「車両の用途を決める」事から始まり、
バネ上固有振動数選定からスプリングレートを計算
車高からストローク量、スプリングレートからダンパー減衰力の決定
車両に組み込み、
プリロード設定、
車高設定
で基本セッティングできました
基本的にココまでは実測と計算だけで殆んど決まってしまいます。
初期設定段階で設計者の「サジ加減」が効いてくるのは、
●バネ上固有振動数の前後バランス(ロール剛性調整による操縦性の調整)
●ダンパー減衰率(c/cc)の設定(操縦性の過渡特性)
つまりココを変更すれば車両の操縦性が調整できるって事です。
ここまで来れば察しがつくとは思いますが、、、、
操縦性の調整は基本的に前後のバネ上固有振動数の調整で行います。
バネ上固有振動数の前後バランスはフロント<リア 最大でもフロント=リアのセッティングは守る方が安全です
「乗り物の安定性は”正”にする(何もしなければアンダーステア)」のが基本で
「アンダーステアの強~弱」をドライバーの要望とコースに合わせて調整を行う事を基本に考えます。
「加速力比例アンダーステア」の車から「乗り方」でニュートラルを引き出すイメージです。
以前、前後固有振動数を近似値に揃えて「ニュートラル」に設定したら
「入口オーバー気味、旋回中はずっとリアが巻き込んでいるような感覚」で踏めなくなりました(笑)
ダンパーの減衰力は変更したホイールレートに合わせて、前後同じ減衰率(c/cc)として
あくまでもホイールレートに対して一定の減衰率になるように計算して合わせます
(前後の減衰率を揃えておかないと、1回のセッティング変更で2か所の変更になり効果測定できなくなります)
以上の実走セッティングで最後のスプリングレート選定をしますが、
この時の減衰率(c/cc)は低め(30%位)からスタートする方が簡単です
減衰率(c/cc)を高く(ダンパーを硬く)してしまうと車の動きを抑えられてしまうので、
車の動きを確認するためにより高い速度域が必要になるので「見極め」が難しくなります。
低めの減衰率で脚を動くようにセットしてセッティングを開始して、
スプリングの最終仕様を決めてから「必要な高い減衰率(40%位)」に引き上げる方が
セッティングは容易です。
●前後の減衰率(c/cc)をズラすセッティング
一般的に車高調のセッティングで「フロント○X段 リア○X段」って具合に前後で減衰率を変える方法ですが
「フロント(リア)が硬い方が良い(悪い)」などの大まかな傾向を掴むための一時的テストには有効ですが、恒久的セッティングにはオススメしません
前後減衰率の不一致は不要なピッチングを増やす要因になりますし、不要に高い減衰率=足が動かずにトラクション低下となるので
傾向を掴んだら、操縦性はスプリングレートで調整して減衰率(c/cc)は前後一定を維持させます
(この減衰率計算の為に車庫調の減衰力グラフは必ず入手する必要があります。)
●実走セッティングで「無限迷路にハマる」原因は、
実に単純な理由で「ドライバーの感覚を主として調整してしまう事」です。
「アンダーステアが強いから、もう少しオーバー方向に、、、、」ってドライバーの感覚だけで調整を進めると、
「踏みとどまるポイント」が判らなくなり無限迷路入りです。
レースじゃないんだから運ちゃんに合わせちゃダメでしょ(笑)
「踏みとどまるポイント」となる基準はあくまでも「ノーマル車のバランス」としています。
僕はもう一台のノーマル維持のE36 325i Cablioretを「基準車」として
(ダンパーだけはKoni FSDになっちゃっていますが)
「アンダーステアが強いから、もう少しオーバー方向にしたい」
「でも、バネ上固有振動数バランスがノーマルに近いからココが限界」
つまり「乗り方に問題がある(ドライバーがへたくそ)」と自分は考えます。
サスペンションセッティングは「自分の運転技量なりのセッティング」しかできないので、
自分に合わせてしまうと「車から学べる事」が無くなります。
ノーマル車のセッティングから学べる事は多いです、、、
(自動車メーカーの開発ドライバーと車両開発力はアフターパーツメーカーとは比較になりません)
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