サスペンションセッティングで絶対に避けて通りないのが
レバー比とACF(Angle Correction Factor)
間違えると致命的なのが「レバー比によるホイールレート⇔スプリングレートの換算」で
「スプリングレート ÷ レバー比の2乗 = ホイールレート」の”2乗”を抜いてしまうパターンです
ココを間違えると、出てくるレートが全く異なるので、
実車の車高
ばね上固有振動数(脚の硬さ)
運動特性等々、、、
サスペンションセッティングの根本的な部分の「計算と実測」が絶対に一致しないので
全くお話になりません
だって、、、
レバー比1.5のサスペンションでココ間違えたらレートが1.5倍も変わっちゃいますからねえ、、、
スプリングレート10kg、レバー比1.5のサスペンションで比較すると凄いことになりますよね(笑)
そりゃ計算した車高も1.5倍ズレるし、
計算上だと結構硬い脚なのに乗ってみると腰砕けでヘロヘロだったり
もう疑心暗鬼にハマってしまいには車両重量まで疑い始めちゃったり(笑)
車をいじる前に正しく理解してしまいましょう
って事で、
イメージしやすいようにできるだけ簡単に
1、最初に「レバー比とACFってなんですか?」って部分から
①レバー比とは、
マルチリンクやダブルウィッシュボーン系にあるサスペンションアームの中間に
コイルオーバーユニットやスプリングが取り付けられていて、
「テコの原理」を使ったサスペンションに発生する補正係数
②ACF(Angle Correction Factor)とは
サスペンションの形式にかかわりなく、
コイルオーバーユニットやスプリングが垂直ではなく
傾斜して取り付けられている場合に発生する
傾斜角補正係数です
簡単にイメージ出来る例は、
ストラットサスペンションのキャンバー&キャスター設定です。
キャンバー&キャスター設定でストラットが傾くので、
傾斜がキツクなるほどスプリングレートとホイールレートの差が開いていきます
もちろん実車のサスペンションは
レバー比とACFの両方を含んだ形になっています。
ココを分解しながら理解しないと補正係数が出てきません
2.レバー比のポイント「てこの原理」を理解しよう
うーん、、、サブタイトルが小学生の理科の授業だ
試しに全部ひらがなで書いてみると ”「てこのげんり」をりかいしよう”、、、
「学研の科学」だ(笑)
まぁ、これを再確認しちゃえばお話はめでたく終わりなんですよね
てこの原理を見てみると
こんな感じのやつがメインですね、
入力点と支点と作用点があって、レバー比の分だけ力が増えるってヤツです
もう一つの[てこの原理]の形がコレ
こっちがサスペンションに使われている方ですね、他の身近な機械では空き缶潰す機械に使われています
こっちも同じく入力点と支点と作用点があって、レバー比の分だけ力が増えるってヤツです
さて、、、
この図を見て誰もが一発で理解できるのは、、、
「力がてこの原理でレバー比分だけ大きくなる」って事
ここはOKですよね
でも、タダで力が大きくなっている訳じゃありません
「魔法使い」や「錬金術師」じゃあるまいし、、、
ここで力を増やす分だけ支払っているのが作業量(ストローク)です。
1.5倍の力を得るには1.5倍の作業量(ストローク)が必要って事です
ちゃんと対価を支払って力を大きくしています、
そろそろ違和感なくイメージが出来ていると思いますので、
一気にサスペンションとして見てみましょう
まずは理解しやすいように簡単な諸元を設定
スプリングレート 10kgmm
レバー比 1.5
レバー比1.5のサスペンションに10kgmmのスプリングを組むと
このスプリングを縮めるのに必要な力は
10÷1.5=6.66
6.66kgの力でスプリングを縮めることができます。
力とレバー比の関係に違和感は無くすんなりとイメージできます。
ただし、このままだとスプリングのストロークとハブのストロークが異なります
スプリングを100㎜縮めるのに必要なハブのストロークは150㎜になっています。
すなわち1.5倍のストロークが必要になっています。
つまり10kgmmのスプリングをレバー比1.5のサスペンションで縮めると
10kgmm÷1.5=6.66kg1.5㎜
kgmmではなくkg1.5㎜になっています。
ここで単位をそろえるためにストローク比で割り
6.66kg1.5㎜ ÷ 1.5(ストローク比)= 4.44kgmm
10kmmmのスプリングをレバー比1.5のサスペンションに組むと
ホイールレートは
10kgmm ÷1.5(レバー比) ÷ 1.5(ストローク比) = 4.44kgmm
となります。
レバー比換算で間違えるのはストローク比を忘れてしまっているからです。
図を描いてしまえば簡単でしょ!!
次回はACF(Angle Correction Factor)のお話です
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初めまして。
車の足回り関連で勉強している自分には素晴らしい情報の数々で、楽しく拝見させていただいています。
1つ気になることがありまして、よろしければ知恵をお貸しください。
トーションビーム(別体式)の車高調なのですがスプリングとダンパーにそれぞれレバー比があります。
1G状態でのストロークを計算しようとして、スプリングの縮む量は簡単なのですがそれをダンパーにどう適用すれば良いのかわかりません。
レバー比はスプリングが1.25、ダンパーは0.95なのですが単純にスプリング計算値に0.95を掛けるだけでよろしいでしょうか?
ブログの主さんではないですが…
この場合はダンパーの長さの調整によって
0.95のレバー比でホイールトラベルが変化し
それに対して1.25の比でホイールレートが変化する
と考えなければいけないということですかねw
なのでタイラップさんの式に当てはめると
ホイールレートをホイールトラベルで割るので
単位にするとkg/1.25mm/0.95という感じですね
少し分かりやすく言えば、ダンパー長さを調整した時
長さ変更分/0.95mmでバネ側のプリ調整を変えないと
プリロードはkg/1.25mmの比で変わってしまいます
このようにセミトレだとダンパー長さを変えると
プリロードが勝手に変わってしまうので
思ったように車高が変わらない人が多いのですよね
プリロードで調整しきれない場合はプリを掛けながら
kg/1.25mm/0.95という計算で
無理やりダンパーを短く調整していくしかないですね
ちなみにダンパー自体もガスが封入されてるので
バネと同じように反発力があるはずですが
あんまり強くないのでそこを合成レートとして
考えるほどではないかなと個人的には考えてます。
※当たり前ですがダンパー自体は減衰装置なので
レートには影響しません