レバー比とACFを理解しよう ③

前回までの2話でレバー比とACFは大丈夫だと思います。
レバー比編 レバー比とACFを理解しよう ①
ACF編 レバー比とACFを理解しよう ②

前回までで理屈がわかったので、いよいよ実測です。
このレバー比とACFって計算である程度は求められますが、
最後は実測で確認が必要になります
作業の順番としては「レバー比」→「ACF」の順番です

理由は簡単、
レバー比はサスペンションアームの作用点と力点を実測すれば
数値は計算で求められますが
ACFは寸法取りから求めるのは難しいから
だって、、、
3Dで傾いているサスペンションの作動軸の傾きを垂直面から測定するのは難しいでしょ

最初に簡単な方から

ストラット式サスペンションのACF測定
レバー比が入らないストラットサスペンションは実に簡単
ホイールストローク vs スプリングストロークを測定すればOKです
ストラット式サスペンションはキャンバー&キャスターをストラットの傾きで設定しているので、
キャンバー方向にx度、キャスター方向にy度なんて計算しているくらいなら実測一発です。
ジャッキUPしてウマに乗せたらホイールを外して、1G位置までジャッキでサスペンションを縮めて
ハブのストロークとスプリングのストロークの比を求めるだけ
ACF-実測計算
ストラットサスペンションのハブを150mmストロークさせたら
スプリングは135㎜ストロークした、この時のACFは
ACF=135mm÷150mm
ACF=0.9
となります
最近では車高調メーカーから車高調整用に数値が公開されている場合もあります。

次はちょっとややこしい方
マルチリンク&ダブルウィッシュボーンなどのレバー比とACFが混在するサスペンションの実測方法

これは2要素がストローク比に表れてしまうので、分解して考えなきゃいけません
マルチリンク系でもコイルオーバーユニット(スプリング)は3Dで傾いていますので、
レバー比を実測で求めた後に実測ストロークからACFを計算します。

 最初にコイルオーバーユニット(スプリング)が取り付けられているアームを実測して
レバー比を求めます
これもウマに乗せてホイールを外して作用点、力点、支点の位置関係をスケールで測ればOK
実測した長さの比がレバー比になります。

次にACFの測定、
ストラット式の時と同じように
ジャッキUPしてウマに乗せたらホイールを外して、ジャッキでサスペンションを縮めて
ハブのストロークとスプリングのストロークの比を求めます。
この時のスプリングストロークは先ほど求めたレバー比によるストロークと差が生じます
このストローク差がマルチリンク系のACFとなります
レバー比&ACF実測計算
つまり
最初にアームを実測してのレバー比を求める
アームの支点、力点、作用点からこのサスペンションのレバー比は1.5
レバー比1.5のサスペンションのハブを150mmストロークさせたらスプリングは90㎜ストロークした、
この時のACFは
レバー比によるストローク成分 150÷1.5=100㎜
100mmはレバー比により求めたスプリング取り付け位置の垂直ストローク成分なので
実スプリングストロークとの比がACFとなるので
ACF=90mm÷100mm
ACF=0.9

例題として、
この実測値を用いてスプリングレートからホイールレートを求めると
フロントストラット
スプリングレート 4kgmm
ACF 0,9
ホイールレート=スプリングレート÷ACF
ホイールレート=4kgmmx0.9
ホイールレート=3.63kgmm

リアマルチリンク
スプリングレート 10kgmm
レバー比1.5
ACF 0.9
ホイールレート=スプリングレート÷レバー比2乗 x ACF
ホイールレート=10kgmm ÷1.5 ÷1.5 x0.9
ホイールレート=4.00kgmm

となります。
これでレバー比とACFの実測から計算への折り込みができます
解きほぐしちゃえば難しくないでしょ♪


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「レバー比とACFを理解しよう ③」への9件のフィードバック

  1. 初めまして。
    いつも勉強させていただいております。

    計算しようとしてふと思ったのですが、
    サンプルの絵の寸法が納得出来なくなってきました。

    ハブのストローク量に対してバネのストローク量が大きく書かれていますが、実際は逆ではないでしょうか?

