E36 M3 & 325i Cabriolet 【λ(ラムダ)センサーは知らない間に壊れてる】

知り合いの方の「車の燃費が非常に悪い」ってお話を聞いたので
「もしかしたら!?」って事で考えてアドバイス
不具合原因の特定になれば良いけど

車はBMW E36 320 MT(希少種なので並行輸入もしくはATからの載せ替え) 
市街地のチョイノリで燃費には厳しい条件ですが
5km/lを切るって事なので、
一番最初に思いついたのが「λ(ラムダ)センサーの故障」

「λセンサーってドコでナニしているヤツ?」って?
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こんな感じにエキマニやセンターパイプに取り付けられているセンサーで、
排気ガスの残留酸素をセンシングしています。

λセンサーの役割は
「巡航時に理論空燃比 14.7:1に補正するためにECUに信号を送るため」
排気ガスに含まれる残留酸素を検出してECUに信号を送り、
信号を受け取ったECUは理論空燃比で運転できるように燃料噴射量を調整します

そもそもλとは、、、
λ=(吸入空気量)÷(理想的な燃焼に必要な空気量)
λ=1は理想的な空燃比
λ<1は吸気量不足で濃厚な混合気(リッチ)
λ>1は吸気量過剰で希薄な混合気(リーン)
を表しています

センサーの構造は
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検出部にはジルコニアセラミックが使われていて その両端に酸素濃度差を生じると電力が生じます。
この電力は理論空燃比付近での酸素濃度で電圧が変化するので
ECUはこの電圧変化を信号として理論空燃比となるよう、燃料噴射時間を調整します。

λセンサーの応答性のグラフを見ると、
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λ<1になると電圧が低くなり 吸気量<燃料(リッチ)とECUは判断して燃料噴射量を減らて
λ>1になると電圧が高くなり 吸気量>燃料(リーン)とECUは判断して燃料噴射量を増やし
理論空燃比に補正を掛けます

ジルコニアセンサーの働きは実にエンジンの理論空燃比運転に都合が良いのですが、、、
「センサー情報を元にフィードバック掛けて全域理論空燃比でバッチリ♪」って訳にはいかず
応答性が悪いので、頻繁な運転条件変更には対応できません

それにエンジンが求める空燃比って運転効率(燃費)だけ求めれば理論空燃比なんですが
運転状況によって加速時8:1 全開時には12.5:1付近が良いって言われているので
λセンサーで補正を掛けて理論空燃比で運転するのはエンジンの運転状態が安定した巡航での補正になります。

高速道路やバイパスで燃費が良くなるのは補正により理論空燃比近くで運転しているからで
市街地走行で燃費が悪いのは、信号でのSTOP&GOの繰り返しで、加速空燃比8.1;1を多用するからですね

あと、このジルコニアを使ったλセンサーは温度に敏感で「300℃以上」でないマトモに働かないので、
排気ガスの熱により十分暖められるまでの冷間時はヒーターにより加熱しています。
エンジン運転温度が十分に高くなった後も、連続した緩い下り坂などで排気ガス温度下がった時(200℃以下)もヒーターが作動してセンサーを温めます。

ちなみに最近の車だと、
(勉強不足で詳しくはありませんが)
λセンサ-のON/OFF信号みたいな制御じゃなくて残留酸素濃度に応じて発生電圧をより細かく出力する「O2センサー」が使われています。
sketch-1588157786701
ここまでやらないと燃費&エミッションに合格出来ないんですね~

要約すると、、、
①λセンサーは排気ガスをセンシングして、理論空燃比になるようにECUに信号を送るセンサー
②理論空燃比を境に電圧が変化する
③センサーは300℃以上にならないと働かないからヒーターが付いている

まぁ、、、
新車の時は実によく働いてくれてエンジンの運転を助けてくれますが
距離を走り、年月を重ねれば劣化や故障に見舞われるのが世の常
「祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」ってヤツです(笑)

故障や劣化を考えてみると
①、セラミックセンサーの破損、センサーラインの断線、半田剥がれ
もちろんセンサーとしては即死状態、普通に乗っていれば殆ど見舞われる事はありませんが、
取り付けられている場所が触媒付近なので、床下に触媒がある古い車でシャコタンにしていると地面にブツケた衝撃で壊れたりハーネスを引っ掛けてむしり取っちゃったり
センターマフラー交換でハーネスコネクター外し忘れて引っ張っちゃう
まぁ、色々ありますがレアケースだと思います
もちろん、ECUには信号いかないので故障(フェール)判断されて記録が残り、エンジン保護の為理論空燃比への補正(リーン方向)は行われないので
燃費の悪化、排気ガス臭が強くなる、排気音が低音に変化などの症状が出ます

