姿勢変化と4輪トータルグリップ② 「サスペンションセッティングに合わせた乗り方を探す」

山に引っ越してから日常的に325i Cablioretで峠道を移動するようになり、
乗る度に色々試して「乗り方(曲げ方)」を探っていると色々発見できました
ノーマルスプリングの前後バランスの良さを再認識させられるなぁ、、、

最近気が付いた事で一番影響が大きかった事は、、、

「乗り方次第でロール量が変わる」

以前から漠然とは感じていましたが、旋回の組み立て方で同じコーナーでも最大ロール量が変化します。

ノーマルの前後固有振動数の差を考えていて気が付いたのですが、
基本的にノーマル車両はリアの方が固有振動数が高く設定されていてリアの方がロール剛性が高くなっています。
単純に「後席に人を乗せたり荷物積んだりして後軸荷重が大きくなるから」って考えていましたが思い違いでした。

なぜならば、
2シーターでも明らかにリアの固有振動数を高く設定していますから、「後席乗車」の説明は破綻しています。

この事から
「リアが硬いセッティングは必要条件」を前提に
ノーマル車両のリアが硬い(固有振動数が高い)車両の旋回を考えていくと

 ①加速も減速もしない定常旋回状態では
フロントに比べてリアが硬い(固有振動数が高い)のでフロントの方がリアに比べて多くロールします。
ロール軸も基本的に前下がりなのでフロントの外側が深く沈んだ「ロールアンダーな旋回姿勢」姿勢になり
基本的にステアリング操作だけではアンダーステアに終始する

 つまり普通に旋回するとずーっとアンダーステア、
ノーマル車の特性ですよね

定常的なアンダーステア特性は安定性確保に関して必須で これは万人が乗る車として正しい姿、
人間の感覚にもマッチしていて不快感はありません、

見つけた乗り方は「普通に走ってロールアンダー」って特性から乗り方でニュートラル領域を取り出すイメージで
この特性をうまく織り込めているかが「ノーマルで面白い車」のポイントだと思います。
ドライバーの操作を否定するような頑固なアンダーステアの車って退屈ですよね

このリアロール剛性が高くてロールアンダーな状況を変えるには方法は2つ
①足回りを交換してリアスプリングを柔らかくする、もしくはフロントスプリングを硬くして前後ロール剛性バランスを変更してしまう
②リアの軸重を増やして固有振動数を下げ、フロントの軸重を減らして固有振動数を下げる

①は良くあるサスペンション交換、ノーマルサスペンションを捨てて自分の好みのバランスを作り出すためにスプリング変更を行います
ココは各々の好みだからご自由に、、、

 今回はノーマルサスペンションを前提とするので②の道を進みます。
「リアの軸重」を増やすって方法ですが、
カーボンボンネットに交換して、トランクに砂利満載しろって事じゃありません(笑)

話は単純「加速」してリアな荷重移動します。
柔らかいフロントサスペンションは減速と初期旋回だけ使って、
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ロールアンダーになっちゃう苦手な定速旋回領域はできるだけ減らす。
減速から初期旋回の後は加速旋回で固有振動数が高くロール剛性が高いリアに荷重を移して前後固有振動数を揃える

つまり、加速旋回で余裕のあるリア側に荷重移動させて、リアに寄りかかって前後のロール量を揃えるイメージ
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結果としてロールが少なくなります。
ノーマルのM5の加速旋回姿勢を見るとアウト側のタイヤが路面に真っ直ぐに立っています。
理想的です。

教習所で教わる「スローイン、ファーストアウト」ってヤツです

まっすぐ減速して、ブレーキリリースとほぼ同時にステアリング入力を行い
ステアリング旋回によるロールモーメントでフロントを沈ませ続けるイメージ
一気に向きを変えるような初期旋回で旋回姿勢を作ります。
この時にステアリング入力による旋回力による遠心力が作用してリアタイヤを「ぎゅーっ」っと横に絞るような感覚があります。

このリアタイヤを横に絞る感覚の初期旋回で十分向きが変わったら
パワーを掛けて加速旋回に持ち込み沈んだフロントを水平姿勢に引き起こす。
この旋回姿勢に持ち込むと、アウト側のリアタイヤが押し付けられ、わずかにアウト側に斜めに転がりリアタイヤによる旋回加速に入れます。
リアタイヤにしっかりとスリップアングルを持たせた後輪駆動車の旋回姿勢で
バイクの旋回感覚に近いと思います。

