カテゴリー別アーカイブ: Aerobatics

新たな飛び方を学ぶ

日曜日はよく晴れて風も穏やか、
大気状態は静穏で上昇気流は期待薄、ソアリングパイロットはお茶のみモード

高性能ソアリング機もあまり遠くには行かず頻繁に降りてきます

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ですが、、、

最高のアクロ日和でした♪

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搭乗順番は後の方を選ぶので先ずは見学、
アクロを教わっている女性教官のデモフライト、

良い音で風が鳴いてます

今回はループ&ロールに加えてaccidental spin(予期せぬスピン)体験と
新たに180°方向転換の「1/2リバースキューバンエイト」「インメルマンターン」を加えてトレーニング
これでBOX内での方向転換も科目として組み込めるので曲技開始から終了まで一連の流れとして組み立てが出来ます。

フライト前のブリーフィングで科目のプロシジャーと開始速度、姿勢変化のイメージを確認

今回のスピンは曲技科目としてではなく、異常操作からの予期せぬスピンの体験です

「accidental spin」

開始速度120km/h
右(左)バンク15°緩旋回
右ラダーを大きく踏み込み内滑り旋回
内滑り旋回になるとバンクが深くなり機首が下がるので左(右)エルロン&エレベーターUPで姿勢を維持
急激に右への自転降下が起こりスピンに陥る

スピンからの回復は自転方向とは逆フルラダー
エレベーターを緩め迎え角を減らす
自転停止と速度増加を確認して水平姿勢へ引き起こし

方向転換の科目として
「インメルマンターン」
開始速度 240km/h
4G引き起こしで1/2ループ
ピッチ180°速度140km/h背面姿勢 -1G
右(左)1/2ロールで水平姿勢

「1/2リバース キューバンエイト」
開始速度 240km/h
ピッチUP 45°UPline
右(左)1/2ロールで背面姿勢 -1G
背面姿勢 45°UPlineで上昇
速度110km/h
エレベーターUP ハーフループ 4G引き起こし
210km/h水平姿勢

機体に乗り込み離陸までの間でイメージ作り、1600に離陸、 曳航機に引かれて夕焼けの1200mへ

最初のAccidental Spin
は驚きでした、、、
浅いバンクの旋回姿勢からラダーを入れて内滑り
この姿勢からカウンターエルロンを入れつつエレベーターUP
ろくにエレベーターを引かない(半分位?)
バフェット無しで吸い込まれるように自転降下
270°回ったところでカウンターラダー&エレベーターdown

ココから先は曲技科目の練習、
自転を止めて垂直降下で210kmまで加速
スパッと水平姿勢へ引き起こし

続けて水平姿勢からループ
3回目のフライトでだいぶ安定、良い感じで気分よく弧を描き駆け上がる

エルロンロール
今回は背面姿勢でわずかにエレベーターdownを入れてみたら、、、
ダメでした(笑)

原因は最初のピッチUPが大きく、速度エネルギーロスが大きくロールレートが下がり
沈下しながらのグダグダロール、、、

グダグダロールで失われた速度を軽くダイブして高度から速度へトレード
240km/hから1/2リバースキューバンエイトへ

45°の角度で上昇
1/2エルロンロールで背面姿勢へ
上下逆さまの背面上昇で駆け上がり
110km/hから5/8ループ
210km/hで水平姿勢
要は開始速度と45°UPlineを決めれば1/2ロールと5/8ループの組み合わせ

機体の進路が180°反転したのでループとエルロンロールを練習して
次の方向転換科目のインメルマンターン

230km/hから4G引き起こし
1/2ループで140km/h-1G背面飛行
背面-1G確立と同時に1/2ロールで水平姿勢へ

少しずつですが3次元の動きに頭と体が慣れてきたみたいです。
新たな発見と反省を空から持ち帰り離脱後5分程で着陸

方向転換科目が出来ると全体の流れを作れるからトレーニングの幅が広がります♪

と、同時に出てきた新しい課題

科目の中で軸がズレると、どんどん誤差が貯まってあらぬ方向に飛んで行く、、、

前の科目終了速度が次の科目開始速度になるので速度管理さらに重要に、
10km/h足りないだけで、科目の繋ぎ部分で変な加速降下が入って微妙な時間が流れます、、、

曲技シーケンスは全ての科目が繋がっていて、予定調和で成り立っている事を改めて感じました。

練習用シーケンスを組み立てて、科目の順番と速度管理を完全に覚えてからフライトしないとトレーニング効率が落ちるってコトですね、、、
次回の目標は
曲技科目としてのスピンとロールを完成させる事
科目のつなぎの速度管理を良くする事
お昼休みの会議室での毎日のイメージフライトで勝負です!!