②ヒーターの断線
結構頻度がある故障で、ジルコニア センサーを300℃に温めるヒーターが何等かの要因により断線してセンサーを温められなくなります。

こうなると、センサーが300℃以下の状態になるとマトモに機能しないので、暖められるまではセンサー電圧が発生せず。
電圧信号を受け取らないECUは、
「あれぇ~薄いの? なんか変な気がするけど濃くするよ」って燃料増量を指示し
更に空燃比が濃くなって排気温度が低下のスパイラル 

高速連続走行や高回転高負荷運転で排気ガス温度が高まり、センサー温度が上がれば電圧が出るので理論空燃比補正が行われるので通常に戻りますが、
「市街地ばっかりだと重ったるくて調子悪い、外車は時々ブン回してカーボンをトバさないと調子崩すね♪」なんて感じになります。

もちろん、
昨今の輸入車でλセンサーの温度管理が出来ているエンジンはそんなことはありません たぶんヒーター断線してます(笑)

③セラミックセンサー部分の劣化
ジルコニアセンサーは裸でセンターパイプに突き出している訳じゃなくて
多孔質セラミック(発泡コンクリートとかセラミック触媒の担体みたいな小さな穴だらけのヤツ)でカバーされてます。
この多孔質セラミックの小さな穴に排気ガスに含まれる不純物(カーボン)が詰まってジルコニアセンサーに排気ガスが当たらなくなってくると発生電圧が高くなりECUはリーンと判断して燃料を増量し
空燃比は距離を重ねる毎に少しずつ濃くなる傾向にあります。

特に、
ブローバイ系にある「OILセパレーター」が不調だったり
OIL入れ過ぎでブローバイから吹いていたりすると排気ガスに含まれる油分や煤が増えて堆積したり
有鉛ガソリンの鉛がセンサーに付着して不具合を起こします。
「俺のは圧縮高いから or ブースト高いからAVガス(航空ガソリン)使ってるぜっ!!」とかやってるとダメになるの早いです。
(まぁ、普通には入手できないし 300円/L超えのガソリンですからレアケースですね)

あとは、
ロータリーエンジンの潤滑を補うのに燃料に2st OIL混ぜるって方法もありますが、
混合比を守って低灰仕様の2st OIL使わないと劣化を早めます。
2stのチャンバーの中とかサイレンサーエンドのOILべっとりを知っていればイメージ出来ると思います。
まぁ、ぶん回して排気温度を下げなきゃ大丈夫だとは思いますが、、、
もともとロータリーって2stみたいにOILを一緒に燃やしてますからねぇ
※ロータリー専用OILって燃やされることも考えて低灰仕様になっています 社外のOil入れると、、、

このセンサー劣化はどうしても免れないので、推奨交換距離の8万キロで交換ですが、、、
まぁ、交換しなくてもエンジン止まる訳じゃないので殆ど放置されているのが現状ですね

我が家の325i Cabloiretも12万キロ無交換なので推奨距離の1.5倍も使っちゃってるのでボチボチ交換したいなぁ、、、
まぁ、とりあえず平均で8~9km/l走ってるから もうちょっと引っ張っても良いかな(笑)

僕のM3はλセンサー使ってないから放置でOK 
昔のIdingのロムってλセンサーのコネクター抜いてフィードバック殺すのがデフォルト 
つまりECUが決めて燃料吹いたら吹きっぱなし
「フィードバックして理論空燃比? 燃費なんて知ったことかっ!!」って潔さ(笑)

昔、ひょんなことで僕のM3の下に潜ったヤツが勝手にコネクター繋いで路上で不具合起こして焦りました
慌ててディーラーに飛び込んで診断機繋げて見せて貰ったら
ラムダセンサーから電圧が出ているのを見付けて原因判明
診断機での診断料高かったなぁ、、、(泣)

話を戻して、、、
じゃあ、故障や劣化で交換するには?
殆どの方がディーラー整備で診断機につなげてヒーター断線とかの不具合見つけたり、走行距離指定での交換作業だと思いますが

コレ、、、高いですよ

純正部品使ってのディーラー作業だと1本で3万円くらいになるらしいです(怖)
E36の6気筒前期型だとエキマニより後ろは2本並行でレイアウトされているので交換するときは2本同時 
結構なコスト高になりますねぇ、、、工賃込みで8万円位になりそう

まぁ、、、この手のセンサー交換なら自分で出来るので
社外の汎用品なら1本1万円ちょっと 

こんな感じで売っているので
必ず車両適合を確認して購入して
汎用品なのでコネクター無いので配線を確認して
古いラムダセンサーからコネクターを取り外して流用です
繋ぎかえ流用の手間はかかりますが純正の半額以下なのでOKでしょう

交換はセンターパイプからセンサーを外して、付け替えるだけなので作業自体は簡単ですが
センターマフラーに刺さっているセンサーなので、熱が加わって固着している可能性が高いので
専用工具と浸透潤滑材を準備するのがオススメです。
専用ソケットはこんな感じのヤツです

ちょっと高いけど、
固着していてモンキーレンチとか使ってナメちゃったら最悪ですからねぇ、、、

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