この感覚はスリップからスキッド状態に入った世間で言われる”ドリフト走行”とは違うフィーリングです

この旋回姿勢は初期で強く曲げるのがポイントで、「スムーズな運転が速い」ってイメージとは全く異なる動きです
もう少しブレーキでピッチ方向のバランスを崩せればステアリング操作が減ってくるはずですが、、、
僕にはまだ難しいです(笑)

ノーマルスプリングのE36だとブレーキリリースしてとりあえずステアリングを切り込んでいけばリアが自然と曲がります、
リアが曲がり始める前に「なんとなくこの先は曲がらなそう」って感覚がありますが、
その先にもう一段曲がる領域があります。
(いきなり試して刺さっても知りませんよ、、、(笑))

この「リアが硬いセッティング」を意識した乗り方に替えるとノーマルサスペンションが更に楽しくなりました。
旋回中のロール量の積分が減ることによりトータルグリップの減少が抑えられます。
(スリップ率も僅かに増えるので最大グリップ力が高まります。)
ノーマルスプリングでも結構速いし快適
「ヲッサンが公道で遊ぶなら十分でしょって」くらい良いペースで走れます。
しかもタイヤの角が落ちないので減りが遅い♪

ただし、、、
程よい操舵とブレーキリリースのタイミングを掴むまでは結構おっかない、、、(笑)

この逆の操作のブレーキを奥まで引きずる乗り方はもっとも苦手とする旋回姿勢を長く作ることになり
この操作は柔らかくキャパシティの少ないフロントサスペンションを減速と旋回で同時に使うので
フロントロール&ノーズダイブが最大になった姿勢を長く使う事になります、

この状態はフロントアウト側タイヤにどっかり寄りかかってタイヤを使い切っちゃうので、
イレギュラーな事態が生じれば、止まれず曲がれずで追い込まれます。

その分だけ旋回前半のボトムスピードは速くなりますが、リスク高いと思います、、、

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「姿勢変化と4輪トータルグリップ② 「サスペンションセッティングに合わせた乗り方を探す」」への2件のフィードバック

  1. 澤さんの2年前にリヤ軸ドライブとは先取りされてましたね。

    澤さん推奨の「H は 2-3-5 で切り込む」を180度コーナーでイメージすると、、、(B: Brake, H: Handle, A: Accel)

    ・減速G を抜きながらスーっと H を入れ舵角2-3(外側タイヤを撓ませて面圧とヨーモーメント立上げ)
    ・B 放す H 切って最大舵角5(前外輪荷重過多を是正 = 他のタイヤにもCFを担って貰い、摩擦円の全てを曲げに使う。この時、後輪の仕事を意識しする)
    ・CPを少し外からクルッと回り込み(旋回時間の短縮)
    ・A 足乗せ H 戻しながら(ステアリングブレーキによる車速低下の挽回、ピッチング起こしてリヤ荷重、ヨー収束開始)、←ココが酒井さんの言う” 2次旋回” かしら?
    ・立ち上がり方向に向いたら A 全開~

    って書いてみたら、これブラインドコーナーは一発勝負で難しいね、っと。

    1. SFjさん
      ヒントはかなり前に掴んでいて
      サビーネさんのM5の動きを参考に思考錯誤していました
      http://ornis1975.com/2017/05/26/正しい乗り方を探す/

      ヒントから思考錯誤で体験した事が確信に変わったのは
      重心高から加速時の荷重移動量を計算して前後ばね上固有振動数バランスの変化を調べた回です
      http://ornis1975.com/2019/12/13/サスペンション独学ノート2019年まとめ③-「加速gを/
      http://ornis1975.com/2020/01/10/2019年サスペンション独学ノートまとめ④-「加速度/

      加速旋回を重視したほうが旋回中の自由度が高く安全で速いって結論になりました

      ワインディングでは基本的に左旋回はブラインドなのでパキ切りを多用してます
      操作方法はSFjさんと同じで
      パキ切りの短時間でブレーキとステアリングをラップさせて
      一気に向き変えして安定サイドの二次旋回に持ち込みます

      向き変えのイメージは
      「このラインだとイン側フェンダーを軽く擦る」って位に曲げて
      二次旋回の加速旋回でアウト側にはらませて調整しています

      GT-Rだと4WSが効いて 想定よりアウトへ行かなかったので最初は戸惑いました(笑)
      つまり、「もっと踏め」ってGT-Rが囁いてます

      ちょっと攻撃的な雰囲気の乗り方になるので傍目にはラフに見えますよね~

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