    実測で逆になってしまい、三角形を色々書いて計算したところ、斜辺の長さの変化量のほうが小さくなる様に思います。

    そうするとこの記事のACFの使い方では、分母と分子が入れ替わるのではないでしょうか。

    1. こんにちはsatさん

      コメントありがとうございます
      最初に、ごめんなさい
      計算とイラスト両方間違っていました。
      お手数お掛けしました事をお詫びいたします。

      早速記事を修正いたしました。
      間違えの始まりはACF実測イラストでのスプリングストロークの求め方でした
      ストローク長と実測寸法の表記が逆になったまま勧めて、
      最後まで書ききってしまったようです

      ブログ修正の機会を頂きありがとうございました
      今後、ちゃんと検算してからUPいたします。
      こんな初歩の間違いをする拙い独学ノートですが
      今後ともよろしくお願いいたします、

  2. 素晴らしい記事いつも拝見しています。

    ふと疑問に思ったのですがレバー比1.5, ACF1, スプリングの自由長200mmの場合ホイールの自由長は300mmになるのでしょうか?

    1. コメントありがとうございます!
      ちょっとバタバタしていて返信遅くなりました。
      レバー比によるストローク量が変わる部分の考え方は正しいです。
      200mm x1.5 =300mm

      ただしレバー比はダンパーストローク量とホイールストローク量の関係ですので
      スプリング自由長は関係ありません

      同じストロークのダンパーに組まれているスプリングの自由長だけを変更してもダンパーストローク量は変わりませんので
      ホイールストローク量も変化しません

  3. はじめまして
    バネレートの決定のために固有振動数なるものに出会い、方々巡ってこのホームページにたどり着きました

    むちゃくちゃ勉強させてもらってます
    ありがとうございます

    さて、質問なのですが、固有振動数の算出式が
    =√(スプリングレート / 単輪バネ上荷重) / 2π
    とされてるサイトが多いのですが、コレはレバー比やacfを無視していて、
    =√(ホイールレート / 単輪バネ上荷重) / 2π
    となるのが正しいのでは? という考えに行き着きました
    上の私の考えは間違えてるのでしょうか?

    要約すると、「固有振動数にレバー比やacfは影響を与えますよね?」という質問です

    是非お考えを聞かせてください
    よろしくお願いします

    1. あじゃぱさん
      コメントありがとうございます

      もちろんレバー比とACFは関係あります
      計算順序を考えれば当然の結論です
      ① バネ上固有振動数を設定
      ② バネ上重量と設定した固有振動数からホイールレートを計算
      ③ホイールレートにサスペンションのレバー比とACFを織り込んでスプリングレートを求める
      の流れですから

      レバー比が大きいダブルウィッシュボーンやマルチリンクでレバー比無視で計算したらスゴい事になっちゃいますよね(笑)

      一度、ノーマル車両のスペックからバネ上固有振動数を求めると計算順序が理解出来ると思います。

      1. ①~③の流れ、ストンと腑に落ちました
        ありがとうございます

        Excel使って数値出して遊んでますが、出て来た数値が妥当なのかを判断する知識も経験もなく。。。

        また、何かしら相談?させてもらう事もあるかもしれません
        その時はよろしくお願いします

  4. 素晴らしい記事をありがとうございます。大変楽しく読ませていただいております。

    リアマルチリンク
    スプリングレート 10kgmm
    レバー比1.5
    ACF 0.9
    ホイールレート=スプリングレート÷レバー比2乗 x ACF
    ホイールレート=10kgmm ÷1.5 ÷1.5 x0.9
    ホイールレート=4.00kgmm

    とありますが、ACFもレバー比を決める成分だと考えると、ACF込みのレバー比は、レバー比÷ACFなるのではと。

    その場合、ACFを含めたホイールレートの計算は、
    ホイールレートにACFを掛けるのではなく、

    10kgmm÷(1.5÷0.9)÷(1.5÷0.9)=3.63kgmm

    とはならないのでしょうか?

    1. shomaさん
      コメントありがとうございます
      結論といたしましては
      レバー比とACFは全く異なる要素です

      レバー比を持つサスペンションに取り付けられたコイルオーバーユニットが傾斜している事をイメージしてください

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