サスペンション独学ノート 2017年まとめ⑨「プリロード調整によるスプリングレートの変化」

この話題は、理論(単位)と実際の境目で延々決着がつかない話ですね、、

●理論(単位)で言えば「プリロードを掛けてもスプリングレートは変わりません」
これはスプリングレートの表記自体でも表されていて、
「10kgfmm」の表記は10kgfの力が加わると1mmスプリングが縮みます」って意味なので
スプリングを縮めていっても一定のレートです。
スプリングレート 単位だけ
プリロードを掛けてスプリングを縮めて硬くなるなら「10kgfmm」の表記自体が成り立たない事になります。

●実際で言えば「プリロードを掛けるとサスペンションの動きは明らかに硬くなる」
これは実際に直巻きスプリングを用いる車高調整式サスペンションを自分でセッティングしたことのある方なら体感している事で
確かに体感はスプリングが硬くなる感覚を受けます。

何が起こっているかを考えるために、「スプリングレートの表記は何なのか?」から調べてみると
スプリングの設計により特性は異なりますが、一例として「とあるスプリングの特性」を調べてみると

スプリングレートとは?
●このスプリングは自由長から縮み始めから全ストロークの30%ほどは安定レートの10kgfmmに向かってスプリングレートが0kgfmmから立ち上がっていきます。
●全ストロークの30%でレートが安定して、全ストロークの70%まで10kgfmm付近でストロークに伴い緩やかに上昇しつつ安定推移します。 
●全ストロークの70%から先は線間密着(スプリングが完全に潰れて鉄の塊になった状態)の∞kgfmmに向かってスプリングレートが高くなります

スプリングが自由長から線間密着してしまう間のレート変化は設計次第で変化しますが、「レート立ち上がり」、「安定レート」、「線間密着までの変化特性」は共通です
このレート変化特性の中の安定レート域の固さが「表記されるスプリングレート」になり、例で挙げたスプリングは「10kgfmmのスプリング」として販売されます。

 つまり、、、表記では「荷重に対してのスプリング変形量は一定」と表しますが、それはそのスプリングを表現するための代表的なレートであり
スプリングレートはストロークにより変化しています。

 これでも実際に「プリロードの変化が体感できない仕様」と「わずかなプリロード変化で大きく体感できる(硬くなる)仕様」が存在します。
このプリロード変化に対しての影響は、「ダンパーのストローク量とスプリングの有効ストローク量」の関係により変化します。
●ダンパーストロークに対してスプリング有効ストロークが等しい場合
ダンパーストロークとスプリングストローク同じ
プリロード0でしか使用できません、理由はプリロードを掛けるとスプリングの有効ストローク以上にストロークしてしまうので、塑性変形域に入りスプリングが壊れます

●ダンパーストロークに対してスプリング有効ストロークが長いが、あまり余裕がない場合
プリロード影響大
 
 例を挙げて説明すると、
100mmのストロークするダンパーに有効ストローク133mmのスプリングを組み合わせた場合
プリロード0でのスプリング有効ストロークの70%使っています。
この状態でのスプリングレートは「レート立ち上り部分から全ストローク70%の領域」を使っているので、表記レートより実レートは低い状態になっています。
 このサスペンションにプリロード30㎜を掛けるとスプリングは130㎜ストロークする事となり有効ストロークの99%を使います。
この領域になると有効ストロークの70%~99%までのレートが高くなる領域に掛るので、表記レートより実レートは高い状態になっています

 この平均スプリングレート変化を体感しているのが「プリロードを掛けると硬くなる」の原因だと考えます。
プリロードが掛ったスプリングのストローク後半の固さを感じているのであれば、
自由長が長いスプリングに交換すれば安定レート域に収まり乗り易さにつながると考えます。

●ダンパーストロークに対してスプリング有効ストロークが長く、ダンパーストロークがスプリング有効ストロークの50~60%ほどの場合
プリロード影響小

 例を挙げて説明すると、
100mmのストロークするダンパーに有効ストローク180mmのスプリングを組み合わせた場合
プリロード0でのスプリング有効ストロークの55%使っています。
この状態でのスプリングレートは「レート立ち上り部分から全ストローク70%の領域」を使っているので、表記レートより実レートは低い状態になっています。
 このサスペンションにプリロード30㎜を掛けるとスプリングは130㎜ストロークする事となり有効ストロークの72%を使います。
スプリングストロークに余裕があるので「有効ストロークの70%~99%までのレートが高くなる領域」ほとんど掛らないので、表記レートより実レートは低い状態のまま
平均スプリングレートへの影響が少ない状態になります。
同じプリロードを掛けてもスプリング有効ストロークが長いほど影響が出にくいって事になります。
 ただし実際にはここまで寸法的な余裕がある車高調は少ないので、できるだけ影響が出ないように
可能な限り長いスプリングを入れて影響を抑えるって感じになります。

以上の事から、プリロードの影響は以下の条件で表面化します。
ダンパーストロークとスプリングストロークの関係次第でプリロード変化に対しての感度が変わり
●スプリングストロークが短い(自由長が短い)ほどプリロードの影響を受けて実効レート変化が大きく
●スプリングストロークが長い(自由長が長い)ほどプリロードの影響に対しての感度が低く実効レート変化が少なくなる

プリロードによる体感をセッティングに反映させる方法は以下になります。
●プリロードを掛けた状態でスプリングの固さを感じるならば
同じレートで自由長がより長いスプリングに交換しプリロードを掛けた状態でのレート変化の影響を抑え
●プリロードが掛ったスプリングのストローク後半の固さを必要とするのであれば(車両の操縦性に対して)、
同じ自由長でレートUPを行いプリロードを抜きます。

「プリロードにより何が起こっているか」をスプリングの有効ストロークを目安に推測していけば
次の仕様を考える手掛かりとなります。
プリロード調整とスプリングの特性 ②

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