およそ1ヶ月振りのアクロトレーニング、
天候は曇り、夕方には雷雨の下り予報、オマケに靄による10km以下の低視程、高湿度による性能低下
雷雲はレーダーエコーを見ながら撤収のタイミングを計れば逃げられますが 低視程はシビれますね、、、
短時間での姿勢判断を繰り返す曲技飛行で情報量が少なくなるのは難易度が高くなります
1030のブリーフィング後、本日1発目で飛んだKさんが
「靄で真っ白、背面で真っ直ぐ飛べれば尊敬モノ」
との非常にわかりやすいWXレポート
「あのぉ~僕の今日のテーマはロールと背面なんですが、、、」
作ってきたシーケンスを見せるなり
Kさん&S教官そろって 「ムリムリ(笑)」
高い所は真っ白で姿勢判断が難しいから垂直系の科目で組んで
ある程度高度が下がってから背面飛行を組み込んだ科目に作り直し
S教官からの提案で最初の科目に1/2スナップロール+1/2ループを練習します。
で、急遽作ったシーケンスが、
1/2スナップ + 1/2ループ(スナップで入るスプリットS)
エルロンロール
ハンマーヘッド
ハンプティバンプ
1/2リバースキューバン
背面飛行
の組み合わせ、
1/2スナップ+1/2ループ
浅いダイブで140km/hに加速、控えめにスナップロールに入れて背面姿勢で止める、
ポイントは剥離に入った瞬間に旋転を止める操作をして慣性を付けすぎない、
背面状態で100km/hまで減速した後に4G 1/2ループ
エルロンロール
苦手意識が完全に出来てしまった科目、、、
どうしても180°~360°までの間でラインが沈むので
今回は背面状態でエレベーターDownを入力
180°(背面状態)で明確な-1Gを感じ、ラインは沈まなかったが入力したエレベーターDownの戻しが悪く、270°~360°でヘディングがすっ飛ぶ
エレベーターDownを入れるタイミングは掴んだのでもう少しで形になりそうです。
ハンマーヘッド
視程が悪く、垂直姿勢を作るのがとにかく難しく感じた、
「垂直の確立」に気を取られ、滑らせる量が不足して綺麗に反転できない
ハンマーの操作をしてラダーまで蹴っているが、ナゼか完璧なテールスライドが決まる、、、
そうじゃないんだよ、、、
2回のフライトで失敗を入れて6回以上練習するが、そこそこ形になったのは1回だけ、
完全にハマりました、、、orz
ハンプティバンプ
230km/hから垂直上昇、ラインを確立したところで1/2ループ、垂直降下でラインを作り再度引き起こして230km/h水平姿勢へ
ハンマーヘッドで垂直姿勢の確立に苦しんでいたわりには、ナカナカの完成度
1回目は僅かにエネルギー不足で1/2ループが潰れるが、2回目はOKがもらえた。
ループ系の方が相性が良いのかな、、、
背面飛行
今回はエルロンロールから背面に入り直線背面飛行
視程が悪い割にはバンクは安定して真っ直ぐ飛ぶことが出来たが、
「背面での姿勢の知覚」がまだまだ出来ていないので、速度計を追いかけていてピッチが安定しない
ダメ出しを喰らう内容が操縦練習生級、、、
全般的な反省としてループ系の後半でオーバースピード気味になっている
200km/hで出てくる科目で230km/hまで加速してしまっている、
シーケンスを飛ぶときに失高が積みあがると最後のフィギュアまで飛べなくなり点数を失うので要注意、
練習期間が開いてしまい飛行技術の上達を実感できませんが、次第に平常心で飛べるようになって来ています。
単なる慣れなのか、上達なのかはわかりませんが(笑)
今回のトレーニングで学んだ生き残るために大切な事、
フライトの合間のブリーフィングで「高G科目を速度不足で行った場合の不意のスナップ」の危険性の話題になり
高G失速(速度に対して過大なGが掛かると主翼表面から気流が剥れ揚力を失う現象)に陥った場合、機体特性で片翼だけに剥離が起こりスナップ(スピン)状態に陥り、コントロール不能になる
エンジンパワーの無いグライダーのスナップ状態からの回復は
「自由落下による増速」と「慣性の消滅での旋転停止」を待つしかなく、低空で陥ればリカバリー不能で墜落の危険性が高い
科目の開始速度を厳守しなければならない最大の理由です。
2回目のフライトで、十分な安全高度となる1200mで、
基本的な科目の「ループ」での高G失速を起こして何が起きるかを見てきました、
通常は200km/hで開始する科目を、160km/hから4G引き起こし
3/8ほど回りもう少しで背面に入る位置で、いきなりズドン!!
空気を掴めなくなり揚力失った片翼に引かれ、一気にスナップに引き込まれ、
揚力で生み出していたループを描く求心力を失い、溜め込んだ4Gの遠心力で軌道から放り出される
エレベーターUpを緩め、慣性に機体を預けてコントロールの回復を待つ
ロール方向に1回転半ほどでスナップが止まり、重力に引かれて機首が沈み機速が増し翼にエネルギーが戻る
垂直降下で安定させ200km/hに加速してから引き起こし、
コントロール不能な自由落下での大きな失高、
「単純なループだ」と不用意に低空低速でエントリーしてスナップに陥ったらリカバリーに必要な高度が足りずに確実に墜ちますね、、、
今回改めて「事故に直結する危険な事象」を「出来る限り安全な状況で体験」するのは、なによりも安全に直結すると思いました。
間違った操縦をすると、何が起こり、どのような危険があるかを体験して、生き残るための約束を自分で作る事はどの乗り物でも同じですね
曲技飛行だけではなく、日常生活であっても「危険を直視して安全を考える」事は大切なことです。