ポーランド選手権 1日目

夜が明けて、いよいよポーランド選手権が始まりました。
今年の選手権はポーランド各地から選手が集まり、参加17名、昨年度の2倍以上のエントリーです。
ところが、、、ここにきて天候が悪化 雲が低く競技に必要な高度まで昇れません
朝のブリーフィングで天候回復までスタンバイの指示

この時間は助かりました。
今朝到着したSoloFOXを組み立てて各部を点検
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本音はこの時間で慣熟フライトしたけど、競技が始まっているので練習できません。
ポズナンで撮影した動画を見ながらイメージトレーニング程度しかできません

まぁ、いまさら1~2回練習してもさして変わりませんって。。。

午後になってくると次第に天候が変化
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雲底高度が上がり雲の隙間が広がってきて、競技開始
とは言っても、、、視程は悪いしタイミングが悪いと雲がBOX(競技空域)の中に流れてきます
僕の搭乗順は4番目
天候だけは運任せ、、、

先の4人が終わり、いよいよ僕の番
曳航機に曳かれて1300m上空へ昇って競技開始

前半のスピン テールスライド ハンプティバンプ ハンマーヘッド チャイニーズループは上出来
チャイニーズループから5/8ループでポジションが悪い事に気が付きミス
背面で45度の角度で降下するところが角度が浅くなり十分に加速できず、
230~250km/hまで加速する予定が200km/hで背面飛行に入ってしまう。
背面旋回中に加速させてリカバリーするも
次の2/4ロール(90°毎に止める4ポイントロールで背面から戻る)もキレが甘い
大崩れはなかったけど、後半の崩れとOut of BOX(空域逸脱)をどこまで誤魔化せたか、、、

僕のフライトが終わり他の選手のフライトが進むにつれ次第に天候が悪化
10人を消化したところで、またもや競技中断
速めの搭乗順でラッキーでした!!

フライトが終われば宿舎に帰ってシャワーを浴びてノンビリ明日の作戦を考えるかと思いきや、、、
やっぱりお約束のビールのお誘い
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みんなで部屋に集まってソーセージやハム&チーズを持ち寄りライトビアーで乾杯!!
ちょっとした宴会になってるのは気のせいです(笑)
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ヤッてくれるじゃないかっ!!

フライトの合間のおやつにハッピーターンを持って行ったんですが、
カーシャが目敏く見つけて「これは何味?」って興味シンシン
アミノ酸による旨味成分を、、、なんて難しい事は答えられないから、とりあえずお試しに封を切って
まぁ、挑戦してみてよ♪

その後すっかり忘れてポリーナと飛んで帰ってきたら、、、

ハッピーターン からっぽ、、、(涙)
隙を見せたのが間違いだったか、、、orz

ふと周りを見ると一緒に飛んでいたポリーナちゃん以外は自然と車から離れていく、、、
「俺のせんべいどこだ?」
って聞いたらさぁ~っと逃げ出す。
逃げ遅れたトメックを逮捕して尋問したら、、、

「美味しくって止まらなかった。。。」

マクダはしれっと「もうないのか?」なんて聞いてくるし
カーシャまで「ポケットにいくつか突っ込んで、気がついたら食べちゃった」なんて言ってる

ぬおーーーっ この恨み忘れんぞォ~


チェンストホヴァで空域慣熟

到着翌日、
朝からブリーフィング
滑空場と競技空域の確認、着陸進入経路の確認をして、フライト準備開始

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早速トレーラーからSWIFTを降ろして組立て、、、30分ほどで準備完了

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FOXはチェンストホヴァ所有機をレンタルするので格納庫から引っ張り出して離陸前点検、

僕の乗るSoloFOXは、、、まだ到着してない!!
どうやらマクラさんが急な予定が入って到着が遅れている様子、、、うーん困った
ここにきてSoloFOXに乗れないのは少々きついですが、到着してなきゃどうにもならない
明日の朝には到着する予定なので、複座のFOXを使って空域確認です。

機体の準備が終わってフライト開始、
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一人2回程度の空域確認と練習が出来るみたいです。

