マクラさんのお仕事見学

今日は「マクラさんのお仕事見学」
小学生の夏休みの宿題(社会科)でこんなのあったよね(笑)

ポーランド航空のB787機長の仕事を定年退職した後のマクラさんのお仕事は
「LOT crew」ってポーランド航空のリクルート関係子会社の社長さん
次世代パイロットの獲得とトレーニング環境構築が主なお仕事です。

朝からポーランド航空の本社に行ってマクラさんは会議
僕は秘書のお姉さんに連れられて社内見学（笑）

午後からはポズナンに行ってB737のシミュレーター体験

本物のシミュレーターはもちろん初体験
B737のコクピットが完全再現されています。

マクラさんとポーランド航空の現役パイロットのヤネックさんが一通り試した後に

「ほれ！！さっさと左席（機長席）に座れっ！！」
って何にもわからないエアライン機のコクピットに収まる

うーん、、、
見慣れたアナログ計器は見当たらず、3枚のディスプレイが目の前に、
そして眩暈がしそうなスイッチの数、、、
矢継ぎ早に始まる説明
「コッチが飛行姿勢と速度、高度、ILSが表示されるディスプレイ」
「これが飛行機を上から見て位置とコースを表示している」
「これがオートパイロットの操作パネルで、速度、高度、ヘディングのセッティングはこのダイヤル」
「地上移動のステアリングは左のレバーで、奥に押し込むと右に曲がって、手前に引くと左に曲がる」
「スロットルはコレ、奥のレバーを手前に引くとリバーススラスト」
「スロットルレバーの右隣はエアブレーキ、左隣はフラップレバー」
「インストルメントパネルの左奥のレバーが着陸脚のUP&DOWN」
「パーキングブレーキはラダーペダルのつま先（フットブレーキ）を踏み込んで、このスイッチで解除」
「着陸時にオートブレーキが必要なら、このスイッチでＯＮ」
「エレベータートリムは操縦輪の先のスイッチで電動だよ」

オーバーヘッドコンソールは、、、、
「もうオーバーインフォメーションだよ～（泣）」

普段「エンジン1個で電子機器は無線機しかない飛行機」と「せいぜい計器5個のグライダー乗りに」
いきなり最新鋭エアライン機の扱い方を5分で押し込もうとしないで、、、
溢れちゃうから（笑）

シミュレーター設定はワルシャワ空港を離陸してグルッと回って着陸でしたが
最初は機体感覚を掴みたいから「オートなんちゃら」は全てOFF
完全マニュアルで飛ばしてみる、
操縦感覚はもちろん油圧系なので軽いのに動かした後に慣性がど～んと感じるのは慣れてないから難しい

しかも、後ろのシミュレーターコンソール席が面白がって
「おおっと～　突然強風が吹き出したっ　160度から34kt(17m/s)だ～」
とか「飛行場周辺にサンダーストームが来た！！　雷雲の中心は雷とタービュランスだから避けろ」
さらに「雨とキリの影響で視程が悪い、1500mくらいしかないからVFRじゃとべないどー」
などなど、、、、
「とっ散らかって落ちること狙い」で気象条件をガンガン変えてくる
完全に「おもちゃ」にされてるなぁ、、、

まぁシミュレーターは「トラブル起こしまくって訓練生をトコトン苛め抜く」事が存在意義だから
「意地悪ネタ満載」なのが当たり前
まだ機体故障（エンジン火災とかコクピット火災、油圧＆電源OUT）が無いだけ優しいか、、、

途中でマクラさんが悪戦苦闘する僕を見かねてA/S(対気速度)だけを自動制御する
「オートスロットル」をONにしたから更に混乱（笑）
普通の飛行機は
スロットルで高度（降下率）をコントロール
ピッチ（操縦桿）で速度をコントロール
オートスロットルを使って速度を機体任せにすると
ピッチ（操縦桿）で高度（降下率）を調整するようになったので凄い違和感、、、
説明されて理屈じゃ解るんだけど、身体が拒否するんです（笑）

オートだからスロットルレバーが自動で動いて調整してくれるんだけど
スロットルから手を放して飛ばす事も身体が拒否する、、、
「身体に染み付いた習慣」は簡単には抜けません

マクラさんに教えて貰いながらILSを補助にして何とか滑走路に押し込んで着陸できましたが
まるっきり別の乗り物に感じる

少し違う視点での気付きは
「人間の平衡感覚の不完全」
コクピットに入り視界が完全にスクリーンとコクピットになると
床に固定されている「動かないシミュレーター」なのに旋回やタービュランスでの揺れで傾いている錯覚を起こす。
「人間の平衡感覚は視界で80% 三半規管で20%」を意外な形で再確認

いやー凄い経験でした、、、
コレ使って散々非常事態で苛め抜かれるんだから、エアラインパイロットは大変です。

最後にポズナン空港の訓練学校を見学