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2014世界選手権 0.5秒に泣いたUnknown

競技前日に発表されて、イメージトレーニングのみで練習飛行無しで競われるUnknown競技、
経験と基礎技術が如実に現れる競技科目です。

今回のUnknownシーケンスを確認すると、、、
Unknown
①Pループから1/2スーパースローロー
「Pループ」は垂直上昇から3/4ループなので通常のループより垂直ラインを作る分だけ
増速して描けば問題なく実施できる科目、
続く「1/2スーパースローロール」は通常フルエルロン最大ロールレートで回る
エルロンロールでは約4秒で360度ロールしますが、
スーパースローロールは10秒以上掛けて360度ロールさせる科目です。

今回は1/2(ハーフロール)なので5秒以上掛けて1/2ロールで背面飛行に移行します
スーパースローロールはロール中のヘディング維持とピッチ(速度)管理が難しく減点要素が多い科目です。

②背面から45°UP +5/8ループ
1/2スーパースローロールで背面飛行に移って、そのまま操縦桿を押し込み45°UPで上昇してラインを描く
45°ラインを描いた後で5/8ループを描き水平飛行へ

③BOX中央でネガティブ テールスライド
風下に流されすぎると残りのフィギュアのスペースが少なくなるので要注意
短時間で姿勢を安定させてテールスライドに持ち込む
テールスライド後の垂直降下で90°捻ってY軸に出る

④Y軸からのハンマーヘッド
ジャッジ席正面でのハンマーヘッドなので、スライドを打ち消すカウンターラダーをキッチリ入れて垂直姿勢を維持しないと減点しまくられる
スランプ真っ最中の科目を2連発でジャッジ正面で飛ぶのはキツイ、、、
ハンマーヘッド後の垂直降下で90°捻ってX軸に戻る

⑤45°UPから1/2ロールで背面、1/2ループで45°down 1/2ロールで背面
言葉で書くのは難しいフィギュアですね
45°上昇姿勢にしてから1/2ロールで背面にしてから1/2ループさせて45°降下姿勢に、
ここでもう一度1/2ロールで背面にしてから操縦桿を押し込んで背面水平飛行で出る
コレだけ姿勢変換が多いフィギュアも珍しい、科目不成立で0点にはなりにくいけどジャッジが喜ぶ減点しやすいフィギュア
一つ一つの姿勢を決めていかないと減点が重なってスコアダダ下がり

⑥背面から45°UPで1/2 4ポイントロール
もう一度背面から操縦桿を押し込んで背面45°UPの姿勢にして90°毎にロールを止める4ポイントロールを半分
背面から2×4ポイントロールで戻して45°UPラインを出したら直に水平姿勢に持ち込む、
ダラダラと45°UPでラインを描いていると速度を失ってグダグダになるから要注意

⑦水平姿勢から45°Downで加速して1/2ループで背面45°UPラインを描き、直ちに1/2ロール
45°UPラインを描いたらスグに操縦桿を押し込み水平姿勢を作って科目終了

Unknownを飛んでみて、、、ハンマーヘッド後が特に難しい、
45°UPからの1/2ロールが多くて息が詰まるような嫌な時間と姿勢を2回も味わう、
特に最後のフィギュアは水平姿勢に戻した時の速度は失速寸前
水平姿勢を出してから「シーケンス終了」の合図のウイングロック3回(翼を3回振る)は必須だけど
エルロンに全く手ごたえが無い程低速になっていてフラフラ
速度が無くなって、翼から気流が剥がれるながらも辛うじて耐えている、
失速警報機が付いていれば声高に「失速寸前」の警報を鳴らす状況

それでもウイングロックしなきゃ減点対象、、、
少しでも加速できるように僅かに機首を下げ、安全方向に保険を掛ける
「操縦桿の手応えからエルロンは殆ど効かないだろうからラダーで押し込む、これはスピン(錐揉み)に入れる操作だから翼から気流が剥がれてバランスを崩す”ヤバい感覚”が少しでも来たらスコアは諦めてダイブして残りの高度を使って逃げる」

ざくっとプランを作って覚悟を決める、速度があればなんてこの無い操作なのに、、、
スピン初動を使って翼を3回振るなんて

息を潜めて、フラフラ、スカスカの翼を何とか3回振って科目終了、、、

精度的には甘い部分もあったけど確実にスコアは取れている実感があったので、
順位UPを確信してスコアを確認したのですが、
なんと最初のフィギュア「Pループ+1/2スーパースローロールが」0点、
備考欄を確認すると、全てのジャッジがTimeと表記してあります。
0点の原因がわかないのでジャッジに質問すると、
「1/2スーパースローロールがチーフジャッジの計測で4.5秒だったので0点」との回答
自分の機搭ビデオを確認するとちょうど5秒ですが、「競技曲技飛行の採点はジャッジが見たものが全て」
が大原則なので、数名のジャッジに相談しても
「正式なプロテストを行っても判定が覆る可能性は低い」との見解でした。

もちろんこのままではすっきりしないので、競技後にチーフジャッジに対して
「正式なプロテスト」ではなく
「ほんとに4.5秒だったの? 僕の機載ビデオは5秒だよ!!」と軽いジャブを打ち込み、
チーフジャッジの「Timeペナルティ」の判断内容を確認した後に
「来年はポーランド語で6秒数えて1/2ロールする」と言うだけ言って笑顔で決着をつけてきました。

憶えてろよぉ~!! コレで勝ったと思うなよぉ~ ううぅ、、、、

残念ながらこのスーパースルーロールでの0点が響き順位UPは果たせず
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908.94点 55.087%で28位/36人に沈む、、、

この後予定されていたFree Unknown競技は前半の天候不良によるスケジュールの都合で上位50%のみでの競技になり下位50%は参戦することが出来ませんでした。

はぁ、、、終わっちゃたよ(泣) 勝負権すら失ったのは本当に悔しい、
Free Unknownまで進んで最後まで戦いたかった、、、


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