運航のお手伝いをしながら地上目標やフィールドを確認
しかし、、、むちゃくちゃ広いなぁ、、、
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他の機体の離陸と重なって、ちょっと気を使って離れたところに降りちゃうと、、、
スゲー遠いんですけど、、

搭乗順が近くなってきたところで、ポリーナちゃんからちょっとした提案が、
「複座のFOXだからお互いの後席に乗れば二人で4回空域確認できるでしょ♪」
ナイスアイディア♪ もちろん断る理由なんてありません

ポリーナちゃんは今年からアクロトレーニングを始めたばかりで、まだ20回程、ちょうど僕の3年前位ですね
この練習回数で選手権に出て実戦経験を積ませるのが凄いですね、、、
僕の最初の選手権は100回程飛んだ後でしたから

空域慣熟フライトは最初は僕が先に飛んでポリーナちゃんは空域確認に徹する事に、

小雨がパラつく空、BOXと空域を確認したらFreeシーケンス崩れの練習フライト
せっかく後席に乗って一緒に飛ぶなら、参考に出来る事は何でも持って行って欲しいです、
前席と後席を入れ替えながら合計4回飛んで、空域確認とポリーナちゃんにいくつかのアドバイス

確認したBOX(競技空域)は滑空場の北側の道を基準としていて、最大のランドマークになる
滑走路や誘導路とはオフセットした位置関係、
競技中に嫌でも見えてくる滑走路や誘導路に気を取られると、無意識に引っ張られてBOX内での軸がズレちゃいます。
ちょっと難しいなぁ、、、

明日からいよいよポーランド選手権が始まります。


選手権会場へ移動!!

約一週間のトレーニングキャンプも終わり、いよいよポーランド選手権が近づいてきます。

今年のポーランド選手権は、ワルシャワの南南西の町、チェンストホヴァ
ポーランド最大のカトリック教会「ヤスナ グラ修道院」」の町です。
Solo FOXはマクラさんが先にトレーラーで運んだので、僕が乗る車はSWIFTのトレーラーを曳いていきます。
移動距離は約350km 高速道路を使って4時間程ですね

今年の移動の脚は「VW T5 3,2 4mothon」
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VWお得意の狭角V6 3.2Lガソリン しかも4輪駆動のMT
昨年のレンジローバーディフェンダーとは比べモノにならない程快適です♪

この車、日本に輸入される予定だったらしいですが、VWジャパンの都合で輸入中止、平行輸入車がわずかに入っているだけの
日本では馴染みが薄い車ですが。

良いですね!! 

お買い物に行くのに乗り回してましたが、ロングホイールベースに4輪駆動、3.2Lエンジンは2tを超える車重でもストレスを感じません
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高速道路なんて超快適♪ 重い車重も相まって140km/hでも4WDの高トラクションでビシッと安定
操る面白さは全くありませんが、完全な高速クルーザーです!!
ここまでクルーザーしているとトルクで走る巡航が気持ち良いです。

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1トン近いトレーラーも楽々と曳いて一気に高速移動、

途中、給油と小休憩を挟んでグライダーの固定を確認
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このT5の後席に揺られて車窓を楽しみ、歌って騒いでお菓子を回して、ジュースを評価して遠足を満喫していると、、、

あっという間に到着
チェンストホヴァでの暮らしはホテルをキャンセルして滑空場の宿舎の5人部屋での共同生活
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洗濯機が無くて手洗いだったり、時々シャワーが壊れて冷水になって叫び声が聞こえたりしますが

高校時代の寮生活を思い出します。


Solo FOXへ機種転換

突然、機種転換となりました。
今まで乗っていた複座FOXから単座のSoloFOXへ乗換えを勧められました。

 去年の選手権で単座のSWIFTの戦闘力の高さを痛感しているので、
機体の性能差を詰められるのは非常に嬉しいです。

が、、、もちろん乗り換えて即戦力になるほど甘いもんじゃなくて、ある意味ギャンブルです。
「乗り切れない高性能は逆に足枷になる」ってのは全ての乗り物に共通しています
トレーニングキャンプ期間内で乗りこなせなければ、確実にスコアを失います。

 そうは言っても何時までも「複座練習機」のFOXに乗っていては
この先のUnlimitedでは絶対に勝ち目がありません
いつかは乗り換えなければならないなら、チャンスが巡ってきた今年がその時でしょ!!

