サスペンション独学ノート 2017年まとめ⑫最終回「空力セッティングとの関係」

ようやく最終回です!
細かい部分を追いかければマダマダ詰める部分は沢山ありますが
基礎的な部分から固めて「考察の土台」を作る事を優先しています。

サスペンションセッティングを主に進めてきましたが、
絶対に無視できないファクターが空力です。
もちろん普段から飛行機やグライダーで飛んでいるので「空力の偉大さ」は身に染みています、
僕があまり空力変更を車に持ち込まないのは、、、

あくまでも「速度変化に対する操縦性の補正」として使うのがロードカーの空力だと考えているからです。
そこそこ効かせて美味しい部分だけ使いましょうってスタンスが一番です。

「本気で効いちゃう空力パーツ」って使い方間違えると危ないですし
「適当な空力パーツ」は更に危険です
昔、某高速道路でへし折れたウイングがぶっ飛んできた事ありました、、、、
殺されるかと思った
「適当な部品」を「適当に付ける」と事故を誘発して「立派な人殺し」になりますよ

最初に空力を弄るなら、「リアの揚力を減らす部品」にしなければなりません。

なぜならば、クーペ&セダンの車両形状って基本的に凸形状なので、
「ベルヌーイの定理」を持ち出せば必ず揚力が発生します
実際の空力実験でも揚力が発生していますよね、

しかも、キャビン形状ってほとんどが車の後ろに寄った形状なので、揚力中心は車の後ろ寄り
そこそろ勘の良い方は気が付くと思いますが、
「速度の2乗で揚力が発生するので、高速になるほどリア荷重が減る」=空力的要素で高速オーバーステア化していきます。
最近の車はメーカーが「0(ゼロ)リフト」に仕上げてくるのが羨ましい、、、

この「空力的高速オーバーステア特性を生む最悪のボディ形状」がファストバッククーペ(トランクが無いクーペ)です
有名な実例が2台
1台目は「ポルシェ911シリーズ」
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もう完全に終わってますね(笑)ルーフ形状は殆ど翼型
「空飛ぶ気?」ってレベルです。
もちろん「高速走行しか芸が無い頑固者」ですから 隙無くキッチリ詰めてくるのは尊敬に値します。
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ちゃーんと後ろにでっかいスポイラーやウイング付けてリフト対策しています。
(ただでさえ重心位置的に動不安定なのに、空力でもイバラの道を歩むかなぁ、、、)

カレラ2とかに付いている「電動格納スポイラー」が壊れて動かない状態では絶対に速度出さない方が良いです、
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「職業スピード狂の集団」が必要って判断して付けた部品です、無いと確実にヤバい事になります、、、

2台目は「アウディTTクーペ」
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もう説明しなくてもわかるでしょ、これも同じくルーフが翼断面形状&後ろ寄り
この初代TTクーペはヤッちゃいましたねぇ
初代TTクーペはスポイラーなしのクリーンな「デザイン優先」でリフト対策のスポイラー無しで市販開始
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ディーラーで見たときに「これでリフト対策平気なんだ、、、」なんて思っていましたが

しばらくしたら欧州で高速オーバーステアを原因とした事故続発、
たしか2~3人事故死したかな?
その後、速攻で「リアスポイラー追加とリアスタビライザー変更」のリコール対応となりましたねぇ
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あまりに対応が早かったので「本当はヤバいって知ってたんだろぉ、、、」なんて思っています(笑)

その後のモデルはポルシェと同じ方法「電動スポイラー」が追加されています。
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(もちろんココは弄らない方が身のためです、、、)

以上の事から車の空力弄るならリアの揚力を抑える部品が最優先になります。
フロントスポイラーから取り付け始めると、フロントの揚力が減る=相対的にリアが軽くなるで高速オーバーステア化になります。

最近の高性能車が軒並み電動リアスポイラーを付けるのは、クリーンなデザインと空力要件の両立を目的とします。
流麗なデザインの「大人のクーペ&セダン」に小僧御用達のでっかい後付けスポイラー付けちゃ雰囲気ブチ壊しですから
「使わないときはしまっておきましょう」って(笑)

以上の事から、サスペンションセッティングで低速から中速までをセッティングして、
「速度の2乗で効く」空力を使ってリアの揚力を抑えて高速オーバーステアを抑制します。

