R33 GT-R 「大先輩号」高加速度運動への対応と質感の向上

今週末は悪天候でフライトが中止になったので
急遽 R33 GT-R 「大先輩号」のサスペンションセッティング

今日は、茂木から持ち帰った山野さんからの宿題 「対角ロール過多」対応

題名の「高加速度運動への対応と質感の向上」って相反する要素が多いので難しいんですが
少ない引き出しをひっくり返し、
あの手この手を駆使して宿題回答です!

変更メニューは2点+α
・リアプライマリースプリングの密着荷重を少なくして伸び側ストロークのメインレート領域を増やしてリアスクワット量を減らして荷重移動量を少なくする

・フロントボディダンパー取り付けとリアプライマリースプリング密着荷重変更に対応したダンパー減衰力調整

+αとして
作り直したマスターシリンダーストッパーの取り付け

1000頃から作業開始
最初はリアから
プライマリースプリングの密着荷重変更です。

リアをジャッキで上げてプリロード量を確認
現状では車高調整ロアブラケット ロックリングからプリロード調整のロックリングの間は100mm
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プリロードを全抜きしてプライマリースプリングにt=0.8mmくらいのバッファコイル(配線まとめのヤツ)を2巻分巻き付ける
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コレで密着高さが3.2mm少なくなるので
サグを合わせるためにプリロードを-3mmでサグを合わせて97mmに変更
密着荷重は
13kgfmm x3.2mm =42kg
42kg 密着荷重が少なくなるので
300kg -42kg = 258kgに減少

この変更で
伸びメインレート領域が 約5mm伸びる事になり
5kgfmmの合成レートでのスクワット量8mmから3mm少なくなります。

セッティング変更前の合成レート領域は
バネ上荷重 322.65kgに対して
プライマリースプリング密着荷重 300kgで93%
僕のM3のセッティングを横目で見ながら
「ちょっと欲張り過ぎかなぁ 巻き込む動きが出るかも」って思ってましたが
何事も欲張り過ぎは良くないですね(笑)
まぁ密着荷重過多は調整できますが、不足したら調整不可でスプリング再購入ですから
密着荷重に迷ったら多めです。

セッティング変更後は
プライマリースプリング密着荷重 258kgで80%
少し多めだけど悪くはないはず
もう少し減らしても良いかなぁ、、、

スプリング系でのスクワット量の減少は僅か3mmですが
メインレート領域が広がる事により合成スプリングレートとメインスプリングレートの荷重平均スプリングレートが高まり C/cc一定でも現状より高い減衰力が要求され
同時に剛性レート領域はC/ccがより高くなるので姿勢変化(リアスクワット)を減衰力で抑え込みます。

ツインスプリングにすると減衰力が弱くても走れちゃうのはコレが理由
同じ減衰力でもメインレートに対して減衰力不足で動き過ぎちゃっても
合成レートに対しては十分な減衰力になるのでボディ上屋の動きが抑えられるので
シングルスプリング仕様だと減衰力不足でポヨンポヨンになる減衰力でもツインスプリング仕様なら動きが抑えられるので普通に走れちゃう

簡単に言えば
「乗り心地」だけのツインスプリングなら密着荷重がバネ上1g荷重以下で限りなくバネ上1g荷重に近いプライマリースプリングを組んで
ダンパーの減衰力を抜けば出来上がりなんです(笑)

まぁ、、、
簡単って言ってもメインスプリングレートと合成スプリングレートのバランスがポイントで
それぞれのレートでのC/ccを計算して
メインレートでチョイ弱め&合成レートでチョイ強めのC/ccになるようにレート設定しないと
縮んだサスペンションの伸びの減衰力不足でスパッと速く伸びて
伸び側の合成レート領域に入ると減衰力過多で
急に止められて引き落とされちゃいます。

さらに、、、
ワインディングやクローズドコースで「走る」事を考えるとメインスプリングレートからキッチリ作り込まないとダメだし
サスペンション全体の実作動ストローク管理が重要

計算(理論)積み上げで作っていないと
セッティングがイマイチでダメ出し喰らった場合に
原因の特定が出来ないから変更要素が多い分だけ改善方針が定まらない、、、
簡単に迷子になります。

やっぱりかなり面倒で厄介なシロモノなんですよ

なんだかエラそうに完全に理解したような事書いてますが
僕もまだまだ勉強中
少しずつ難題を解いて進んでいるのが現状です。

それにしても
第二世代GT-R R33GT-Rのサスペンション設計はスペースに余裕のあって素晴らしい
いくらでもセッティング変更出来るもんなぁ
スペースの無いE36&46系だと寸法縛りで大変だもん

密着荷重変更の後はタイヤローテーション
タイヤの減りはちょっと珍しい感じで
フロントタイヤの外側ショルダーは減らずに
内側が磨耗
キャンバー過多ってより二次旋回での加速旋回時にフロント駆動でIn側タイヤを使っている感じ
対策はリアのトラクションを増やしてフロント駆動力を減らす事ですね
ぼちぼちリアのLSDセッティングを考え始めた方が良いなぁ、、、

