R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑫

R33 GT-R 「大先輩号」リアサスペンション仮組みして頂きました
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ハイパコ&ベステックスのツイン+ヘルパー仕様♪
仕上がりが楽しみです

さて、、、
R33 GT-R「大先輩号」のサスペンションセッティングの続
週末の時間を使って車両重心高さを求めて、ロール&ピッチモーメントを計算して荷重移動量を計算して
おおまかなストローク量を計算しました

まずは重心高
これを探すのが大変だった、、、
普通にグーグル先生に聞いても見つからない難問ですので方向を変えて調べると、、、

見つけたのはステージア R260の仕様書
ステージア R260はオーテックがステージアにR33 GT-Rの動力系をマルッとソックリ移植した改造車
つまり「R33 GT-Rのワゴン」ですね~

この仕様書から見つけ出したのが「最大安全傾斜角 55°」
「これ以上傾けると引っくり返るよ!!」って角度です。

基本的に新車の型式認証や改造車の公認なんかの際に必要な検査項目なので
この55°は実測値

基本構成が似通っていてフロントトレッド数値が一致したので、
この値を使って計算します
「角度と長さ」さえわかっちゃえばTanθで一発計算
重心高は518.15mm 全高1365mmだから 38%
だいたいイメージ通りですのでOK
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この重心高さを使って「1g減速」と「1g旋回」のモーメントを計算します。
ここで悩ましいのが「ロールセンター高」と「ピッチセンター高」

サスペンションジオメトリーが作る仮想軸で1g状態でのアーム角度を使って求めますが
正確なアームジオメトリがわからないので計算不能、、、
考えられる最悪条件で計算します
ロールセンター高さ、ピッチセンター高さともに0mm 地面に設定します

ストラットサスペンションで考えなしに「フェンダーとタイヤのカッコイイ隙間」を目安にシャコタンにすると
ロールセンター、ピッチセンターもダダ下がりで地面の下になって妙な動きするようになります(笑)
他にも弊害あるので、基本的に「車高を下げると性能下がる」が正しい理解です。
(あとでこの辺もネタになるな、、、)

ロールセンターは瞬間的な仮想軸である理由は、
ロールが進むにつれてアーム角度も変化するので
一箇所には絶対に止まらずに動き続けるので、計算で求められた荷重移動量はあくまでも目安になります

変化傾向は旋回でロールが進行すると
ロールセンターは下がりながらイン側のタイヤに寄って行きます。
ロールセンターが車両中央からイン側に移動する事で重心位置とロールセンターがオフセットするので
本来なら重力も計算に入れなければならないのですが、、、

すみません、、、
資料を集めて計算式を組むまで半年くらい掛かりそうですので割愛します

で、、、
実際に重心位置に1g減速(平滑路面でのフルブレーキ)を入力させてモーメントを求めてホイールベース&トレッドで計算すると
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1減速時のピッチ荷重移動量 280kgf
フロント軸に+280kgf移動して
リア軸は280kgf減少します

これを1/2して単輪荷重にしてホイールレートを使ってストローク量に換算すると
280kgf ÷2 ÷6.61kgfmm = 21mm

縮みサグはバンプタッチまで27mmなので6mm残りましたので赤点は免れましたが、、、
1g減速中に6mmの路面不整までは吸収できるって事ですがバネ上のバウンス量にもストローク喰われるので
余裕ないですね
インチUpでタイヤのバネ係数も上がってるし、撓み量も少なくなっているので
バンプラバーのテーパー部分の特性に期待しましょう

次に1g旋回(平滑路面でのタイヤの滑り出しはこの辺り)でのロール方向での荷重移動量を見ると
前軸ロール荷重移動量 286kgf
Out側に286kgf移動して
IN側は286kgf減少します
ホイールレートを使ってストローク量に換算すると
286kgf ÷6.61kgfmm = 43.27mm

Out側はバンプラバーに完全に当たって
IN側は伸び切っちゃいますから1g旋回できるかはバンプラバーとフロントタイヤ次第ですが
たぶんスリップダウンしてアンダーなるので無理ですね

後軸を見ると
後軸ロール荷重移動量 227kgf
Out側に227kgf移動して
IN側は227kgf減少します
ホイールレートを使ってストローク量に換算すると
227kgf ÷7.37kgfmm = 30.80mm

縮みサグはバンプタッチまで60mmなので29mm残りますので余裕の合格点
1g旋回中に29mmの路面不整まで吸収できるので安全マージン高いです
1g旋回状態から0.8g加速くらいまでなら受け止めるだけのキャパシテイありますね~
先にタイヤの方が限界を迎えるのでリアは大丈夫ですね

フロントとリアのストローク量を見ると、先にフロントが限界を迎えるアンダー特性なのでOK

フロントタイヤを使う減速旋回では追い込まずに
真っ直ぐにガッチリ減速して
一次旋回でちょっと多めに向き変えして
二次旋回で加速旋回させてフロント荷重を抜いてあげると良く曲がりますね!
リアタイヤにスリップアングルをしっかり付けて加速旋回重視の乗り方の方が相性良さそうです

V-spec&Nismo系のサスペンションセッティング、
4WD&4WSの制御特性も
ブレーキング~一次旋回 2WD+逆相違4WS
二次旋回~加速 4WD+同相違4WS
で二次加速旋回重視を示唆しています