FOXでアクロトレーニング

日曜日は先週に引き続き曲技飛行のトレーニング
前回のフライトでの教官からの指摘事項&自己反省に梶さんから受けたアドバイスを織り込んで
プロシジャーを再構築
イメージフライトを繰り返し、課題のループの完成を目指します。
前回のループは4G継続が出来ず垂直方向に飛びエネルギーロスで失敗したので、
「ビビってエレベーターUPを緩めず4Gをキッチリ掛けて回る」のが狙いです(笑)

スケジュール通り0900から機体組み立て、
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1000のブリーフィングの後にフライト開始
今日はスモークシステムを搭載しての曲技飛行のテストが先行です。

翼端にスモーク(発煙筒)を固定するブラケットを取り付けてイグナイターに接続
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12Vを流すと発煙筒に点火して煙モクモクです。

梶さんが追加飛行規程を読みながら絶句、、、
「これって出来る科目がほとんど無い!!」

速度限界はVA(設計運動速度)214km/h
制限荷重倍数は5G

確かに速度エネルギーが制限されるのは厳しいですね、、、

で、、、条件縛りのフライトですが


十分スゴいぞ、、、
風切り音を響かせてのアクロバティックはグライダーならでは♪
パワーの無いグライダーでナイフエッジバスはエネルギー減衰が大きいから難しそう

スモークテストの後に、いよいよタイラップの搭乗順♪
1200m上空から科目開始
45°Downlineで一気に加速
水平姿勢から引き起こし、Gメーターをチラ見して4Gを確認、そのまま持続、、、、
速度エネルギー高度に変換しながらループ頂点への円弧を駆け上がり、頂点手間から自然にGが抜けてきて孤を描く
綺麗に回っているイメージと感覚が一致してきます。
垂直降下からGを掛けて引き起こし210km/hで直線滑空へ

今回は頂点で潰れずにイメージ通りに成功♪
感覚を固める為に間隔を空けずにループを連発!!

続けてエルロンロール
教官にデモを見せて貰っていざ挑戦!!
開始速度200km/h
わずかにエレベーターUPで10°程機首上げ
一気に右(左)に操縦幹を押し込みフルエルロン
グライダーとは思えないロールレートでひゅん♪と回ります。

今回でループの良いイメージが出来ました。
開始速度とGにビビらずキッチリ引き起こしてGを管理して円を描く事が重要です。
今までのフライトじゃ絶対に持ち込まない機体姿勢に体がアラームを鳴らして強張るのは、しょうがないのかなぁ、、、
次回はループとロールで科目を組み立てて飛んでみます♪

次に、梶さんの後席で2011年のアドバンスドのシーケンスを見せて頂きました。
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競技フライトは違います、、、
ジャッジにアピールするためにメリハリを作るための鋭い姿勢変換
+6G -5Gは強烈

後席に乗せて貰うのはすごく勉強になります。
アドバンスドシーケンスの全体の流れと内容を体感
科目のイメージを掴める(自分で飛ぶ前に体感できるのは、かなり助かります)
垂直姿勢を確認したり ループ頂点の速度を見たり
得る物は非常に多いです。

が、、、

体が慣れてきたのか前回よりは楽になりましたが
背面系はまだまだ苦手、、、
-G耐性を付けるのに良い方法ないかな?
毎日逆立ちしながらご飯でも食べたら強くなれるかな?(笑)

今回驚いたのが3回連続でシーケンスを飛んで科目終了高度の誤差が10m以下
速度とGの管理精度が高いって事になります、
シーケンス内の速度を不用意に変えれば抗力(空気抵抗)が速度の2乗で変化、(もちろん高速になるほど大)
機体に掛かるGは翼が生む揚力によって発生するので、AOA(迎角)変化に伴う抗力に直結(高G=高揚力=高抗力)
かなりの再現性が出ている「予定調和」のフライトって事になります。

集中力を高め僅か数分に全ての技量を収束させ、限られたエネルギーを効率良く使い自由に空を舞う
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グライダーアクロバティックに限らず、全ての乗り物の「操る歓び」とは、「技量を高め、頭に描いたイメージを高精度で具現化させる事」だと思います。

地上運搬中の1コマ、、、
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リードを付けて散歩してるみたい
「こっちに来なさい!!」って聞こえてきそう
この赤狐、簡単には言うこと聞かないんでしょうか(笑)


