カテゴリー別アーカイブ: Glider

凪の空、

久しぶりに天候が回復した日曜日♪
もちろんグライダーです!!
1ヶ月も期間が開いちゃいましたからねぇ

ちょっとモヤが掛かっていて視程はまぁまぁ、、、
梅雨の僅かな合間ですから、贅沢は言えませんね
天気予報がイマイチなので人数が少なめ、、、
好きなタイミングで飛べそうです

気温が上がり始め、山に少し雲が湧き上がって来たタイミングで離陸

複座のASK-21でクラブの先生と一緒にサーマル(熱上昇風)やリッジ(斜面上昇風)を狙って、
風が吹き上がりそうな山の南東斜面、熱が溜まりそうな大きな工場や山間の集落や畑の上を探してみても、、、

な・ん・に・も ないっ!!

風の音だけで滑るように進む、コトリとも揺れない凪の空、、、

HI3C0530
HI3C0530

体験飛行なら揺れなくて最高の条件ですが、滞空出来ない~
沈下の少ないエリアを拾って粘るも20分で着陸、、、

自分のフライトが終わって他のクラブ員さんのお手伝いをしていると
「タイラップさん、もう一度飛ばない?」
お財布の中身に思いを巡らせ、、、ナントカ予算に収まるからOK♪

2度目のフライトで、上昇気流が良く出るポイントを教えて貰いながらあれこれ探すけど、、、

HI3C0529
HI3C0529

「やっぱり無いねぇ、昇らないねぇ~」

着陸の時のダイブ ブレーキ(降下用のエアスポイラー)の使い方と、接地姿勢のレクチャーを受けて終了
飛行機(セスナ)の癖が抜けないから、着陸の引き起こしの高度が1mほど高い&引き起こし過ぎ(笑)
「次回はもう少し上手に降りろ」ってコトですね
風が穏やかだから誤魔化しきれず下手なのがバレバレ(笑)

地上でお昼ご飯のタイミングを計っていると、、、
「タイラップさん、単座機のシート合わせと諸元を確認しておいてね!!」

単座機はポーランド製 SZD-51-1 「ジュニア」って機体で、

HI3C0337
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偶然にも高校時代に渡米した時に乗っていたのと同型機(笑)
新鮮なような懐かしいような、、、

座席位置を合わせて、速度諸元や制限過重、操作系や計器配置を確認
機体についてのレクチャーと雑学雑談で楽しんでいると、

「じゃあ行こうか♪」

「んっ、お昼ゴハンですねっ!!」

「お昼は後で!! 単座機で飛んでらっしゃい 複座機はもう良いでしょ」

って事で 複座機のASK-21のでの単独飛行をスッ飛ばして、
イキナリ単座機の「ジュニア」でのフライトになっちゃいました

「まぁ、先生も行って来いって言っているし、大丈夫でしょ♪」

そうは言っても単座機、、、小さくて軽いです
飛行機に引かれて離陸滑走でも違います、
加速は良いし、浮くのも早い
離陸で「ふわっ」っと浮いた瞬間から機体の「軽さ」を感じます

HI3C0041
HI3C0041

600m上空で切り離して、軽く振り回してみると、、、
慣性が少ないから操舵に小気味良く反応します
「ライト ウェイト」な単座機に乗ると複座機は「セダン」ですね~
やっぱり乗り物で「軽くて小さい」って最大の美点です。
「軽くて小さい」も度が過ぎると それはソレで難いんですが、、、)

上昇気流を捕まえてのオタノシミは、また今度って事で
穏やかな空で、リラックスして単座機に馴染む事が出来ました、

機体の選択肢が広がると遊びの幅も広がりますっ
普段は身軽な単座機で「ソアリング」楽しんで
気が向いたら複座機でお友達とフライト♪
頑張って乗りこなさなければっ!!