コツは一次旋回はフロントのキャパシティを意識してフロントを使いきらないイメージ
一次旋回でチョットだけ多めに内向きにして、
二次旋回でパワーを入れてフロントは荷重を抜いてアンダーステアで押し出し
リアは一次旋回で作ったスリップアングルを維持するように「遠心力+パワー」でリアタイヤを斜めに進ませるイメージ
二次旋回は同相違4WSが効いてラインが膨らまない分パワー掛けられるし
4WDでフロントへトルクが配分されるので
決まれば強烈な二次旋回が楽しめます♪

コノ乗り方でGT-Rが素直に動くはずです

ちなみに、ロールセンターをノーマル車高付近でどうなっているかのイメージとして
E36 M3のロールセンター高を代入して数値を見ると
フロントロールセンター 135mm
リアロールセンター 260mm
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フロントロール荷重移動量は212kgfで-74kgf
リアロール荷重移動量は113kgfで-114kg

重心高さを変更していないのでシャコタン不利な条件ですが
フロントもリアも荷重移動量が大幅に減りますので、シャコタンにして重心高を下げるより
ノーマル車高でロールセンターを適正化したほうがロールが少なくなります、

「シャコタンにすると重心位置が下がって性能が上がる」は完全に嘘です。

大先輩! コレが僕が純正車高(ロールセンター高)にこだわる理由です

ダブルウィッシュボーン系マルチリンクで車高に対するロールセンター感度は比較的少ないですが少しでも足しにしたいので
我慢の限界まで車高上げてロールセンターを持ち上げてください!!

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「R33 GT-R 「大先輩号」の仕様変更を考える⑫」への6件のフィードバック

  1. 傾斜角、よく見つかりましたねぇ

    で、外足だけ考えると、バネが堅い分ロールが減ってアーム角度がつかないので、予め車高を落としておけば対地キャンバーは美味しい範囲が使えそうですが、内足のジオメトリーはどうなるのだろう? 絵を描くか1/10モデル使って悩んでみるかな。

    1. 幸運にもオーテックの古い資料が検索に引っ掛かりました
      後でリンク送りますね~

      R33のサービスマニュアルには傾斜角って記載されていませんか?
      記載されていれば 正しい数値を入れてみたいです

      内脚のキャンバー変化ですが、
      フロントに関しては
      「短くて上反角アッパーアーム」
      「長い水平のロアアーム」
      の組合せなので
      ノーマル車高から下げると内脚のポジティブ方向へのキャンバー変化が少なくなるので内側タイヤが上手く使えないかもしれませんね、、、

      1/10モデル作るの大変ですよ~

      キャンバー変化ならダンパーユニット取り外してプロトラクターをハブに当ててストロークさせながら数値記録すればグラフプロット出来ますね

      トウ変化はホイールハブにアルミアングル付けて 振り下げを2個使ってプロットすれば何とかなりますね~

      確実に2日作業になりますが(笑)

      1. サービス項目ぢゃないので認証資料を見ないと駄目でしょうね。

        1/10はイメージ掴むだけなのでタミヤ製ですよ

        1. サービスマニュアルには傾斜角の表記無いですか~
          やっぱり簡単には見つかりませんねぇ

          キャンバー変化は今度実車で計測してみますか!?

  2. 今回計算してもらった1G加速と1G旋回の荷重移動量を使って、XLタイヤの空気圧vs負荷能力から負荷率を計算してみました。

    ①33純正:LI=95×2.3kg/cm^2 ⇒ 675kg
    ②34純正:LI=93×2.3kg/cm^2 ⇒ 635kg
    ③PS4S :LI=97×250kPa ⇒ 648kg

    前輪荷重:453kg/輪(1名乗車)
     負荷率:①67%、②71%、③70%
    後輪荷重:362kg/輪(1名乗車)
     負荷率:①54%、②57%、③56%
     → 前後輪のタイヤ撓み量を均等化を狙って前輪の負荷率に合せると空気圧が180kPa以下で下がり過ぎNGでした

    次に、
    1G減速時荷重移動量:280kg
    ⇒ 前輪荷重=453+280/2=593kg
     前輪負荷率:①88%、②93%、③92%

    1G旋回時前輪荷重移動量:286kg
    ⇒ 前輪荷重=453+286=739kg
     前輪負荷率:①109%!、②116%!、③114%!

    1G旋回時後輪荷重移動量:286kg
    ⇒ 後輪荷重=362+227=589kg
     後輪負荷率:①87%、②93%、③91%

    何と1G旋回では前外輪が負荷能力を超える計算結果でした。
    まぁ1Gは出せないと思うけど。。。

    1G旋回からの加速時リヤグリップを考えると後輪空気圧は230kPa ⇒ 605kgに落としても後輪負荷率97%なので荷重的には大丈夫そうです。一方で空気圧が下がるとタイヤ縦ばね定数が下がってサイドウォール撓みが増えて腰砕け感がでるかもしれませんね。

    茂木南で試してみますかね。

    1. タイヤ空気圧変更によるバランス修正は
      以前に一度挑戦してみました。
      結構フィーリング変わりますよ~

      1G旋回時の荷重移動量計算はメインスプリングレートだけですので
      実際はスタビライザーによるロール剛性とサスペンションアームのアンチロールジオメトリが加わるので
      もっと少なくなります。

      リアの空気圧変更は見つけるのが難しそうですね
      たわみを増やせばスリップアングルが増えますがタイヤの縦方向のフィーリングが微妙になるかも、、、

      旋回加速でリアのアウト側に荷重を集めるイメージで乗ると
      リアが弛いと乗り難さが出てきますよ~

      茂木南には空気入れ持って行かなきゃ(笑)

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