曲技トレーニング受けてきました♪

日曜日はFOXの御披露目フライトに板倉滑空場に行ってきました♪
前回の耐空検査フライト後以来ですね~

機体をトレーラーから引き出し、せっせと組み立てて朝のブリーフィングへ
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機体の外部点検をしてフライト開始です。
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後席に収まりベルト機体と体を固定
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N西さんの後席で機体慣熟です。
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曲技機のFOXとしては曲技無しの異常(笑)なフライトです、、、

曳航機に引かれて離陸開始
まず、普通のグライダーとの大きな違い、、、

なかなか離陸しません

加速して次第に速度に乗り、舵が効くようになったら僅かにdownを当ててメインギアだけで離陸滑走

しばらくすると曳航機が先に離陸
普通乗っているグライダーなら80km/hもあれば軽く離陸して1mほどの低空飛行で曳航機の離陸を待つのに、、、

100キロ付近までの加速を確認してから静かに引き上げて
先に上がってしまう曳航機を追いかけるように昇ろうとしますが、フラフラです(笑)

曳航速度の120km/hほどで安定してきますが、なかなか昇りません、、、

離脱後、通常滑空状態の120km/hに合わせてから「You have」の声で滑空状態のFOXを受け取り
とりあえず、バンク30度で左右通常旋回

高い機体剛性を与えられた曲技機特有のソリッドで安定感のある乗り心地
熱したナイフでバターを切るような滑らかな操舵感覚
手足で直接空気を掴むようにダイレクトでシャープな反応

たかが通常旋回だけでも気持ちイイ機体です。

更にバンクを深めて60度で2G旋回
不思議なくらいにピタリと決まります。

操縦感覚を確かめながら旋回を繰り返し、
高度が少なくなったところでパターンに入りアプローチ開始
コントロールを前席のN西さんに返して着陸を見ると、、、

120km/hを維持してアプローチ
普通のグライダーより20km/hはアプローチが速く、フレアー(引き起こし)も少なめ、
感覚的には滑走路に滑り込むような着陸です。

お昼ご飯を頂いて、フライトのお手伝い♪
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搭乗順番が回ってきて、ついに前席でフライトです!!
やっぱり前席は違いますね~
背負ったパラシュートがスッポリハマるパケットシート
曲技飛行で受ける高Gに耐え易いようにリクライニングも深くペダルが高い寝たシートポジション
5点式ハーネス+ラチェット付きの極太サポートハーネスを「これでもかっ」と力いっぱい締め込み機体と体を結びつける

シートポジションも操縦系統の配置もピタリと決まります。
違和感のある微妙に合わない機体ってあるんですよ、、、
(ASK-21のラダーペダルとか(笑))

重く浮きたがらない機体を丁寧になだめるように離陸させて900mまで曳航機に連れて行ってもらって
いよいよトレーニング開始♪

後席教官と打ち合わせた最初の科目は「ループ」曲技飛行の基本ですね
プロシジャーは、、、
45°Downline(45°で降下)で210km/hまで加速
一度水平姿勢に起こして
4G~で引き起こし(エレベーターは拳一つ分ほどUP)
ループの頂点に掛かる辺りでUPを緩めて弧を描き
垂直降下姿勢から4G引き起こし

単純な科目に思えますが、、、難しかった

教官のデモンストレーションだと
加速後の引き起こしは4G
ループ頂点付近は0G
垂直降下からの引き起こしも4G
乗っていても綺麗な円を描いているのがイメージ出来ますが

いざタイラップがループすると
210km/hの開始速度から引き起こして
ループ頂点付近でエネルギー(速度)が不足してフラフラに
少しでも円を描くようにエレベーターdownで粘ろうとしても
速度が足りないからループ頂点の背面姿勢からガクッと垂直降下姿勢に、、、
典型的な失敗例のループ(笑)

その後納得出来ずにひたすらぐるぐると周り続け(笑)
見つけたポイントは、、、

エンジンパワーの無いグライダーは初速と最初の引き起こしで決まるみたいです。
引き起こしが甘く大きなRになると頂点付近でエネルギー不足になりループが崩れる

頂点での背面姿勢で必要な速度が知りたいです。
背面姿勢での速度が決まれば、シャンデルの感覚で速度を合わせ込めるかもしれません
開始速度と許されるループの大きさはある程度の比例関係があるはずで、
最初の90°の引き起こしでループの良し悪しが決まりそうですね

地上から見ての指摘は、「斜めにズレながらループしている」との事で、
原因は単純に考えて
ループ開始の時に水平姿勢が出ていないか
真っ直ぐにスティックが引けていないか
のどちらかですね、、、
右手で操縦しているからGに負けて無意識に右斜めに引いているかもしれません
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地上でイメージを固めて次回はもっと上手く飛んでやる~!!


