「適切なスプリングレート」の選定方法を考えてみました。
車両に求める運動性を定める為にホイールレートとバネ上重量によるサスペンションの固有振動数を決めます。
つまり 「どんな使い方をするか?」ですね
用途別によるサスペンション固有振動数の傾向は
高級車 1.0~1.5Hz
乗用車 街乗り~ワインディング 1.5~2.2Hz
乗用車 ワインディング~サーキット 2.2~2.7Hz
主にサーキット走行 3.0Hz~
僕の使い方は「街乗り~ワインディング」
なので狙う振動数帯は2.3Hz付近になりますので
この周波数になるように前後スプリングレートを設定します。
次に求める固有振動数からスプリングレートを導きます。
最初に前後重量配分(重心位置)から前、後軸重量を求め、更に1輪荷重を求める
車両重量合計 1489.33kg
モーメント合計 2030.386.16kgfmm
ホイールベース2710mm
アーム(重心位置) 1363.29mm
前後重量配分 49.7:50.3
前軸重量 740.2kg
後軸重量 749.1kg
これにドライバー&ナビの重量を加えて 設計単位重量 77kg x 2 = 154kg
アーム 1350mm
モーメント 154kg x1350mm 207900kgfmm
車両重量合計 1489.33kg + 154kg 1643.33kg
モーメント合計 2030386.16kgfmm + 207900kgfmm = 2238286.16kgfmm
アーム(重心位置) 2238286.16kgfmm ÷1643.33kg = 1362.043mm
前後重量配分 49.75 : 50.25
ドライバー&ナビ重量含む走行重量
前軸重量 1643 x 0.4975 = 817.56kg
後軸重量 1643 x 0.5025 = 825.77kg
前単車輪重量、817.56kg ÷ 2 = 408.78kg
後単車輪重量、825.77kg ÷ 2 = 412.86kg
この前単車輪重量からバネ下重量を減じた値がバネ上重量になるので、、大物を拾い出してみると
フロントばね下重量
ホイール重量 7.2kg
タイヤ重量10kg
フロントサスペンション系重量 7.8kg
合計25kg
リアばね下重量
ホイール重量 7.2kg
タイヤ重量10kg
リアサスペンション系重量 18.8kg
合計36kg
フロントバネ上重量は408.78kg - 25 kg = 383.78kg
リアバネ上重量は412.86kg - 36 kg = 376.86kg
求められたバネ上重量と固有振動数(用途)を固有振動数の式に代入してホイールレートを求める
固有振動数=√(スプリングレート ÷ 単輪バネ上重量 X 重力加速度 9800mm/s2) ÷(2π)
スプリングレート=単軸バネ上重量 x ((2πx 固有振動数)^2)÷重力加速度9800mm/s2
固有振動数=√(スプリングレート ÷ 単輪バネ上重量 X 重力加速度 9800mm/s2) ÷(2π)
スプリングレート=単軸バネ上重量 x ((2πx 固有振動数)^2)÷重力加速度9800mm/s2
フロント
x = 383.78 x ((2πx 2.3)^2)÷9800
x = 383.78 x 208.84÷9800
x = 383.78 x ((6.28x 2.3)^2)÷9800
x = 383.78 x 208.84 ÷9800
x = 8.17
8.17kgf/mm
リア
x = 376.86 x ((2πx 2.3)^2)÷9800
x = 376.86 x 208.84÷9800
x = 376.86 x ((6.28x 2.3)^2)÷9800
x = 376.86 x 208.84 ÷9800
x = 8.03
8.03kgf/mm
リアはレバー比1.5なので
ホイールレートx(レバー比の2乗)=スプリングレート
x’=8.03 x 1.5 x 1.5
x’=18.06kgf/mm
アイバッハスプリングのカタログから耐荷重を2G(372.7kg x レバー比1.5 x 2G =1118.1kg )を満足する18kgf/mm付近のスプリングを調べると
0120-060-0180
自由長120mm
スプリングレート18.35kgf/mm
ストローク61mm
密着荷重1120kg
密着荷重がギリギリですが何とか収まってます。
このスプリングを採用するので18.35kgf/mmでの固有振動数を求めると
18.35kgf/mm
レバー比1.5でホイールレートを求めると
ホイールレート=18.35÷1.5÷1.5
ホイールレート=8.16kgf/mm
固有振動数=√(スプリングレート ÷ 単輪バネ上重量 X 重力加速度 9800mm/s2) ÷(2π)
x=√(8.16kgf/mm ÷ 376.86kgバネ上重量 x 9800) ÷ (2π)
x=√212.08 ÷ 6.28
x=14.56 ÷ 6.28
x=2.31Hz
狙いどころには十分入っています♪
固有振動数2.31Hzでのフロント及びリアスプリングレートは
フロント 8.22kgf/mm
リア 18.35kgf/mm
現状は10kgf/mmのスプリングが入っているのでフロントが僅かに硬い設定になります。
現状の固有振動数を調べると
フロント 10kg/mm 2.54Hz
リア 14.28kg 2.04Hz
現状のセッティングだと「前が硬くて、後が柔らかい」のが数値でも確認出来ます。
ココまでの計算でリアのレート不足感覚は数値でも確認でき、次のスプリングの選定も完了
リアレートUPでフロントとリアの固有振動数を近付けてフラット感のある乗り心地と運動性の向上を狙います。