E36 M3 フロントスプリング仕様変更(スプリング固有振動数の変更)

スプリングの考察が進んだので、仕様変更して体感変化があるか実験してみます

スプリングの仕様変更を色々考えて、有効ストロークと耐荷重によるフィーリングの違いを考えてきて
もう一つ違う視点を考えてみました。

そもそも論で「ちゃぶ台ひっくり返し級」なんですが、
「スプリングの耐荷重を2Gにする必要があるのか?」って根本的な部分から考えてみる事に
確かに荷重移動の要素を考えると2G設定は完全にスプリングで姿勢を作れる状態ですが、

ノーマルスプリングやノーマル形状メーカー系チューニングサスペンションのスプリングって
そんな耐荷重を持っている訳が無いですよね

縮みストロークが50mmあるダンパーでもスプリングレートが3kgfmmだったら僅か150kg
1輪荷重380kg程のM3で考えても僅か40%で1.4G程度
残りの不足分は全てバンプラバーで受け止めていますが コレでも十分走れちゃうんですよね

この設定は低い固有振動数と低い減衰力で優れた乗り心地と、
バンプラバーをサブスプリングとして使うことにより高荷重状態でも姿勢を保てることになりますが

スポーツ走行の視点から見ると、追い舵が効かない(1度旋回姿勢を作ってロールが安定したら、バンプタッチ状態で脚がストローク出来ないのでアンダーしか出ない)って事だと考えています。

まァ、ココまで極端に耐荷重を下げなくても
「2Gを少しくらい切っていても問題ないんじゃないか?」って考え始めました

今までの理屈だと耐荷重が低くてストロークが短いスプリングを選ぶので、乗り味は固くなる方向ですが
耐荷重を下げて最後のストロークをバンプラバーで止めようってノーマルサスペンション寄りの使い方になり
「素線が太くて長い事により有効ストロークが短く、耐荷重が低い」スプリングを使った場合の特性を考えてみると

0G~バンプラバー域は重いスプリングの特性で伸びが遅く跳ねにくい特性になり
バンプラバー域はサブスプリングとしてバンプラバーで荷重を支える事で、ウレタンの低反発特性で跳ねが抑えられる
って事になりますが、、、

もし悪い特性が出たら、耐荷重限界付近でのナーバスな動きが出てくるかもしれません
うーん やっぱり試さなきゃ解りません、、、

今回は、スプリングの動き方は「耐荷重」と「スプリングの重量(レート変更無しなので=スプリング固有振動数)」のどちらに影響されるかを試してみます。

今回、仕様変更するのはフロントのメインスプリング
現状のM3のフロントはトリプルスプリング仕様で、
メイン 14kgfmm
プライマリー 20kgfmm
アシスト(テンダー)6kgfmm
の組み合わせで、合成レートは
メイン 14kgfmm
プライマリー 8.24kgfmm
アシスト(テンダー)3.47kgfmm

1G付近は8.24kgfmmで動かして
荷重が抜けると3.47kgfmm
荷重が掛かると14kgfmm
最後は柔らかめのバンプラバーに乗せる
のバリアブルレートです。

このスプリングセットに120mm近いダンパーストロークを組み合わせて底付きや伸び切り感はほぼ回避していますが、
現状で唯一気になるのが、14kgfmm領域での伸びの速さ
フロントストラットに付けられたスタビライザーブラケットの都合で
トリプルスプリングにした場合のスペースが十分取れないのがM3ストラットの欠点
リアのメインスプリングと揃えたかったのでアイバッハで探しましたがID65 5inchiの設定が無く、
仕方なしにSWIFTを組んでいました。

今回、スプリングを調べていて見つけた「より素線長が長い重いスプリング」エンドレスのXコイル 5inch

SWIFTの対極にある設計のスプリングに換装するので体感効果がより大きく出ますね
つまり、伸びの速さ(跳ね)が抑えられて乗り心地が良くなり、ステアリングレスポンスは鈍くなる方向
(そろそろ”動き”がダルく感じるので、他の方法でレスポンスUPの方法を考えなきゃ)
Xコイルの「耐荷重が少なくストロークが短い」苦しい部分がどう出るか?

