R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑩

今日はR33 GT-R「大先輩号」のサスペンションセッティングの続き
今までの仕様変更の経緯は

①求める車両の動き「大人味」を絞り込んで バネ上固有振動数を設定

②バネ上固有振動数からホイールレートを求め、ACF&レバー比を織り込んでスプリングレートを設定

③「大人味」に必要なスパイスのスラストベアリングとツインスプリング化を追加

④ダンパーストロークのサグ(伸び縮みの割り振り)を決めて必要な推定プリロードを計算

まで進みました。

で、、、次の工程は「車高設定」

ココは全長調整式だと楽ですね~
サグ調整と独立して車高が調整できるのは便利です
全長調整式じゃない場合は、アッパーマウント側で調整しますがせいぜい調整幅10㎜の微調整

今回のお題の車高設定ですが、、、

車高はみんな下げたがるけど、
下げ過ぎれば全くメリットはありません

「車高を下げると重心が下がってロールが減る」ってのは商売上のウソ♪
車高を下げるとロールセンターが低下して重心位置から離れることにより、
ロールモーメントが増えてロール角が増加します

もうすっかり一般化したロジックなので
今時こんな安っぽい宣伝文句は見かけませんが(笑)

ロールセンター以外でもサスペンションアームが作り出す、
アンチロールジオメトリ、
アンチダイブ、アンチスクワットジオメトリ
等の設定はメーカーエンジニアの領分

「それならアーム角度補正用の部品使って修正すれば大丈夫」って!?

素人が社外品で中途半端に手を出すと痛い目みますよぉ~
リアのバンプトゥ特性が変わるような部品付けたら、どうなっちゃうか考察する事すら困難

さらに強度すら怪しい部品が出回っているのでホントに怖い、、、
だから僕はアームやジョイント部分の変更によるジオメトリ変更系の部品は使いません
実際に走行中にボールジョイントが破損したケースありますから

車高設定は、
僕なら何も悩まずに「純正ノーマル車高」(笑)

だって、設計した人が「このジオメトリ変化を作るんだ!」ってウンウン悩んで作ったアーム角度
僕の知識じゃ理解が届かない世界の話なので
一番の安全策を選ぶとこうなります
まぁ、、、
走っていれば自分の車の車高なんか見えないし
「忙しい世間様」は僕の車なんて見ていない(笑) 

って事で大先輩号もノーマル車高を推奨します!!

が、、、
「とは言ってもねぇ、、、」
って大先輩の心の声がモレモレなので、
妥協点を考えます

メーカー公表の車両諸元を見ると
R33 GT-S(ふつーのクーペ)全高 1360mm
標準車 全高 1360mm
V-spec 全高 1345mm(標準車との最低地上高差を参照)
Nismo S-tune 1345mm(Nismo カタログ値 -15mm参照)
Nismo 400R 全高1330mm

同じシャシーで標準車高はこれだけ違います
R33の普通のクーペから比較してGT-Rの標準車は変化なし
GT-R標準車に比べてV-specとNismo S-tumeは-15㎜
Nismo 400Rは-30mm

なので、、、
メーカー及びメーカー系が考える「デメリットが出ない(少ない)車高」は
ノーマルから-30mmが限界と考えます。

って事で、、、
「見れる車高」と「走行性能への影響」を考えてノーマル車高-20mmでスタートを提案します。

下げればそれなりにデメリットは出てきますが、400Rの-30mmまではOK、
レートを高めて姿勢変化を抑えたので、
今までよりピッチ、ロール方向の動きが少なくなるので限界は高くなりますが
裏を返せば、「車を曲げる事が難しい」 

最初は車のリズムの速さと動きを見るために重心位置を上げてピッチ&ロールモーメントを増やして「曲げやすく」仕上げて

「もっと姿勢変化を抑えて安定させたい」ってなったら-30mmまでの範囲で車高を再考するって感じです

あとは、、、「普段使いの気楽さ」ですよね
あまり下げすぎると何かと気を使うので(笑)

一つ気になるのが、、、
フロントタイヤのフェンダーとの干渉
Nismo S-tuneより路面不整を超えた際の縮み側のストロークが多くなりそうなので、フェンダー干渉の可能性があります
実走してみて、フェンダーとの干渉があった場合はフロントのホイールスペーサーの厚みを変更する必要があります。

前後の車高差は0mmで水平からスタートします。

HKSの仕様書を見ると
HKS 標準車高
標準車より
フロント -36mm
リア -27mm
HKS基準車高は9mm前下がり車高ですね

「前下がり」の車高設定は
フロントの支配力が強くて長時間運転した時に疲労しやすい事と
一次旋回で「曲げる操作をしなくても曲がっていっちゃう」ので車との対話が少なくなるので飽きやすく
二次旋回のポイントになるリア荷重が入れにくい

って事で、ノーマル-20mm 水平車高設定でケース長の計算をすると
仕様変更後車高
フロント
・フェンダー地上高 675mm → 691mm
・ケース長
HKS基準車高の-36mmに対して16mmUPなので
ケース長は16÷1.08=14.81mmUP
HKS基準ケース長 289mm + 14.81mm ≒ 305mm(上限一杯)

リア
・フェンダー地上高 665mm → 672mm
・ケース長
HKS基準車高の-27mmに対して7mmUPなので
ケース長は7÷1.09=6.42mmUP
HKS基準ケース長 492mm + 6.42mm ≒ 498mm

になります。
本音はあと5mm上げたいんだけど
フロントケース長さ制限でこれ以上上げられないのが悔しい、、、
フロントの全長調整なんかいらない
代わりにストロークが欲しい!

この時点で設定車高に合わせてケース長変更を済ませてしまえば
実車に組み込み後のサグ調整はフェンダー地上高さを計測して調整すればOk

大先輩!! これで1st Stepのサスペンション仕様変更は完了です、
車高調整幅はこの-20mm仕様から-30mmの範囲になります。
ワークシートに諸元をまとめますねー

明日から、車両運動時のストローク量確認を始めます!

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「R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑩」への3件のフィードバック

    1. フロントストロークが90→116mmはズルいです~(泣)
      26mmも増えれば動き違いますよ~
      欲しかったダンパー寸法そのまんま、、、

      新しいヤツは
      スプリングレートUpで姿勢変化を減らしてバンプラバータッチの頻度を減らして
      リアはバンプラバーを段付きにして当たりを柔らかくしてますね
      さらに「シャコタン仕様」っぽいですが
      前後バランス大丈夫なのかなぁ、、、

    2. 今回の仕様差は泣きが入る程ですが
      仕様変更でケースとシャフト交換でストローク伸ばせるかもしれないのは吉報ですよね♪

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