サスペンション独学ノート 2017年まとめ⑥「ツインスプリングの選定」

サスペンションストロークを確保するための
「ノーマルダンパー長での直巻きサスペンション」は絶対にツインスプリングが必要です。

なぜならば、ノーマルと同じ長さのダンパーに高レートスプリングを組み合わせるので
考え無しに高レート化したり自由長を長くすると、確実にノーマルより車高が上がります。
(まぁ、、、諸元を考えて完成形がイメージ出来れば当たり前の事なんですが)

ツインスプリングにも色々な呼び名がありますが、一番の違いは「レートと密着荷重」

●ヘルパースプリング
ヘルパーjpg
もっともレートと密接荷重が低い「メインスプリング遊び防止」のスプリングで
目標の車高に設定するために、スプリングシートを下げて行って、スプリングが遊んでしまう状況になった場合に用いるスプリングです。
初期設定の場合は4輪全てヘルパースプリング仕様が混乱しないのでお勧めです。

※今更ですが、セッティングの基本は
「変える部分は一か所づつ」です、
複数の箇所を同時に変更すると変更による効果が一つに特定できないので経験値にはなりません

●テンダー(アシスト)スプリング
Tendre jpg
ヘルパーより少しレートと密着荷重が大きいスプリング
レートは3~6kgfmm 密着荷重は100~300kgほど

●プライマリースプリング
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更に高レート&高密着荷重のスプリングで、レートは15kgfmm以上 密着荷重が350kg以上になります

テンダー(アシスト)とプライマリーは呼び名は違いますが
狙いは同じく、変化点(密着荷重)を境としてセカンダリーレートへ移行させる手法で、密着荷重以下の荷重領域でセカンダリーレート(低レート)に移行してストロークを増やします。

このツインスプリングの効果は
●ロール剛性の調整
伸び側レートが低くなるのでイン側が伸びるのでトラクションが抜けにくい
●ピッチ剛性の調整
ロール剛性と同じ理由で、伸びが増えるのでブレーキ時のホッピングによるブレーキロックが少なくなる
●乗り心地の向上
合成レートはメインレートより低くなるので伸び側ストロークが増加
ダンパーが発生する減衰力が
メインレートに対しての減衰率は低くなり
合成レートに対しては減衰率が高くなるので
シングルスプリング仕様では跳ねる減衰力設定でも
ツインスプリングなら合成レート領域で抑えが効くので乗り心地が良くなる

ツインスプリングは良い事ばかりですが、セッティング要素が一気に増えるので、ややこしい事になります

メインレートからプライマリーレートへ移行した時に前後ロール剛性バランスを変えない事がポイントで
この事から
「駆動方式に関わらずリアに組む」のが基本です。
 
僕も「変化点を境にステアバランスが大きく変化しないように組み合わせる事」程度しかわかっていません
「どのような動きを作り出すか」を検討して、サスペンション形式、密着荷重、レートを計算で求めて、
実走テストを繰り返し求めるイメージに寄せる「手探りセッティング」です。

フロントに密着荷重が高いツインスプリングを組み込むと、レート移行点でフロントのロール剛性が高まり
前後バネ上固有振動数バランスが
フロント<リア(入口オーバー 出口アンダー)から
フロント>リア(入口アンダー 出口オーバー)に
荷重により変化するので注意か必要です。
この組み合わせになると旋回後半でオーバーステア傾向が強くなるので巻き込んできます。
(立ち上がりオーバーの特性はペースが上がると踏めなくなってきます)

密接荷重の選択は
密着荷重が1g荷重に対して大きいほどセカンダリーレートの領域が広がるので、シングルレートスプリングの俊敏な運動性は薄れていきます。
ここは実走セッティングでベストポイントを探す部分になります。

4輪ツインスプリングの難しいところは、フロント側のセッティングで、現時点での理解は、
●密着荷重はフロント<リアでロール剛性はリア勝ちを維持
●レートは、セカンダリーレートがフロント<リアになる組み合わせを選んでリア勝ちを維持

フロントの密着荷重を少なめからセッティングを始めればドツボにはハマらないとは思います。
最初はリアにテンダー(アシスト) フロントにヘルパーの組み合わせをオススメします。

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