一年に一度の航空機の検査です。
トレーラーを格納庫に着けて胴体を引き出し整備開始
キャノピーを取り外し、コクピットのアクセスパネルとシート、バッテリートレーを全て取り外し、
掃除機を掛けて土埃を取り除き
リンケージ各部の清掃とグリスUP
効きが不安定だったブレーキの分解点検とフルード交換
が主なメニュー
整備担当のN西さんは元エアライン整備士
プロが見る整備のポイント教えて貰えます。
先ずは、全てのアクセスパネルの取り外し
パネルを固定しているスクリューを赤い小袋に入れてパーツに括る
小袋に入れて部品毎に止めて置けばスクリューの取り違えは起きないし紛失も無い
コレは良い方法ですね
次の作業は
キャノピー、シート、全てのパネルを取り外し空っぽになったコクピットをひたすら掃除機で吸いまくる、
なるべく土埃を持ち込まないように乗っていますが、、、
アクセスパネルの奥などの細かい所に入り込んでます。
次に無線機のバッテリー端子の半田付け、
今まではカシメて圧着でしたが、この機会により確実な半田付けにしちゃいます
お昼休みを挟んで
気になっていたブレーキ関係の分解点検
構造は片持ちシングルピストン、フローティングキャリパーにソリッドディスクの組み合わせ
原付のディスクブレーキと同じですね(笑)
分解してパッドもほとんど減ってないし、ディスクの不具合もなし、
まぁ、考えてみれ600kg近い重量の機体を120km/hから止めてるブレーキだけど、1フライトに1回しか使わない
そんなに負荷が入っている訳じゃありません、、、
分解したときに気が付いたのがキャリパースライドの固着
片押しシングルピストンキャリパーのスライドピンが固着すると十分にディスク
を挟む事が出来なくなるのでフィーリングが悪くなったり効きが悪化します。
しかも良く見るとスライドピンの部分にダストブーツが無い
水も埃も入り放題ですね、、、
スライドピンとキャリパーマウントを掃除して薄くグリスを塗って様子を見ます
最後に怪しいのはエァー噛み
背面飛行時にはブレーキシステム一式が裏返しになるのでリザーバータンクとマスターシリンダーの間で
フルードと空気が入れ替わりブレーキラインに入り込む
可能性があります。
作業はフルード全量交換
キャリパーのニップルが真下に付いているので普通にエァ抜き出来ないので一度
全量抜き取り、キャリパー側のニップルから新しいフルードをポンプで送り込み
ブレーキラインを満たします。
最後に整備士の目でリンケージやレリーズの点検をして確認完了
全てのアクセスパネルを閉じ、コクピットを組み立てて前半戦完了
週をまたいで後半戦。
良く晴れて良い天気だったので、先ずはクッションを干します(笑)
N西さんは主翼の点検
負荷が大きい曲技機なのでより慎重にクラックをチェック
構造体のクラックテストはコインタップで音を聞きます。
構造体までクラックが入っていると、音が変わるのでクラックの深さの目安になります。
気になっていたエルロンヒンジの付け根のクラックはコインタップの結果構造体
までは届いていない表層のゲルコートクラックで一安心
主翼点検の間にタイラップに預けられた仕事は、コクピット内のプラカード(指示表示)の張り替えとキャノピー磨き
ちゃっちゃと古いプラカードを剥がし脱脂して張り替えで完了
続けてキャノピー磨き
最初は水拭きで終わりの予定が、、、
仕上がりが綺麗じゃない曲技中のショルダーハーネス外れて付いた傷も気になる、、、
N西さんに相談すると
耐水ペーパーとミラーグレース(キャノピー磨きコンパウンド)を出して磨くコトに
爪に引っ掛かる深い傷の周りにマスキングテープを貼り
最初に3600番のペーパーで傷が消えるまでしっかりと水研ぎ
傷が消える代わりに擦りガラス状態になるので6000番→8000番の順番で磨き、透明度を上げて
最後はミラーグレースで全体的に研磨
仕上げにネル布で磨いて完了
透明に輝くキャノピーは磨いた甲斐があります♪
最後に尾輪の分解点検
アクスルシャフトを抜いて尾輪単体にして掃除
ホイールのクラック、タイヤの摩耗と状態を確認
アクスルシャフトやカラー部分にグリスを薄く塗布しながら組み立て
コレで整備完了
来週の日曜日に耐空検査フライトを実施します。