あ、、、3回も飛んだからお小遣いが、、、orz


検査完了♪

あっという間に検査完了、
まぁ普通に健康なら大丈夫な検査です
身長、体重、近視力、遠視力、視野、眼鏡の屈折度の測定、尿検査、血圧、心電図、握力、バランス、問診、などなど、、、

一通りの検査が45分で完了!!
ちょー早いっ(笑)

わざわざ羽田空港まで出て来る理由は、この仕事の早さです♪

他の先生じゃ下手をすると1日付き合わされちゃいます。

まぁ、問診の時に釘を刺されたのは、
「BMIが30.1はちょっとねぇ~ メタボの定義って25からなんだよ、、、」(笑)
「えぇ~っ!!僕、メタボだったんですかぁ~」
↑(とりあえず惚けてみる)

「どう見てもメタボでしょ~とりあえず痩せなさい!!」

やっぱり(笑)

「まぁ合格ですが、下の血圧が高いからねぇ~ まだ若いからいいけど、このまま歳取るとイロイロ出て来るからね。」

「高血圧でメタボで糖尿」コースって事なんですね、、、orz

「下の血圧が高めのメタボ、順調にヲッサン化が進んでる」って事が医学的に認定されてしまいました。

検査が終わって展望レストランで一息、
飛行機を眺めながらお茶は毎度の身体検査後のお楽しみ♪

HI3C0492
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着陸機を眺めながらチーズケーキとコーヒー♪
イイ感じ

あ、、明日から頑張ります、、、


人間も点検です

今日は仕事をお休みして羽田空港に来ています♪

HI3C0490
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目的は「第一種航空身体検査」の更新です。
航空機を飛ばすには免許証(正しくは技能証明)の他に身体検査証明書が必要になります。
まぁ「人間の車検」です「妖しいヤツは飛んでもらっちゃ困ります。」って事ですね

この身体検査証明は2種類ありまして、、、
自家用操縦士は第二種航空身体検査
事業用操縦士は第一種航空身体検査

タイラップは仕事してないけど事業用操縦士なので第一種航空身体検査証明が必要になります。

で、この「航空身体検査」ってヤツは町のお医者さんで「ホイホイ 合格♪」って訳にはいかず、
運輸大臣により定められた「航空身体検査指定医師」によって認められなければなりません。

って事で羽田空港の第一ターミナル(Big-bird)の東京空港診療所にお出かけです。

さて、そろそろ予約の時間
検査に行ってきます♪

「顔が猥褻かつ行動が卑猥」って所見で落とされちゃったりして(笑)


「乗る」だけが楽しみじゃないよ!!

機体が耐空検査(年に一度の車検です)を行っているのでフライトは無し
整備のお手伝いです!

HI3C0490
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まぁ、偉そうな事言ってますが無能なタイラップは肉体労働の「パシリ」っす

で、お手伝いの内容は,,,
○ 機体の各所の採寸
○ 操縦系統の「操作力」「バックラッシュ」「舵角」の測定
○ 主翼の固有振動数の測定
○ 機体重量の測定、重心位置の計算
○ コンパスの誤差測定
ってトコです♪

まずはバラバラの機体を皆で組み上げて作業開始!
—機体各所の採寸—
機首、主翼の先端付近、尾翼の先端付近、コクピットの後ろ辺りの各所からの距
離を測定して歪みや変形を調べます。
まぁ、車の板金作業のフレーム測定と同じ作業です♪
測定機器は、、、巻尺!!(笑)
まぁ測ってみると、微妙に数値がバラつくも、もちろん範囲内♪
範囲外なら機体が歪んでいるって事、、狂っていたら誰かがムチャして壊したって事(笑)

HI3C0493
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 —操縦系統の操作力の測定—
操縦桿のやラダーペダル、各種レバーの操作力の測定です。
もちろん重さが決まっていて、緩すぎてもダメだし、固すぎてもダメ!!
「渋くて動かなかったり、左右で重さが違う操縦系統じゃ困る」って話です。
測定機器は、、、バネ秤!!
操縦桿やレバーにバネ秤引っ掛けて、、
「んん~~っ、、、何kg!!」

HI3C0492
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 —操縦系統の「バックラッシュ」の測定—
まぁ、ヨコモジっぽいカタカナを使うと偉そうな雰囲気ですが、、、単なる「遊び」の測定です。
操縦系統はリンケージ(ロッド、リンク、ボールジョイント、ワイヤー)で作られていて
各部品が磨耗すれば「遊び」が大きくなります、この「遊び」で磨耗度合いを調べます。
測定機器は、、、30cm定規!!
舵面を固定して、操縦桿の「ガタ」を定規で測る、、、

