンターに居る!!

45°UPで昇ると高度=前進距離+追い風成分で300m位は進んじゃう
250km/hは秒速70mだから2秒飛んだら140m
BOXの端まで500m未満なので次のフィギュアでOut of BOX(空域逸脱)しちゃう!!

飛ぶ前にフィギュア毎の必要な距離を計算しておいたので、とにかく飛び出す事だけは認識
減点承知でリカバリーするには45°以上に引き起こして行き足を止めるしかない
ジャッジ正面でかつ頭上に近いので角度は見えにくいはず、、、

No,5フィギュアを50°近い角度で昇り、チョット早めのタイミングで操縦桿を押し込み垂直降下へ
垂直降下中にポジションを確認すると
「うわぁ、、、、ジャッジ席の真上、しかもBOXライン上、、、」
1/4ロールで軸を変えるときにわずかにズラしてBOX内に戻るしかない、、、
垂直降下から引き起こしてNo.6フィギュアへ

No.6フィギュアのエルロンロールから1/2キューバンを回り45°背面姿勢でポジションを見ると
なんとかBOX内にギリギリ入っているかどうか、、、、

最後の4ポイントロールも距離を喰うので、直観的にBOXの端を感じる
4ポイントロールが終わるや、速攻で翼を振ってシーケンス完了を宣言!!

いやぁ、、、苦しい、、、
最後まで満足なポジション取りが出来なかった、、、
悔しいけれどコレが今の実力です。
来年までの宿題として日本に持ち帰りましょ

p6
Unknownに挑む緊張気味のミューレックとマッタリしているカーシャ(笑)

夕方に発表されたUnknownのスコアは
1089.86点 66.05%

このUnknownで競技終了、
明日の午後には表彰式と閉会式
天候に翻弄された世界選手権の終焉です。