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モランの「高揚力装置」を見てみよう!!

で、、、モランの不整地運用STOL機らしい装備「高揚力装置」を見ていくと

高揚力装置で一番有名な「フラップ」から
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モランのフラップは「シングル ファウラーフラップ」

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このガイドレールに沿ってフラップが下がります。
単純に折れ曲がるフラップに比べて最初の1段目では
レールに沿ってフラップが”すだれ”の様に引き出され翼面積が増えて、
更に下げるとフラップの下げ角が大きくなります。

さらにファウラーフラップは主翼とフラップの間に隙間を作る事で
フラップ上面に下面の圧力の高い気流を流して剥離(失速)を遅らせて高い揚力と抗力(空気抵抗)を作り出します。
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主翼とフラップの間の隙間みえます?

で、、、ジンクルって事ならダブル、トリプルもある訳で
枚数が増えると切れ味が良くなり肌荒れが少なくなります。
僕は電気シェーバーはイマイチなので3枚刃以上でスムージー付き、、、

あれ、、、 !?

まぁ髭剃りと同じく枚数が増えると強力になります。
大型旅客機だと3~4枚は出てきます。

「高揚力装置なのに抗力(空気抵抗)も増えるの?」って思うのは自然な流れ

そもそも「フラップ」は高速性能と低速性能を両立させるために翼形を変える「変形機能」なんです。
翼の断面である翼型はザックリ見ると

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湾曲(キャンバー)が強くて翼厚の厚い翼型(ムチムチした翼)は高揚力 高抗力の「低速用」
湾曲(キャンバー)が弱くて翼厚の薄い翼型(スレンダーな翼)は低揚力 低抗力の「高速用」
つまり、離着陸は「低速用」の翼が必要で巡航は「高速用」の翼が欲しくなります。

じゃあ、「飛んでる時に都合良く翼を変えちゃおう♪」って頭が良い人が閃いて出来た代物です。
「翼厚を変えるのは大変だけどキャンバーなら前縁か後縁をチョイと折り曲げれば似たようなもんだ!!」ってノリでしょう♪

使い方は簡単、
離陸の時はフラップはちょっとだけ、、、 大体10度位下ろします。
これはフラップの特性上、下ろす(角度を付ける)程抗力も増えちゃうので
これから加速しようって時には抗力は邪魔になります。
揚力はガッチリ欲しいけど、抗力は嫌ってときはちょっとだけ

着陸するときは、出来るだけゆっくり飛びたいからフラップは最大に下ろします。
慣性は速度の2乗で効いてくるので着陸速度は遅い方が安全ですし滑走路が短くて済みます。

あと、大切なのがパイロットの視界の確保
飛行機をゆっくり飛ばすには機首を上げてエンジンパワーで釣って来るイメージなんですが
(正しくは迎え角が大きくなり 抗力も増加したので推力を増やして大気速度を維持する)

機首を上げると前下方向(滑走路)が見えないんです。
「着陸してから滑走路じゃありませんでした」は困るので
フラップを下ろす事で抗力が増える事により、同じ着陸進入速度でも機首を上げないで済むので前方視界が良くなります。

この便利なフラップですが、ちょっとした制限があります。
まずは、「速度制限」
翼の形を変えるって物凄い力がヒンジやレールに掛かります。
高速でブッ飛んできてそのままフラップを下げると、フラップがぶっ壊れます、、、

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制限速度は速度計の白弧の範囲内です。

さらにフラップ展開中は最大荷重倍数(最大G)が下がります。フラップ出したまま高Gを掛けるとひん曲がって壊れます。

ここまでが普通の飛行機に付いているフラップの使い方
こんな空力的に便利な機能があれば見逃す筈がないのが
「空力命」のグライダー
グライダーって上昇気流を捕まえてノンビリ、、、なんてイメージが一般的ですが。
(グライダーのドコが一般的だって??)
「設定されたタスクをいかに速く飛ぶか」を競うレースは熾烈です。
速度域は100km/hを切る低速でトンビのように上昇気流の中で旋回して
次の上昇気流目掛けて200km/h以上、時には280km/h近い最高速度でブッ飛んでいきます。

この全速度域で効率を高めるためにフラップ角度を微調整して飛びます。
更にグライダーらしいフラップが「Negative Flap」 下に下ろさないで、上に上がります。
これは高速性能を求めて更に湾曲が少なくて低抗力の「高速」セッティングです。

次ぎの高揚力装置は、、、、
前縁スラット 翼の前に付いている高揚力装置です。

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この機体に付いているのが自動スラット
翼の迎え角変化により揚力(負圧)分布が変わり、レールにベアリンク支持されたスラットが自動開閉します。

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機首を上げていくと(迎え角を増やしていくと)翼の上面の揚力分布が前方に移動してスラットを引っ張り出します。

この時に出来る隙間(スロット)を通じて翼の下面の圧力の高い気流を翼の上面に流し剥離(失速)を遅らせます。
翼の表面と剥がれそうな気流の間に圧力の高い気流を流して貼り付かせるイメージですね

で、、、このスロットですが
多分(絶対)離着陸の時にはお世話になっていますが、
「出来て当たり前、出来なきゃ怒られる」悲しきサラリーマン
しかもフラップみたいに知名度が無い不憫なヤツですが、、、

飛ばすと自己主張が激しくて実にやかましいっ‼
ベアリンク支持ってのがダメで機首を上げて行くと
いきなり「ガコンっ‼」ってデカい音と共に開きます。

更に気流が悪い空域を飛んでも突風しだいで
「ガコン、バタン、、、」
働いてるのは解るから少しオトナシクして、、、 ってな具合です。
知らない人乗せたらビビるだろうなぁ、(笑)

この他にも高揚力装置は色々ありますから調べてみると面白いですよ~

最後に、、、
航空機は取説を良く読み
制限を守って用量、用法を守って正しく使いましょう。
壊すと無事に帰れませんから♪

車と違って軽量化最優先の航空機は安全率が大きく取れない(1,5程度)なので、取り扱いや力の入れ具合であっけないほど「簡単に壊れます」
航空祭などの地上展示で傍に行くときも不用意に触ると子供の力でも壊れるので、不用意に触らない方が身の為です。
触れてみたければ近くのスタッフに聞いてみましょう、運が良ければ触れます。

もし飛行機壊したら、、、恐ろしい請求金額が来ますよ、、、マジです、、、、

(ちなみにエクストラ300のキャノピー(アクリルの風防)が300万円って聞いたことあります )

新車発表で「飛行機の軽量化を模した」なんてネタ話を良く聞きますが、、、
「模した」だけですよ、、、
飛行機の扱いがややこしいは安全率が大きく取れないからです。
同じレベルで車作ったら、修理屋さんぼろ儲けだろうなぁ~


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