—「舵角」の測定—
規定値通りの舵角が出ているかの測定です、
少なすぎると設計通りの操縦性が確保できないし、多すぎてもオーバーコントロールになるかも?
(普通は全舵角使うような事は無いから問題ないけど、、、スピンリカバリー性とかに影響がありそう)
測定機器は電子プロトラクター(やっと測定っぽいアイテムが)
各舵面のニュートラル位置を出して、プロトラクター乗せてレベルを出して、全舵角を測定、

—主翼の固有振動数の測定—
主翼の固有振動数の測定する事によって主翼の剛性を測定判断します。
固有振動数が下がるって事は剛性が下がるって事ですから、構造部材のヘタリや損傷が見えてきます。
もちろん「FRP製の翼」の方が「木製の翼」に比べレートが高いので固有振動数は高くなります
スプリングと同じですねぇ~高レートはヒョコヒョコします(笑)
測定機器は、、、時計!!
翼端を揺すって1分間に何回「ぼよん ぼよん」振れるか数える、、、(笑)
風呂に入って100まで数えるのと同じレベルかい!!

—機体重量の測定と重心位置の計算—
乗り物の運動要素の基本の重量と重心位置の測定です
着陸脚を秤に乗せて機体重量を測定します。
異常や変更、修理が無ければ変化しないはずですね、、、前年のデータから大きく変わっていたらエライ騒ぎになります
測定機器は、、、分銅秤(市場でマグロが乗ってるヤツ)とヘルスメーター(女の子が一喜一憂するヤツ)
計れれば良いんですよ、、、(ほんとかぁ、、、)
皆で「ヨイショ!!」と持ち上げて機体を秤の上に、、、

続けて重心位置の計算
基準点からの測定位置と重量を使って重心位置の計算です。
「重量 x 測定位置 = モーメント」って関係になりますので、、、
重量測定値のモーメントを合計して、重量で割り戻せば、基準点からの重心位置が計算できます!
乗り物の安定性と運動性は重心位置で基本要素が出来ているので、非常に大切です。
もちろん重心位置が決まっているので、その値に収まっているかを確認です。
車でも同じ方法で重心位置の計算は出来ますよー

—コンパスの誤差の測定—
世の中には面倒な事に「北」がイッパイあるんです
そもそもコンパスが指している「北」って「北極点=真北」からチョットずれた「磁北」を指してます
でも地図の経線(南北の線)は北極点と南極点を結んでいます、この誤差が「偏差」って呼ばれていて
地図に記入されています。大体関東で西に7度ほど補正が必要です。

で、さらに機体に取り付けられたコンパスは、機体の磁性(磁気を帯びる性質)や電子機器(無線機等)の影響で
地磁気が歪み誤差を生じ「磁北」からズレた「羅北」を指してます、この誤差が「自差」って呼ばれていてます。

簡単にまとめると、、、
「真北(北極)」–(偏差)–「磁北(コンパスの北)」–(自差)–「羅北(機載状態での北)」
あぁっ、、、メンドクサイ、、、

これは、「自差」の測定です
測定方法は、、、飛行状態にして実測!!
自差は機体によってマチマチなので実際に測定して補正表を作成します。 
滑走路上にコンパスで「磁北」から30度刻みでラインを引いて、
無線機のスイッチを入れた飛行状態の機体をラインに乗せてコンパスを読む、
機体を押したり引いたりしながら測定を 360/30 で12回、、、orz

HI3C0494
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もちろん誤差が大きいと修正作業も入ります、

こんな感じで「知る」のも結構楽しいんですよねぇ~
乗るだけじゃなくって整備のお手伝いすると勉強になります、、、が、
一日中、測定して、機体を押したり引いたり、組んだりバラしたり、ヘロヘロに疲れました、、

まぁ、細かい事言う割には、測定方法が貧弱なのは、たぶん気のせいでしょう、、、
「かくして、空の安全は守られる!!」、、、かなぁ??(笑)


ヴィンテージ グライダー

ヴィンテージ・グライダー収集家の本多 誠之さんが行ってきた
コンドルⅣの修復作業。
修復前に本多さんは旅立たれてしまいましたが、ご家族の方が故人の
「富士山をバックに飛行させたい」との夢を実現させるため
に行われた土曜日に行われたフライトです。