最後の作業は
マスターシリンダーストッパーの取り付け
新しく作り直したマスターシリンダーストッパーを取り付けで完了だけど
マスターシリンダーストッパーがマスターシリンダーの芯を捉えてないので
マウント部分の修正が必要
今度、時間を見て「切った 貼った 削った 塗った」ですね、、、

作業完了は1200過ぎ
セッティング変更後の効果測定と減衰力調整で道志村方面へショートツーリング

まずは宮ヶ瀬の「オレンジツリー」でお昼ご飯
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お昼ご飯のメニューは
「鶏のコンフェ&パン」
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美味しかったぁ~

お昼ご飯を済ませたら
道志村方面へ出発!
追加したフロントボディダンパーは予想通りなかなか良い感触♪
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路面不正を通過するときの硬さが取れて角が無い乗り味になりました~
「ボディダンパー無しのリア」はプルプルツンツンガシガシが以前よりハッキリ感じられる

動きを観察していると
ステアリング入力に対してヨーの立ち上がりが緩くなって
微小舵角での反応が鈍くなってますね、、、
コレはフロントタワーバーを取り外して
フロント周りのボディ剛性を下げてフロントの変形量(しなり)を増やしたから
剛性不足気味のセンターモノコックを補強しない代わりにフロント周りの剛性を落とす方法でボディ剛性バランスを調整して乗り味を良くしました。

タワーバー撤去で増加した入力による変形(しなり)はそのままにするとボディからの反力でバタバタと暴れる動きが出るので
ボディダンパーを取り付けてボディに減衰力を作用させてボディの変形(しなり)が戻る時の「ボディの跳ね」を抑え込む

コレでセンターモノコックが捻れてプルプルする感触は大幅減少
「数値としてのボディ剛性」は下がったけど「感覚的なボディ剛性感」は向上します。

運動性能に関しては
旋回中にバンプラバーに乗る高運動加速度域でのステアリング追従性も向上
大舵角でもどこまでもステアリングに追伸して回り込む
理屈はとっても単純で
ボディダンパー無しのボディは、入力による変形に減衰力が作用していないので「ダンパー無しのサスペンション」状態
タイヤ面圧が変動するので限界が低い状態だけど
ボディ変形に対してボディダンパーで減衰力を掛ける事により
「ボディのしなりを使った第二のサスペンション」になるのでタイヤ面圧変動が抑えられて限界が高くなります。

つまり、、、
ボディを使ったツインスプリングですね
しかも、
ボディへの入力が大きくなるほど効果が大きくなるので
「もっと攻め込め、、、もっと突っ込め、、、」
って車が誘う ちょっとヤバい乗り味(笑)

リアはプライマリースプリングの密着荷重を減らしてメインレート領域を広げた事により
セッティング変更前よりC/ccが低くなり「ポヨン感」が出ているので減衰力不足と判断
乗り心地は悪くはないけど ちょっと動き過ぎだなぁ

途中休憩のコンビニで減衰力を27→26段に変更
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26段は以前の「西伊豆ツーリング」で1km走らずにリタイアした硬さだったので
「硬さに耐えられなかったら戻しましょう」
ってスタート

硬さを感じたのはコンビニ駐車場出入口段差の「出だし一発」だけ、
「意外と乗れるなぁ、、、」って走り始めたら
フラット感ある動きでピタっと張り付いたように走るし、ステアリング入力に対してのヨーの立ち上がりも自然な動き

コレは「ボディのしなり」が増えた分だけサスペンションを締めてバランスした状態

ペースを上げるほどしっとりとした減衰力を感じる滑らかでしなやかな動きで
「粘度の高いOILもしくはダンパーの中身がグリスになったような 」
「高いホームオーディオのボリュームダイヤル」みたいなヌゥ~~っと動く質感
ボディからの雑味が消えて「ダンパーの乗り味」が表に出てきました
HKSのダンパーはなかなか良い味してるね♪

ボディダンパーを着けたらダンパー減衰力調整が必要って事を再確認
市販品は設定車両のサスペンションに合わせてボディダンパーの減衰力を合わせ込んでるんですね~
同時に「悲しい事実」として
我が家の325i Cabrioletのサスペンションダンパーはボディダンパーに完全に負けて役不足って事が明確になりました、、、orz

サスペンションの減衰力との相性が良くなると
ペタッと張り付く接地感でフロントタイヤの感触を掴み易くなって
さらに
「突っ込め、、、攻め込め、、、踏め、、、」
って車が誘う

やっぱり「一見さんお断り仕様」になりますね
車に誘われるまま調子に乗ってガンガン攻め込んだら
ヤバい事になります、、、

さて、、、
フロントボディダンパーで前半分は「おしとやかな性格」に躾直して
ブレーキングから一次旋回は突っ張り感の無い滑らかな動きでイメージ通りの感触
フロントに関してはかなりの完成度になったので

大先輩!
「大人味仕様 Step-1」の最後の仕上げはリア用のボディダンパーです

リアに付けるとリアがペタッと張り付いてトラクションがしっとり♪
ツーリング&ワインディング仕様でも更に高い減衰力を使えるので一気に良くなりますよぉ~

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