スプリングスペック
SWIFT
レート 14kgfmm
自由長 5inch 127mm
ストローク 67mm
耐荷重 938kg

Xコイル
レート 14kgfmm
自由長  125mm
ストローク 49mm
耐荷重 686kg

SWIFTは耐荷重(ストローク)が大きく、素線が細く短い(重量が軽い)、
Xコイルは耐荷重(ストローク)少なく素線が長く太い(重量が重い)
相反する条件ですね。
さて、交換してみる事で何が起きるか?

とりあえず取り付け出来るかを数値で確認するために、全てのスプリングのストロークを合計して確認をしてみると
メイン(Xコイル) 49mm
プライマリー 22.5mm
アシスト(テンダー) 41mm
全スプリングストローク 112,5mm
うーんメインスプリングのストローク不足が厳しいですね、SWIFTに比べて18mmも短いのが苦しいです。

フロントサスペンションを分解してストロークを実測してみると
p1
ダンパーストローク 110mm
Oリングの位置とダンパーシャフトの汚れ(ドライルブの残り具合)でダンパーストロークを実測しているので、確実にこの位置で止まっています。
p2
バンプラバーの当たり具合を確認してみると

バンプラバーの柔らかい先端部分に僅かに触れる程度、事実上バンプタッチは完全に回避(一切の気遣い無しで乗り回しています。)
これにプリロード分を追加してスプリングの全ストローク量を求めると
プリロード 20mm
実行ストローク 130mm

このまま組むとXコイルのストローク(耐荷重)不足でオーバーストロークするので
バンプラバーを20mm追加して最後はバンプラバーで支える脚に変更
追加バンプラバー 20mm
実行ストローク 130mm – バンプラバー 20mm – スプリングストローク112.5mm = 2.5mm
さらにスプリング自由長が127mmから125mmでプリロードが2mm程抜けているので4.5mmのマージンがあります
相変わらずのギリギリっぷりですが、なんとか収まってます
p3
さてSwiftとX-coilを並べてみると

同じ14fgfmm 似たような自由長でもあきらかに設計が異なりますね~
Swift 14kgfmmも単品でみると硬そうなゴツさがありますが、X-coilはすでに縮むとは思えないシロモノ、、、
軽くドライバーで弾くとSwiftはビーンッって高めの音 X-coilはビーンッって低めの音
(良くわからないってぇ、、、)

で、ダンパーにスプリングとベアリングを組んでアッパーシートを乗せてスプリング全自由長が計算と合っているかを確認

p4
スプリング全長は265mm
詰め込んだなぁ~
スタビブラケットさえなければ、余裕が出来るからあと1inchは長いスプリング組めますね(笑)

もちろんコレでもギリギリに攻めているので
アッパーマウントを付けてトップナットを締めると

p5
全長245mmで問答無用にプリロード20mm!!

p6
車高調整ピロアッパーマウントは全下げ位置でノーマル車高になるロングストローク仕様
縮み側ストロークはノーマルサスペンション+20mm
サスペンション単体で見れば「ダートでも走るんか?」仕様(笑)

今回のロングストローク仕様のダンパーでハッキリしたのは、
「不要なストローク」なんて存在しません
ストロークが長いほど乗り心地、トラクション共に有利です。

コレで走らせてみて、乗り心地が悪く跳ねるような動きになれば、
固有振動数より耐荷重(ストローク)の方が影響が大きく
乗り心地が良くなれば、固有振動数の方が影響力が大きいって事になります
あとは、バンプラバーを当てて使う設定に変更したことによる影響がわかりますね

乗ってみました!
E36 M3 フロントスプリング仕様変更(スプリング固有振動数 VS 有効ストローク) インプレッション


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