美術品級のヴィンテージグライダー「ミニモア」

HI3C0455
HI3C0455

ウォルフ ヒルスの設計で1935年初飛行、74年前の作品です。
「航空工学」じゃなくて「鳥への憧れ」で飛んでいた古き良き時代ってヤツです、、、

トレーラーから引き出して翼を組み、操縦系統のリンケージを繋ぐ、、、
一連の組立作業も慎重に行って姿を現しました
胴体はリブに航空ベニヤをプランクした「木製モノコック」

HI3C0468
HI3C0468

特徴的なガルウイングは木製の主桁にリブを立てベニヤをプランクして羽布張りのクリアドープ仕上げ、、、

HI3C0444
HI3C0444

コクピットは本物のウォールナットのニス仕上げに真鍮の金具

HI3C0373
HI3C0373

HI3C0374
HI3C0374

キャノピー(風防)はアクリルの深絞り成型技術が無かったのか、絞りの浅いパーツをフレームに銅リベットで組み上げられています。

HI3C0412
HI3C0412

近代の低コスト、効率第一主義の工業製品ではまず見ることのない作り込みです。
地上で翼を休めている姿も美しい

スパン(翼幅)は17m
最良滑空比は28(1m降下あたり28m滑空できるって事)
最良滑空速度72km/h (最良滑空比が出る速度)
最小沈下率0.61m/s 
重量 350kg
1938年には積乱雲の中での上昇気流を使い6,687mの世界高度記録をマークしています。
コックピットの後のタンクに水バラストを積んだ最初のグライダーでもあります。
(水を積んで機体重量を増やすと、最良滑空速度が速くなるので、上昇気流の強い日では機体を重くして
滑空速度を早くして平均速度を高める、、、ってアイテムです)
1930年代のレース艇ですねぇ~
曳航パイロットに話を聞くと、曳航速度は100km/h 現代の機体に比べかなり遅いので、
「パワーを絞ってゆっくりと引かなきゃならないから気を使う」って話が、、、
間違って壊したら、お金じゃどうにもならない機体ですし、
無事に修理できても歴史に名を残すことになります、恐ろしいぃ、、、

2009年現在、飛行可能なミニモアは、3機のみ、
ドイツに2機(1機はグライダーメーカー「シェンプヒルト社」所有)と日本のこの固体のみです
ドイツ本国での扱いは展示ではロープを張られて遠くから眺めるだけ、、、
(希少性を考えれば当たり前、、、ペタペタ触れる方が恐いって)

HI3C0419
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フライト中はずっと機影を追って飛ぶ姿に見とれていました、、
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70km前後でゆっくりと優雅に太陽の光が透ける翼を輝かせながら飛んでいます、、
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飛んでいる姿はまさに「かもめの翼」、ため息しか出ません、、、

もう一機の複座機はハイニー・ディットマー設計 1951年 アレキサンダーシュライハーコンドルⅣ

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HI3C0435
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ミニモアに比べれば若い機体(それでも58年前)
構造も木製モノコックの胴体に、木製羽布張りの18mの翼、、、
これも綺麗な機体です。

HI3C0471
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ミニモアと交互にフライトを行い、空撮を行っています。。。

HI3C0427
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ここで、コンドルⅣの体験搭乗のお誘いが、、、
「えぇ~ こんな機体に乗せてもらえるのっ!! 乗る乗るっ♪」
新入クラブ員なのにチャッカリ搭乗枠に名を連ねます(笑)
2枠に対して希望者多数、、、もちろん公正にアミダくじで抽選となり
なんと叔父とタイラップが当選!!

体験搭乗枠のフライトが始まり来賓フライトが終わり、クラブの枠へ、、、
夕刻も迫り、撤収時間が近づく、、、
叔父のフライトが終わり、タイラップまであと2名、、、
ココで残念ながら「このフライトで最後ね、、、」との宣告、、、
乗れなかったぁ~  残念、、、orz

まぁ、貴重な機体と一日を過せただけでも幸せな土曜日でした。

もちろん、晩御飯はご祝儀モードの叔父の奢り♪
格納庫兼合宿所(笑)に宿泊して、教官を囲んで飛行機話に盛り上がり
奢りの寿司を頬張り、飲める人は酒盛り状態(笑)
日曜日は残る体力を使い尽くす勢いでグライダーを楽しみ、ヘロヘロになって帰宅、、
良い週末でした、、