ロール剛性のセッティング② 【瞬間ロールセンターとロールモーメント】

前回で考察方針が決まったので
まずは、ロールモーメントがどれくらいなのかを求めないと入力がわからないので
瞬間ロールセンターと重心高からロールモーメントを求めます

計算に使うのはE36 手元にソコソコ情報があるので、コイツで進めます
まずは、入力である重心高さと旋回のよる遠心力(旋回G)の設定

重心高は、以前求めた重心高をそのまま流用
これ以上の正確な値が見つからないので、これ以上詰める事は不可能
相場感からも外れていないからOKとします
E36の重心高さは540mmで設定
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瞬間ロールセンターは
買い集めた古い雑誌の特集記事にあった値を使って
フロント 131㎜
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リア 260㎜
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前下がりのロール軸でこれだけでも瞬間ロールセンターに対して重心高の間隔(アーム)が大きいフロントのロールモーメントが大きい事がわかりますねぇ
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旋回のよる遠心力(旋回G)の設定は、
スポーツ走行時の現状を考えて1G旋回とします
まぁ単純な方が計算しやすい(笑)

旋回Gの前後への振り分けは、前後重量バランスで配分 M3での走行時の前後重量配分は51:49
走行重量 1572kg
・前軸重量 804kg
・前軸バネ上重量 749kg
・前軸バネ下重量 55kg
・後軸重量 768kg
・後軸バネ上重量 689kg
・後軸バネ下重量 79kg
として設定
※イラストとリアの軸重が9kgほど違うけど誤差って事で勘弁して下さい

ロール軸入力を受け止めるのは左右のタイヤなのでM3Bのトレッドを調べると
フロント トレッド 1422mm
リア トレッド 1444mm

では、、、フロントから計算すると
1G旋回での入力は「1G=バネ上前軸重量 749kg」で重心に作用する入力は749kgf
発生するロールモーメントは瞬間ロールセンターと重心の間がアームになるので
540mm(重心高) – 131㎜(瞬間ロールセンター)= 409mm(アーム)

入力xアームでモーメントが出るので
749kgf x 409㎜ = 367010

このモーメントをトレッドの1/2で割り戻せば左右の荷重変動値になるので
367010 ÷ 1422 ÷2≒129kg
Out側は+129kg In側は-129kgの荷重変動が発生する事になります
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同様にリアを計算すると
1G旋回での入力荷重は「 1G=バネ上後ろ軸重量 689kg」で重心に作用する入力は689kgf
発生するロールモーメントは瞬間ロールセンターと重心の間がアームになるので
540mm(重心高) – 260㎜(瞬間ロールセンター)= 280mm(アーム)

入力xアームでモーメントが出るので
689kgf x 280㎜ = 192920
ロールセンター高が効いてフロントのロールモーメントに対して52%ほど
ジオメトリ的にもロール剛性が高いリアサスペンションって事になりますね

このモーメントをトレッドの1/2で割り戻せば左右の荷重変動値になるので
192920 ÷ 1444 ÷2≒67kg
Out側は+67kg In側は-67kgの荷重変動が発生する事になります
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前後荷重配分がほぼ50:50でもサスペンションジオメトリが作る瞬間ロールセンター高の違いで発生するロールモーメントは全く違う事になりますねぇ

ストラットサスペンションだと車高変化に対するロールセンター感度が高いので車高設定が特に難しいってコトです。
迂闊に車高を下げると、
フロントストラット&リアマルチリンクの組み合わせなので
フロントのロールセンターが一気に下がってフロントロール剛性がダダ下がりになって、対角ロールが大きくなり進入でアンダー傾向が強くなる
それに対応するのにフロントのスプリングレートがどんどん高くなってバウンス系の前後バランスが崩れて、、、、
まぁ、、、それは今回はイイか(笑)

フロントに対してリアは約半分のロールモーメントだから「とあるロール剛性」を設定して前後スタビライザーに割り付けても、
リアのスタビライザーホイールレートは低くなるってコト

同じ前後ロール剛性で駆動輪であるリアのスタビライザーホイールレートが低いって事は、
独立懸架のメリットを最大に生かしてトラクションが良く掛る事を意味している

後輪駆動車でリアのロールセンターが高いって凄く重要ですね!!

ここまでの考察で
瞬間ロールセンターと重心高でロールモーメントが決まるので
ストラット車の基準車高はフロントロアアームの角度を水平~僅かに下反角で設定して
リア車高は車量が水平になる高さが基準になると改めて確認出来ました

フロントがマルチリンク系だとロールセンターの割り出しから始まるから大変だなぁ、、、

ロール剛性のセッティング③ 【バウンス系を含めたロール剛性を考える】

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「ロール剛性のセッティング② 【瞬間ロールセンターとロールモーメント】」への2件のフィードバック

  1. ランエボⅤはロールセンター上げたけどジムカーナ向けに低ロールセンター仕様も出してたんですね
     https://bestcarweb.jp/feature/column/59367

    フロントのロールセンターを下げる→重心からのアームが延びる→ロールが増える or 早くなる→タイトターンや切り返しが楽になる(高速コーナーではロール過多)

    流石、purpose builtな時代でしたねぇ

    1. 速度域の違いてサスペンションを2仕様設定していたのは、
      さすが「血統証付き競技車両」ですよね~

      計算上では
      ・高ロールセンター&低レートスタビライザー
      ・低ロールセンター&高レートスタビライザー
      双方とも同じロール剛性値になりますが
      実走行ではロール角が深くなるほど
      ロールセンターはイン側下向きに移動するので低ロールセンター&高レートスタビライザーの方が最終的なロール量は大きくなります

      スタビライザー径のセッティングを組み合わせればロール過度特性まで変更出来ちゃいますが、、、
      セッティング沼に沈みそうです(笑)

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