日曜日はお手伝い♪

日曜日は大利根にFOXの運航のお手伝いに行ってきました。
先日のフライトの後にカラーリング&スモークシステムを追加したそうです。

整備士のN西さんの車に便乗して少し早めに大利根に到着、

到着も早々、頭にトンボ乗せてます(笑)
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機体をトレーラーから引き出し、大利根のスタッフの方と一緒に機体を組み立て、、、
主翼ドーリー(キャスター付きの翼受けスタンド)無しで組んだら主翼が重いっ、、、
しかも、上半角”0”なので翼の高さが中腰の姿勢
腰が砕けそう(涙)

せっせと機体を組み上げて、新しいカラーリングを鑑賞、、、

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カッコイイ♪
色が入ると雰囲気変わりますね~ 
作業担当のマイクさんが、クラック補修や、エレベーター、ラダーのマスバランスの調整、カラーリングのコダワリ(キャノピー内側にも赤のピンストライプ!!)
を日本語と英語を交え身振り手振りに擬音連発でプレゼン(笑)

わかるよ、その気持ち、、、苦労した作業は可愛いんだよねぇ~

続けてスモークシステムの取り付け

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FRP製のマウントを翼端にビス止めして、

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フラッター防止のテーピング、

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スモークは、発煙灯に12Vのニクロム線イグナイターを取り付けた大物の煙花火
車の発煙灯の軽く2倍はありますね~

準備が出来たら滑走路の端に機体を移動して、早速フライト
タイラップは地上のお手伝いとN西さんから預かったデジカメで撮影係
スピンリカバリー、Vne(超過禁止速度)までのフラッターテストを含めた耐空検査フライト、

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マイクさんの体験登場も含めて合計3回のフライトも無事完了

トレーラーに詰め込み、板倉に陸送して作業完了♪
今後の活動が楽しみです。

とりあえず、僕も陸送できるように牽引免許取らなきゃねぇ、、、、


空を舞う狐

グライダーのアクロバティック体験してきました!!

0800に東京駅に集合して高速を北に1時間ほど、、、
群馬県の板倉滑空場です。

搭乗する機体は、ポーランド製のアクログライダー 
「ザクワト・レモントゥフ・イ・ロドゥクツイ・スフシェントウ・ロトニチェゴ・エドヴァルド・マルガンスキ式MDM-1フォックス型」
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長い名前だ、、、、関わった設計者の名前を全部連ねたのかな??

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このポーランドの狐、俊敏且つ強靭です
機体概要
  翼長 14m
  最良滑空比   30:1
  自重 345 kg , 最大離陸重量 530kg
  超過禁止速度VNE  282km/h 
  設計運動速度VA   214km/h
  制限荷重倍数   (単座時) +9 / -6.0  (複座時) +7 / -5.0

グライダーなのに上半角”0”の短い翼
エルロンは主翼の半分近くまであるし
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ピンと立てた尻尾は、面積の半分以上が操縦舵面
胴体は縦長でナイフエッジ(バンク90°)での機体の浮きを考慮してます。

コクピット後の小窓やウッドグリップの操縦系統、、、
競技機みたいなコンセプトなのにデザインにも気を使っているのが微笑ましい
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コクピットもソアリングするときに使う昇降計は隅っこに追いやられ
曲技科目を書き込んだメモ(シーケンスカード)を挟むプレートが真ん中に居座り

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強靭な機体構造をあらわすVA設計運動速度214km/hが表示される速度計
横には+9G -6GGまで刻まれたGメーター

グライダーのクセにこれっぽっちも上昇気流を捉えてソアリングしようなんて考えてません(笑)

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操るパイロットの梶さんは「unlimited(無制限)」クラスの競技パイロット
凄い組み合わせです♪

グライダーの競技アクロの世界は、フィギュアスケートに似ていて、
滑走路脇の審査員席前の1km四方のBOXの中で科目をこなし
①”known”規定の科目(ループやロールなど、、)を複数組み合わせた課題を如何に正確に描くか?
②”unknown”競技24時間前に提示される科目を如何に正確に描くか?
③”free”自分で組み立てた科目を審査員に提出して如何に正確に描くか?
の3種目の合計点で戦う競技
組み合わされる科目はとんでもないモノでした。