ちなみに今取り付けているリアスポイラー&ウイングは少々効き過ぎで、、、
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垂直安定板の効果もあって直進性は良いのですが
「リアを抑え過ぎ、フロントノーマル」で空力バランスが悪く速度を上げるとフロントの接地感が薄くなります。
何事もホドホドが大切ですね
やっぱりフロントとリアでセット開発された空力パーツだから、片方だけはだめですねぇ、、、

フロントも欲しいけどFRPのスポイラーに10万円出せるほど気前良くないので、
フロントは自分で作ります(笑)
フロント部分に関しての空力で「要点となるポイント」は調べてあるので、
後日作って実験する予定です。

リアスポイラーの効果ですが、
リアの揚力減少効果に加えてボディ後ろに発生する渦の中心をボディから後ろ上方に移動することにより
後縁渦の影響が小さくなり、空気抵抗が低減し床下流の流速が増し車両全体の揚力が減少します。

この床下流の増速は実際にリアスポイラー&ウイングを取り付けた後での高速走行時の油温低下に表れました
M3のOILクーラーの空気経路はフロントバンパーのグリルから空気を取り入れて、OILクーラーを通過した後にエンジンコンパートメントを経由して
床下に排出されます。

床下流の流速が上がれば、自然とOILクーラーを通過する空気流が増加して油温が低下します。
小さなスポイラーでもオーナードライバーなら体感できる効果があるのでお勧めです。

リアディフュ―ザーに関しては、E36の床下も気になる部分があるから変更したいけど制約が多くて結構設計が難しそうです。

今のところの考えは、、、
リアアクスル付近から臨界迎え角以下で剥離させないようにスィープアップして
そのまま直線的に引き抜いても面積で稼げそうだけど、あえて市販車らしく最後にバンパーフェイスに向かって可能な限り引き上げる
この引き上げる部分にファウラーフラップを配置して剥離させずに引き上げられればディフューザー効果が望めそうですが

切った貼ったの大改造になっちゃうんだよなぁ、、、
フラップは相当ガッチリ作らないとぶっ飛んでっちゃいそうだし、排気系の熱対策も考えなきゃダメ、、、

結構面倒なことになるし、「ノーマル+αの空力が物を言う速度域」はあまり縁が無いから後回しですね、
しばらくは脳内妄想設計図をいじって遊びます(笑)

さて、、、
ナンダカンダで2017年12月36日 全12話まで引っ張りましたが
これで「2017年までの一区切り」になります。
コレからも理解出来た事を少しずつ書き進めていきたいと思います。
皆様の考察の手がかりになれたら幸いです。

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「サスペンション独学ノート 2017年まとめ⑫最終回「空力セッティングとの関係」」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。

    BMW E39と初代ヴィッツ、R32スカイラインを所有していてそれぞれ役割にあったチューニングをモットーとしてカーライフを楽しんでいる若造です。
    いつものようにネットサーフィンをしていたところ偶然タイラップ氏の当HPを発見し、熟読させていただきました。
    すべてが理論的に考察されていて、自分がこういうことかな?と思っていた理屈がすべて網羅されていて大変驚きました。
    車の、とりわけ足回りに関する巷の情報は自分的に腑に落ちない点が多々あり、(一部の効果がすべてであるかのような広告等)にもどかしさを感じていました。
    (草レースをかじっている人ですらよく理解していないままチューニングにいそしんでいたり、はたまたショップを経営していたり、、、)

    今後一層のご活躍をお祈りいたしております。

    1. 名無しさん
      コメントありがとうございます
      「名無し」は捨てアドレスっぽくて悲しいので 良さそうなお名前お願いいたします。

      僕もまだまだ勉強不足で知らない事だらけですが 色々調べてちょっとずつ勉強を進めています。

      チューニング&ドレスアップ系の自動車雑誌は広告宣伝要素が強いので
      僕はほとんど読まなくなりました。

      やはり高価ですが自動車工学関係の本を教科書にして疑問を解いて進めるのが理想に近付く一番の近道ですね~
      理解しながら仕様変更を進めないと簡単に迷子になっちゃいますから

      間違った方向のセッティングを他の箇所の仕様変更でカバーしようとすると脱出不能の迷宮入りして
      最後はその車が嫌いになって車両入れ替えで同じ事の繰り返し
      って悲しい散財ループに入ります。

      これからも少しずつですが 勉強を進めてUpしていきますので
      よろしくお願いいたします。

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