読み物程度の航空工学⑧ 「何事も安定って大切です」

さて主翼があってゴム動力の立派なエンジン(燃料代はタダですよ、すばらしい♪)があるので4つの力が釣り合う要件が揃いました
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コレで立派に水平直線飛行が出来ます!! 

えー、この条件は紙の上だけのお話で実際に乗ったら即落ちます。
だって、、、安定性ゼロですよこれ

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全ての力が重心位置に掛かっているので一見Okっぽいんですが
大問題があります。

翼に発生する揚力って迎え角によって発生分布(風圧中心って言います)が変わっちゃうんです。
翼に発生する揚力は迎角が大きくなると前方に移動して、迎角が小さくなると後方に移動します
でも、重心位置は変わらないから、なんかの拍子に迎え角が大きくなってしまうと
揚力の中心が前方に移動して更に迎角を大きくしようとする、
迎え角が大きくなると、更に揚力の中心が前方に移動して、、、、
の繰り返しで終いにはくるくるピッチング方向に回り出す(笑)

さて、ここで必要なのは安定性関する特性ですね
安定性には2種類X3特性あって
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まずは静安定、
止まっている状態での安定性です。

静安定、正の状態 
どんぶりの底にビー玉をそっと置いた状態です。動かしても自分でどんぶりの底に戻ります、車でいえばアンダーステアかな?

静安定 中立の状態 
平らで水平な板の上にピー玉を置いた状態 ちょっと動かすと動かした位置で止まって終わり 、動いたら動いた位置で変化しません

静安定 負の状態 
小さな山の頂点にビー玉を置いた状態 ちょっとでも動けば一気に転がり落ちます。 動いたら最後、発散していきます 車で言えばオーバーステアですね

次に動安定 運動の発散と収束です。
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動安定 正の状態 
だれも乗っていないブランコを揺らした状態です ゆらゆら揺れながら運動が収束して行きます

動安定 中立の状態 
メトロノームの針の様にずーっと運動が続いて自然収束しない状態です

動安定 負の状態 
運動が収束するどころか揺れるたびにどんどん大きくなって発散していく状態 誰もがあるでしょう、カウンター入れてお釣り貰ってトっ散らかるあの状態です(笑)

今の主翼とプロペラだけじゃ、静安定、動安定共に負の状態まともに飛びません
 
無尾翼機パイロットで日本一有名なのは、
風の谷に住む無尾翼ジェットグライダーを乗り回す女の子ですね
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どうみても安定性が負の乗り物を体重移動だけで乗り回して自由自在に飛び回れるんですから、驚異的な反射神経とバランス感覚の持ち主です!

滑空だけならまだしも、ジェットエンジンでガンガン推進してますよ、、、
翼の上に乗って飛ばすし、
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ひょいひょい担いで歩いてますから推定重量は10kgほど
どー考えても重心位置は主翼と搭乗者の間

推力出したら強烈なピッチUPモーメントが発生して裏返ろうとする機体を体重移動で抑え込むのかぁ、、、

きっと彼女なら運動性向上の為に不安定な空力設計にして、CPU制御で安定させて飛ばす近代戦闘機をCPUの安定制御無しのフルマニュアルで楽勝に飛ばせるでしょう!!
B2だろうがF16だろうが油圧だけ動けば楽勝♪
まさに天才です!!
(ちなみに基本的に無尾翼機が三角形なのはカッコイイから、じゃなくて翼の前後方向で翼の仕事を分担して前の方で揚力出して、後ろの方でピッチングをバランスさせています)

こんな危なっかしい特性の乗り物は凡人が乗りこなす事は不可能、
なんとか穏やかな特性に躾けなきゃダメですよね(笑)


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