って事で改めてご対面、、、
昨年の選手権の時に見てはいたのですが、改めて見てみると
結構違います。
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開発を終えて生産が開始されて使い道の無くなったプロトタイプFOXを大改造して
「マクラさん専用機」として僅か2ヶ月で作られたSoloFOX
量産型FOXに比べてコクピット周辺が僅かに短い胴体、
後席を廃止して出来たスペースに引き込み脚を装備して抗力(空気抵抗)を大幅に削減
一人分の重量を軽減できるので、更に翼を短く切り詰めてロール率を向上、
もちろん運動性能向上狙いの改造です。
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エアショーに頻繁に出演する機体なので少々派手なカラーリングですね(笑)

地上で一通りレクチャーを受けてから飛ばしてみると、、、

最初のフライトは引き込み脚の操作確認と失速速度、スピン(錐揉み)特性の確認と垂直降下したときの加速性能、
幾つかの簡単なフィギュアを試して感覚を掴んでみると、
ダイブさせたときの加速は良いし垂直上昇の伸びも良い、

とにかくエネルギーロスが少ない感覚
翼も少し強度バランスが違うみたいで、最大Gはオリジナルと同じですがより柔らかくしなる翼
機体が「エネルギーを温存して大きなフィギュアを柔らかく描け」ってを乗り方を教えてくれます。

マクラ流の「出来るだけGを掛けずにエネルギーロスを最小限に抑えて、出来るだけ多くのエネルギーを保持する」 飛び方をするための機体ですね、

基本的にFOXではあるけど、より乗りやすく、運動性だけを向上させた感覚、トレードオフとなる安定性の低下はあまり感じません
驚いたのが引き込み脚の効果
とにかく機体の加速が良い!! 
垂直降下に入れると200km/hを超えてもシュパーッ!!って速度が伸びていきます。
調子に乗ってダイブしていると超過禁止速度を超えちゃいそうです。

ロールレートも体感で10%近くは早くなっていて、くるくると爽快に回ってくれます♪

大幅に向上した運動性と高速性能に対して、他の機体に劣るのが超過禁止速度、
最高速度制限が低くなっています。
FOXの282km/h SWIFTの295km/hに比べて明らかに低い250km/h
位置エネルギー(高度)から転換できる運動エネルギー(速度)量が少ないって事になります。
飛ぶ前に「なんてオリジナルより遅いの?」って質問してみたら

「テストの時の都合で遅く設定されているだけだよ、使うなら270km/hまで出しても大丈夫、、、まぁ、そんな速度まで使わないけど」
との事、

つまり250km/hで全てのフィギュアが出来るってことですね

実際のフライトを見ても、Swiftがロールスピードと高速を生かした鋭い動きに対してSoloFOXの動きはゆったりと柔らかい
スタイルの違いをポイントに繋げれば十分勝てるって事です。

機体特性が異なるので、乗り方も機体に合わせて少しだけアジャスト
Solo FOXの特性に合わせたスタイルにイメージを切り替えます。
空気抵抗が少ない特性を生かして、余剰エネルギーを速度に割り振ってスピードレンジを高速側にシフト
高い運動エネルギーを存分に活かし、通常4G最大5Gでエネルギーロスを抑えて、グライダーらしく柔らかく飛んで大きなフィギュアを描く
無駄な動き(=G)や滑りを押える事が何よりも大切です
(どんな乗り物でも高Gでの運動は大きなエネルギーロスになります。)
シャープな動きではSWIFTには勝てないので、しなやかに動き正確に止めるイメージです。

なんとなく気が付いたことですが、
柔らかい翼に早すぎる入力をしても動きにタイムラグを感じるので違和感が出ます。
一体感を持って飛ぶには機体の固さと動きの収束に合わせた入力をするイメージで、、、
この辺りは車と同じ感覚で、足回りのストロークスピードに合わせた運転で荷重を掛けたり抜いたりする感覚です。
僕の持っている感覚なんですが、各機種、車両毎に入力できるスピード(リズム)は翼やサスペンションの固有振動数である程度決まっていて、
固有振動数に合わせた入力(運転や操縦)をすれば一体感が出てきます。