先日の動画撮影の目的は、、、
「ハスキーの最大降下率」を調べる事です
風もほぼ無風に近い状況だったので目安となる数値を作るにはもってこいのコンディション
アプローチ動画を使って数値を出していくと
板倉滑空場R/W15のファイナル上にある送電線と接地点までの距離を調べると 赤い線が目安にしている送電線、青い線がファイナルアプローチコース(最終進入経路) グーグルマップ上で1260m=4134ft
次に動画で各位置での通過高度を調べると
フォワードスリップで送電線通過時の高度が780ft
接地点通過時の高度が100 ft
680ft高度を落とすのに4134ft必要だったので
ハスキーのフルフラップ+フルフォワードスリップでのL/Dは約6.0って事になります
大体イメージは合います。
※「フォワードスリップ」とは、
ラダーを使って機体にヨーを起こし進行方向に対して斜めに角度をつけて抗力(空気抵抗)を増やし
進路を維持するためにラダーと反対方向に機体を傾けて降下率を最大にする飛行技術です。
まあ 直ドリですね
更に降下率を稼ぐには風下側に機体をズラしてサイドスリップで滑走路軸線に滑り込ませればガッツリ落とせますが
流石にココまで体面気にせずにガンガン降ろすのは如何な物かと、、、、
※「サイドスリップ」とは、、、
フォワードスリップ状態で更にバンクを深くして機体の進路を横方向にスライドさせる飛行技術で
フォワードスリップよりバンクが深くなるのでより揚力が減少して沈下率が大きくなります。
ここまでで得られた数字を使えば送電線直上での限界高度が計算できます
送電線から滑走路端までの距離は970m =3182ft
最大降下率はL/D=6.0なので落とせる高度は約520ft
滑走路端の通過高度は50ft、滑空場の海抜高度(フィールドエレベーション)は60ftなので+110ft
送電線超えの限界高度は630ftって事になります
感覚的にはもうちょっと上からでも降ろせる感じがします、、、
次回の曳航の時に答え合わせしてみます。
通常のファイナルアプローチのパス角(進入降下角度)は
大型旅客機で3度
小型機で5度
今回のアプローチ角は約10度
なぜ通常と違うこんな方法で「可能な限り高い高度から急な角度でアプローチするか?」
目的はいくつかあって
①地上への騒音削減、
高い高度から一気にパワーアイドルで短い距離で着陸することで騒音を小さく出来る
②エンジンをアイドリング状態でパワーを使わずにアプローチを作ることでの燃料節約、
上空でパワーをアイドリングまで絞った状態でアプローチ~着陸を終わらせてしまう事で使用燃料を削減する
③滑走路手前の送電線とのクリアランス
出来るだけ離れて飛びたいのは人情ってもんです、引っかかったらシャレにならん、、、
④エンジンが壊れて停止した場合に安全に滑走路に帰り着く為の余剰高度を維持する
一番の目的はコレです!! エンジン故障しても滑走路に着陸できれば誰も不幸になりません
以上の事を考えると深いパスの方が有利になります
こんな感じで色々な要素を考えながら飛行機を飛ばしています。
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