R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑪

昨夜はご飯を食べて、ちょっと和室でゴロゴロしたらそのまま眠ってしまった、、、
きょうも体中バキバキです、

って事で
朝からR33 GT-R 「大先輩号」のサスペンションセッティングの続き

サグ設定で必要になるのがプリロード設定ですが
ハマるのが「計算プリロード」と「実車プリロード」が合わないこと
これはメインスプリングのみのシングルスプリングでも起こりますが、
比較的影響が少ないので微調整に終わりますが

問題になるのは1gで線間密着まで使うヘルパー、テンダー(アシスト)、プライマリースプリングを使う場合に顕著になります

実際にHKSのリアプリロード設定は27mmですが、表記レートで計算すると36mmになって計算が合わない

この原因は「表記レート」と「実効レート」の違いと考えています。

表記レートとは、
そのスプリングの固さ(レート)をあらわす代表的な安定レートで
ストロークに伴うレート変化は織り込まれていません
表記レートは「kgfmm」って表記単位で表されるので誤解を生みますが、
ストローク0~100%までスプリングレートは一定ではありません

「スプリングはストロークに伴いレート変化している」ってイメージが大切で
素線の太さ&長さ、スプリング端形状でレート特性が変わります
こればスプリングメーカー各社のHPにも記載されていますが、あまり認識されていません

Swiftでは
FB_IMG_1595478891807
ストロークの30~70%で±3%が安定レート域(=表記レート)で
細くて短い素線を選択している高応力設計なので40%しか安定領域が取れないので
ダンパーストロークがスプリングストロークの70%以上の自由長が短めの設定にすると
ストロークの奥の70%以上の領域に入り「バネ感」が強く現れて乗り味が悪くなります

ハイパコでは
FB_IMG_1595478896752
ストロークの20~80%付近が安定レート域(=表記レート)になっていて
太く長い素線を選択した低応力設計により
安定領域が広く70%以上を確保していて
ストローク後半のレートが安定レートから高まる幅も少ないので
ストロークの奥でも表記レートから大きく高まらないので「しなやか」に動きます

この設計の違いが同じ表記レートでも各社の「乗り味」の違いに現れます

で、、、
コレをヘルパースプリングに織り込むとなると
スプリングのレート特性のグラフは公表されていないので
スプリングテスターに掛けて実測してグラフを書いて微分積分の世界になりますので、、、
現実的じゃない

実際には
表記レートを使った「おおまかな計算プリロード」になり
取り付け後の実車でのサグ調整が必須になります。

ヘルパースプリングのレート変化を「それっぽいグラフ」を作るとこんな感じで、、、
FB_IMG_1595478884637
平均実行レートは2.55kgfmmになるので
これで計算するとプリロードは近似値に入ります。

線間密着まで使うサブスプリング系だと、
「ストローク初期でのレート立ち上がり領域」と
「線間密着でレート∞kgfmmに向けてのレート立ち上がり」の影響をすべて受けるので
表記レートと実効レートとの乖離が大きくなることが計算プリロードと実車プリロードの差の原因と考えています

また「表記レート」と「実効レート」の差は
メインスプリング、ヘルパースプリング共に発生するので
スプリングを重ねるほど誤差が増えていきます

メインスプリング単体でのシングルスプリング仕様でも表記レートだけで考えると
ダンパーストロークに対してスプリングストロークが少ない設定ほど、
(もちろんダンパーストローク<スプリングストロークは基本)
ストローク後半のレート立ち上がり領域の影響を受けやすく
表記レートと実効レートの差が開いていくのでプリロード変更に対する感度が高くなります。
表記レートだけで判断していると「プリロード設定変更による体感変化との整合性」が取れないので、
多くの方が混乱します(笑)

あとは、同じ理由で
同じレートでもスプリングメーカーを変更したり自由長を変えると同じサグ設定に必要なプリロード量も変化します。

だから、、、
計算で求めたプリロードはあくまでも初期設定の参考値でしかありません
車両組み付けの後にホイールトラベルや1gダンパーストロークからサグ調整が必要になります。

大先輩!!
僕の考える計算プリロードと実車プリロードの乖離理由はコレなんですが、、、
機会があればスプリングテスターに掛けてレート変化推移を見てグラフ書いて確認したいのですが
なかなか機会に恵まれないので考察の域をでません

現実はザクッと計算して実車でサグ調整しちゃっているので「原因はコレだろうな、、、」程度の理解です。
どうでしょうか?

ブログランキングに参加しています、記事を気に入っていただけましたら
↓クリックしていただけると嬉しく思います。

にほんブログ村 車ブログへ
にほんブログ村

全般ランキング


「R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑪」への4件のフィードバック

  1. ツイン若しくはトリプルスプリングの場合、メインスプリングで初期のセット長を出すのでプライマリーやヘルパーのセット長は成り行きになりませんか?
    昨夜スラストベアリングを組み付けたリヤは、左右でヘルパーのセット長が5ミリずれました。

    1. お身体大丈夫ですか?

      車高調整式サスペンションでのサグ調整ですが基本的にプリロードで管理します。

      シングルスプリングでは、
      自由長 – セット長 = プリロード
      になりますが

      ツインスプリング ツイン+ヘルパー仕様ですと
      合成レートが低くなるほどメインスプリング単体でのセット長変化が少なくなるので
      管理出来ません
      今の仕様でプリロード30mm付近ですと
      メインスプリング、プライマリースプリングは表記レート以下
      ヘルパースプリングは表記レート付近ですので
      合成レートは1.4kgfmm以下だと思われます

      1.4kgfmm x 5mm = 7kgf
      メインスプリングのセット長変化は1mm
      耐荷重1252kgfのスプリングなので7kgfmmは0.6%ですので
      公差範囲だと考えます。

      プリロード合わせで大丈夫です。

      って、、、
      メインスプリングのレートは間違い無く正しい部品が納品されてますよね!?
      時々 こんな笑っちゃう「納品ミス」もありますよ(笑)

      左右スプリングの素線径が揃っていればOKです

    1. 一番レートが低いので製品誤差がモロに見えているんですね
      各スプリング個別でセット長管理は厳しいと思います。

      左右のプリロードを揃えて各スプリングのセット長を計るとどうなりますか?

      ヘルパースプリングのセット長で5mmを合わせ込むなら左右のスプリングの組合せを変えて製品誤差を散らすしか方法は無いと思います。

      もしくは
      「ヘルパースプリングを追加購入して誤差が少ないスプリングを組み合わせる」って方法もありますが
      絶対に体感できません、、、

      ヘルパー合成レート1.5kgfmm セット長5mmで 7kgfのセット荷重誤差に拘るなら
      車両のコーナーウェイト管理を厳密に行う事を求める事になりますね~

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です