機体を組んで、朝のブリーフィングを受け、最初のフライト、、、
「-Gの科目が少ないので意外と楽です」って話ですが、イメージトレーニングを兼ねたレクチャーを受けると、、、

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何やらとんでもなく忙しいリズムで科目をトレースしていきます。
科目の端々に”ネガティブ”って言葉が聞こえてくるんですが、、、”背面で”って意味ですよね、、、

科目と”どんな姿勢になるか”のイメージを掴んで、

ポケットの中を空っぽにしてパラシュートを背負い機体に乗り込むと、
アクロ機のお約束「ラチェット付きのベルト」で身体を固縛
普段とは違う後席からの眺め、機内の雰囲気は普通じゃありません、、、

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曳航機のハスキーに引かれて普段のフライトの倍の高度 1400mまで上昇,
機体の位置をスタートポジションに合わせて、曲技開始

スパッとロールしたと思ったら 引き起こしてイキナリ4G超え!!
イメージしていた動きより遥かに俊敏!!
タイラップはGに耐えるだけで精一杯
必死に機体の姿勢を追いかけているうちに科目終了、
1400mから離脱して2分30秒で科目終了って、、、
普通のグライダーなら何にもしないでも25分は浮いてるのに
エネルギーは何処に行っちゃったんでしょう??

コレで身体に優しい科目なの!? 呼吸するヒマ無かったぞ!!
高G状態&高ロールレートの機動を連続で繰り出していくので、身体を休める時間が全くナシ
「酔っちゃいそう」なんて思まれますが、、、「酔う」なんてノンビリした時間すらありません(笑)

梶さん、、、、とんでもない事になってますよ
ほぼ毎週 空を飛んでいるタイラップですが、、、完全に飲まれちゃってます。

参考までに
”G”というのは1Gを地上にいる状態としたときの荷重の単位で、
2Gだといつもの体重の二倍の力が体にかかっていることになります。
   【参考】
   1G:普通の状態
   1.5G:旅客機が最大でもこの位
   2G:バンク60度急旋回のときのG、普通の飛行機はここまで
   3G:気合入れて旋回するとき。だんだん非現実的に
   4G:ジェットコースターはこのくらい。
   5G:ループの開始Gはこの位。気合入れましょう!!
   6G:戦闘機の空中戦はこの辺りから。
   7G:飛んだことを後悔する(笑)
   8G:呼吸できないらしいです。
   9G:エアレースだとこの位掛かってますね
   10G:レッドブルを愛飲するとたどり着けるかも!?

   -1G:逆立ちをしている状態 じわじわと頭に血が上るぅ~
-1.5G:内臓が動くような、「うえっぷ」って感じ、
   -2G:目が飛び出る感じ
   -3G:目の奥に鈍い痛みと変な味が口に広がります。
   -4G:視界にキラキラと星が飛び、顔のお肉が動きます(笑)

最初のフライト終了後、お昼ごはんの「のり弁(から揚げ付き)」をガッツリ頂き、麦茶で水分補充
午後のフライトは”knoun”科目
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科目の表を見せてもらって内容を確認すると、、、
なんだか赤い点線がいっぱいなんですが、、、
イメージ的に赤いとか点線ってキツイとかヤバいってイメージですよね、、
背面でループしたり、背面でスナップロールしたり、背面飛行で10秒とか、ループの途中(270°)から背面ループで(270°)引き起こしとか、、、
つまり、背面系の科目が盛り沢山なんですね、、、

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滑空場から離陸して、曳航時間は17分ほど、1400mから曲技開始!!
スパッと機首を下げて45度でダイブ!!
ネガティヴスナップロールで180反転して背面状態
背面で更にダイブして250km/hからアウトサイドループ(背面ループ)
-1Gの背面飛行状態から操縦幹が前に押し込まれて裏返しに引き起こし
風を切る音が大きくなった瞬間、

「之尾はkdrの伊んdをいじcsぇおもむー~uijf9385」←心の叫び
想像の範疇をはるかに超えた-4Gの世界

もし、身体を固定しているベルトが外れたら、キャノピーを突き破って機外放出ですね、、、

この背面ループがとにかくキツかった、、、
血液が頭に寄っちゃって頭がドキドキするは、口の中は変な味がしてくるは、
-Gで顔のお肉が上に寄っちゃって目が閉じちゃいそう
時間にして数秒、-4Gに耐え引き起こしてそのまま45度でダイブ
ダイブしながら加速中に梶さんから涼しい声で「おつかれさまでした♪」
タイラップはハァハァしちゃってます。。。

