前回で2ndフルパワーでの荷重移動量(近似値)が求められたので
この値を使って荷重移動量織り込んだ前後スプリングレートを計算で求めてみます
今回は以前考えた仮説の確認なのでノーマルスプリングレートの近似値に収まるか確認してみます
まずは計算諸元を設定
E36 M3B
①重量及び重心位置
今までいろいろ計算したけど
イイ機会なので一回ノーマル車両で値を出して整理します
・重心位置計算のアーム基準点はフロント軸とする
・軸重は車検証の車両重量とする
「車両重量」の定義は冷却水、エンジンオイル、ガソリンは満タン状態で、工具やスペアタイヤは搭載しない状態
計算の結果、
走行状態での重心位置はフロント軸後方1332㎜が求められました
②ホイールベース2710㎜に対しての前後重量配分を計算してバネ上、バネ下重量を求める
③静止状態でのバネ上重量が求められたので、荷重移動量を織り込みます
E36 M3Bの2ndフルパワーでの加速gは0.52g、荷重移動量は166.9kgf
④求められた2ndフル加速状態でのバネ上重量と固有振動数(用途)を固有振動数の式に代入してホイールレートを求め
ホイールレートにACFとレバー比を加味してスプリングレートに換算する
※レバー比とACFを理解しよう ①
※レバー比とACFを理解しよう ②
※レバー比とACFを理解しよう ③
※【ホイールレート(kgfmm)=(√単輪荷重 x (2π) x ばね上固有振動数) ÷ 9.81 ÷ 1000】
適切なスプリングの選定方法を考える ① バネ上重量と固有振動数
計算の結果
バネ上固有振動数 1.2HzでE36 M3のノーマルスプリングレートFr 1.86kgf Rr5.94kgfの近似値になりました
どうやら、この辺りがスプリングレート設定の前後バランスの考え方のポイントになりそうです
前後荷重変動に伴うバネ上固有振動数の変化傾向からステアリングバランスの変化を考えると
減速から定常円旋回中は安定したアンダーステア状態で
2ndフルパワー加速状態で前後固有振動数が揃うのでニュートラルステアに変化します
この特性は昔よく言われていたBMWの持つ特性と一致していて
「BMWはコーナーリング限界に近づくとリアがスライドを初めてドライバーに警告し メルセデスはコーナーリング限界付近でもアンダーステアを示す」
きっとメルセデスは2ndフルパワー状態より荷重移動量を多目に設定してアンダーステアを維持する特性に躾けたと考えられますね
ノーマルスプリングのE36 325i Cabrioletをしばらく乗って「スタビライザーの変更での”気付き”」
を手掛かりにしてホイールレートの前後バランスの考え方が見えてきました。
今まではノーマルスプリングレートから求めたばね上固有振動数を横目で見ながら
フロントとリアのホイールレートのバランスを手探り(実走)で探っていましたが
数値として見えてきたので、この計算方法でM3の次のセッティングを作ってみます。
レストアしてからのテストになるのでもう少し時間が掛かりますが理解が進みそうです。
2019年のまとめとしてはココまで、
まだまだ先は長いなぁ、、、
ブログランキングに参加しています、記事を気に入っていただけましたら
↓クリックしていただけると嬉しく思います。
にほんブログ村
全般ランキング