お友達がサスペンションセッティングに苦しんでいるようなので少々お手伝い
固有振動数を考えてのレート選択まではたどり着いているので、あと一押しです。
既存のビルシュタインのkitからのレート変更なので基準プリロードを計算します。
今までのデータを並べてみると、、、
バネ上重量(片輪)320kg
レバー比(ACF)1.11
スプリングレート 7kg/mm
ダンパーストローク 82mm
最初にホイールレートを求めます
フロントストラットでもストラットの傾きによりACF(アングルコレクションファクター)が入るのでホイールレートは変化します
ホイールレート=スプリングレート/ACF
6.3kg/mm=7kg/mm÷1.11
ホイールレートは6.3㎏になります。
次にストロークバランスを定めてプリロードを求めます
基本的なバランスのストロークバランス50:50での設定は
縮み 82mmX50%=41mm
伸び 82mmX50%=41mm
のストローク量に割り振ります
このストローク位置を1Gにするためのプリロードを求めます
最初に1Gストローク量を求めると
320㎏(バネ上重量)÷6.3kgfmm = 50.80㎜
50.80mmストロークした位置で1G状態になります
ココでダンパーストローク位置41mmにするためのプリロード量は
50.80mm – 41mm = 9.8mm
必要プリロード量は9.8㎜です。
この状態のサスペンションの縮み許容荷重は
41㎜ X 6.3kgfmm = 258.3㎏
258.3kg ÷ 320kg = 0.81
すなわち1.81Gで底付きになります。
次に、自分の経験上での底付き回避に必要な許容荷重倍数は2Gなので、2Gを満たすプリロードを求めます
最初に必要な縮み側のストロークは
320kg ÷ 6.3kgfmm = 50.80mm
縮み 50.80mm
伸び 31.20mm
ストロークバランス62:38
1Gストローク量は先程と同じく50.80㎜なので
50.80㎜ – 31.20mm = 19.60mm
必要プリロード量は19.60mmになります。
2Gを満足させちゃうと伸び側ストロークが極端に短くなっちゃうので
許容荷重倍数1.8G程度て試してみるのがいいと思います。
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こんにちは。
スプリングの耐荷重が2Gを満たしていてもプリロードで2Gを満たせない場合は、スプリングレートを上げるかダンパーの有効ストロークを多くするしかないのでしょうか??
こんにちは、お久しぶりです
スプリングの耐荷重と有効ストロークはスプリングの選定時に考慮するべき事で
選定時の必須項目は
①スプリングの有効ストロークがダンパーストロークを満足している事
です。
これを満たしていないと、スプリングに塑性変形が生じて自由長が短くなり車高が低下する「ヘタリ」が発生します。
「スプリングの耐荷重2G」は路面不正通過時を除いた状態での最大荷重を考慮した値で、完全に片輪走行になった場合に加わる荷重です。
現実には片輪走行状態までの荷重移動は発生しないので、十分なマージンを取っている事になります。
発生させることが出来る最大横Gからロールモーメントを求めれば最大荷重は計算可能だと思いますが、
詰める必要性が無いのでそこまでは追いかけていません
バンプタッチまで2Gを許容するセッティングは、車両の運動性に関わる領域でバンプラバー介入させたくなかった為です。
プリロードは、ダンパーストロークの伸び側、縮み側の割り振りを調整するセッティングなので、基本的には50:50付近に合わせます。
もし、バンプタッチまで2Gを許容するプリロードセッティングで極端に伸び側ストロークが不足する場合は、ダンパー自体のストローク不足です。
この場合は、ダンパー自体のストローク変更でストロークを伸ばす必要がありますが、多分不可能です。
(ストロークを伸ばす事は、ケース&ロッド長を伸ばす事になるので買い換えた方が安上がりになります。)
「ストローク不足をスプリングレートを高める事で満足させる」は良く見聞きしますが、
荷重/ダンパーストロークでレートを設定するのは根本的に間違っています。
大前提である「バネ上固有振動数からスプリングレートを設定する」事を無視する事になり
単純に”荷重/ダンパーストローク”でレートを設定すると前後ロール剛性バランスが崩れるので、
アンダーorオーバーステア傾向が強くなります。
もし、レートUPで解決するのであれば、必要なスプリングレートからバネ上固有振動数を割り出して、
前後のバネ上固有振動数バランスを揃えたまま前後共にレートUPが必要になります。
これだと、短いダンパーストロークによりバネ上固有振動数(スプリングレート)が不必要に高くなり
短いストロークに固いバネでガチガチの乗り心地になります。
路面不正を超える際のバンプタッチはレートUPによる耐荷重UPは殆ど効果がありません
バネ上固有振動数を超えた入力は、バネ上には伝わらずバネ下の自由運動になるので、単純にストローク量の勝負になります。
縮側減衰力を高めればストロークにブレーキを掛けられますが、限度を超えるとゴツゴツと突き上げます
バンプラバーの形状と特性も大きな要素になっていて
ノーマルサスペンションに付いているような、長くて柔らかく、容量の大きいバンプラバーになる程、突き上げ感が減少して
深くストロークした際の「サスペンションのコシの強さ」を作ることが出来ます。
2G荷重÷ダンパーストロークでスプリングレートを導く方法も一理あるなと思ったんです。限られたダンパーストローク内できっちり2Gを受け止められますよね。
でも、計算してみて固有振動数が前後違って数値が高くなる…
やっぱり、プリロードの計算までしてみないとダンパーストロークとスプリングレートが足りてるか足りてないかわからないものですね。
ありがとうございました(^^)
最大荷重2G設定はあくまでも平滑路面での考えられる最大荷重であって 2Gを満たしていればOKって事ではありません
バネ上重量と用途に応じたバネ上固有振動からホイールレートを導き
車輛のサスペンション構造から生じるレバー比、ACF(angle collection factor:取り付け角度補正)を折り込みスプリングレートを求めます。
「ストロークと最大荷重からレートを導く」は基本的な部分から間違っています。
路面不正に対するキャパシティ(フルボトムまでのマージン)はレートに関係なくストローク量により決定されます
これはバネ上固有振動数を超えた周波数(ストローク速さ)の入力はバネ下の自由振動で処理されるからです。