加速中で落ち着いたのは数秒
増速したところで一気に+6Gプルアップで垂直上昇、続けてエルロンロール左1/4
減速したところでピッチを90°引き起こして背面飛行
6Gでムギュっと潰されてたから 背面だけどチョット一息、、、

背面飛行からエレベーターを引いて垂直降下、120km/hからネガティブスナップロール3/4回転
操縦幹が押し込まれ、強烈な-Gと共に翼から大気が「ババッ!!」っと悲鳴を上げて引き剥がされ一瞬で3/4ロール
ロール停止後、更に垂直降下で230km/h 4G引き起こしで3/4ループ
140km/h背面飛行でレベルオフ

背面状態で静寂の数秒、
もう一度
4G引き起こし 3/4ループで垂直上昇姿勢、連続して-4G 1/2背面ループで垂直降下、
垂直降下で150km/hに達したら、3/4スナップロール+Gのスナップロールは爽快!!

45度でダイブして250km/hまで加速、6Gでプルアップ、垂直上昇1/4エルロンロールからハンマーヘッド
機首を垂直に立てた姿勢を維持、全ての速度エネルギーを位置エネルギーにトレードして垂直上昇
速度がなくなってきたところで機種を左に落して垂直降下 
頂点付近はほぼ無重力 体が楽&呼吸が出来る♪ 
軽重力って幸せ、、、
最後はクルリと機首を下に向け垂直降下

垂直降下からレベルに引き起こして、220km/h」からローリングターン
180度旋回を行いながらエルロンロール1回転
前半は+Gの旋回で後半は-Gの背面旋回、何でコレで旋回できるの??

最後はハーフキューバン エイト(ループ頂点から背面45度ダイブ)
4ポイントロール(90°毎に刻んで4回で360°)の1/2でレベルオフ、科目終了!!

着陸して機体から降りたら、

目眩でふらふら、
脚はカクカク、
頭の奥の入っちゃいけない場所にまで血が押し込まれちゃったような変な頭の重さ
目の裏に広がる妙な圧迫感

確かにfreeと比べて3倍キツかった、、、
おもわず後頭部をコンコンたたいたり、こめかみの辺りを押してみたり(笑)

機体を戻して3回目のフライト、
今回は垂直上昇からエルロンロール1/4の角度チェックをお願いされたので、空間姿勢をきちんと把握しなきゃ、
あの状況でタイラップに出来るのか??
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もう一度科目を確認して飛び立ち曲技開始

3回目ともなると、科目のリズムから「呼吸できる時間」と「力を入れてGに耐える」タイミングを掴んでくるので
酸欠は避けられました(笑)
背面ループの時間は気合一発!!
顔にまで力を入れて目を開き視界を確保するのが精一杯、

空間認識と機体姿勢が一致してくると回りを見る余裕が出来てきます。
動きにメリハリを付ける為に、一気に大舵角を与え高ロールレートで動かし慣性を抑えて「ピタッ」と止める為に一瞬僅かに逆に舵を当てる
翼をみると、曳航中はビクともしなかった強靭な翼が高Gと大舵角でブワンブワンしなってます、、、
チェック項目の垂直上昇中の1/4ロールの角度は、綺麗に止まっているように見えるんですが、、、
地上からの見え方は違うのかな?

3回のフライト同乗したところで、体が悲鳴を上げてタイラップは残念ながらリタイヤ、、、
眼の痛みが引かなくなってきたので、今回はココまで。
少しずつ慣れてきたところだったのに、、

地上に残り、舵さんのフライトを見学、 
「ズォーーーっ、、、キィーン」、、、きらきらと光りながら舞い風を切る音が地上まで聞こえてきます、
強烈なGに晒される環境で、速度と姿勢をマネージメントして次々にマニューバをこなしていく、
世界選手権を戦う競技パイロットの技量の高さに衝撃を受けました、、、
高い目標を見据えた 集中して取り組む密度の濃いフライトはパイロットとして幸せですね!! 
レベルの高いフライトを目の当たりにすると、僕はマダマダですねぇ~

お家に帰っておもむろに鏡を覗き込むと、、、、
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うおぅ!! 宇宙人だァ~(笑)

「カーボンとFRPの狐」にすっかり魅入られちゃいました(笑)
グライダーアクロ凄いです!!
FOXと自由に飛べるようになったら気持ち良いいだろうなぁ~