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2012年ポーランド遠征に出発!!

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昨年に続き、今年もポーランドに旅立ちます
今年は1週間のトレーニングキャンプの後に競技曲技飛行の実戦参加
競技パイロットとしての最初の年になります。
今年のポーランド選手権の成績次第で、2013年度の世界選手権に参戦出来る可能性が出てきます

去年のトレーニングキャンプから約11ヶ月
2012年の大会に向けての日本でのトレーニング、
少しでも不利な条件を減らすための減量(ホントに効くかは??)
平行して1週間の選手権期間で体力負けしないように基礎体力作り、
仕事の休暇取得から、
遠征費用の捻出、
FAIスポーティングライセンスの申請
、、、その他もろもろ
約1年が一瞬で過ぎました。

今年は昨年の”空港毎にトラブルに見舞われる過酷な旅”にならないように
スカンジナビア航空で成田~コペンハーゲン(デンマーク)~ポズナン(ポーランド)の乗り換え1回の快適コース
フライト時間は成田~コペンハーゲンが11.5時間、コペンハーゲン~ポズナンが1時間、半日飛べば目的地です
しかも旅費は燃油サーチャージ込みで往復16万円ほど♪

成田出発便はSK984 A340-300 ETD1140

20日間の長期休暇を許してくれた会社、
日本でのトレーニングをサポートしてくださったRED FOXメンバー各位、
現在のREDFOXのベースである日本グライダークラブ様、
自分の選手権への挑戦を応援してくださる ギナーンジャパン様
多くの方々のご理解とご協力で一介の社会人が競技者として選手権に挑戦することが実現しました。

関係者各位に心から感謝いたします。
事故に気を付け、公式戦での成績を残し無事に日本に戻れるよう努力します。

いってきます!!


日本での最後の練習!!

今日は日本での最後の練習日
最後のフライトから3週間も空いてしまっているので技量の低下が気になります。

曲技飛行は本当に難しい、、、 飛べば飛ぶほど難しさを感じます

習い始めの最初の10回までは、「機体が自分の神経に直接つながっているんじゃないか?」って 感じるほど俊敏にかつ素直に動き、
これ以上は無いと思うほどの一体感を感じます。

もうね、後席の教官の言うことが全部出来ちゃうって思い込むほどです(笑)

まぁ、そんな蜜月の日々もスグに薄れ消え去り、気がついたら全く思ったように飛ばない、、、
ロールの軸は曲がり、ロールしながら旋回しちゃうし、基礎のループすら変な形

何事も「初回限定サービス期間」は短いんですね、、、

1回のフライトでの練習時間はわずかに3分ほど、
100回飛んでもでも、5時間分ですよ!!
もちろん技量としては固まっていないので、技量のブレも激しく上手くなっているのかが感じにくい、
おまけに忘れて下手になるスピードは実に早いんですよね(涙)

とにかく上達の実感が無くても、がんばって飛び続けて少しずつ伸ばしていくしかありません

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日本での最後の練習は4回のフライトを実施、
最初は苦手な背面、背面旋回、ロール、ローリングサークルを飛ぶ

背面はほぼ安定してきたので、よっぽどの事が無ければとっ散らからない程度には仕上がってきたので大丈夫

背面旋回は,旋回に入るためにバンクを取るときは、エルロンの舵角いっぱいにに使ってクイックに入れるけど
旋回から出るためにバンクを起こすときは、キレが無い、、、
背面でのヘディング認識が甘いので入力タイミングに自信が無いのが原因

アクロ科目としての旋回はアクロバティックターンと呼ばれる旋回方法で、通常の飛行機やグライダーが旋回するときのロールとヨーのバランスを保った穏やかな旋回とは異なり、
エルロンを一気に舵角一杯まで入力して最大ロール率で60度バンクを確立してからエレベーターUP入力で旋回させる科目です
エアショーなんかでよく見るパキッ!!と曲がるアレです。

旋回中のバンク角の保持は安定してきました、バンク角が少し浅くなる傾向は変わりなし
まだビビッているんだと思います、、、orz

懸念のロール攻略は今までイロイロな入力を試してきて、ジャッジから見て一番怪しくない見え方の方法に決定
ロールの悪い癖は、なぜかピッチ方向の変移が大きくバレル気味(ロールにループの要素が入る)になってしまう事
原因はロール中のエレベーターポジションって事がはっきりしましたが、満足できる仕上がりには程遠い、、、

ローリングサークル(エルロンロールしながら90度旋回)は、機内から見ればそんなに悪くなさそうだけど、ジャッジの目から見ると
前半の1/2ロールしながら0度~45度旋回のバランスは良いけど、後半の背面から1/2ロールと45度~90度旋回のバランスが悪い
後半は旋回率が高くて先に90度旋回が終わってしまい、直線飛行しながら残りのロールを回っている
原因は背面旋回要素の部分でエレベーターを押し過ぎ、

苦手科目の練習2回の後に、2012年のKnownを飛ぶ
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しばらくシーケンスを離れて基礎練習に取り組んでいたので、数回のイメージトレーニングでシーケンスを確認
Down Line Roll(垂直降下中の90度ロールでの向き変え)で方向を間違えそう、、、
このシーケンスは覚え易いパターンで全て風上に回ればOK
向きを間違えればどんなに正確に飛んでも”0点”ですから、基本的な部分だけど要注意

前半は練習回数が多いだけにリズム良く順調に進む、
フィギュア の1/2ロールと1/4ロールx2で15度ほど軸がズレる、
この軸ズレで精神的に崩れて次のフィギュア キューバン8を忘れて、インメルマンターンを飛ぶ
これで最後の2つは”0点”、、、orz

本番だったら終わってます、、、

しかもインメルマンターンの引き起こしで5.5Gも掛けてエネルギーを無駄にしている
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無駄な揚力は無駄な抗力(空気抵抗)です、、、

気を取り直して最後のフライト
前回の失敗から、シーケンス中にも出来る限りシーケンスカードを確認するようにする
まだ姿勢制御に手一杯でシーケンスカードを見るタイミングが難しい、、、
最後のフライトはシーケンスを最後まで飛び切り、1200mから曲技開始で400mで終了 100m近く高度が余る
フィギュア中でのエネルギーロスが減って高度が余るのは良い傾向です。

このフライトで渡航前の日本での最後の練習が終わりました。
時間と予算を出来る限り詰め込んできたので、”ヤリ切った感”はありますが、
技量的にはまだまだ練習したいです。

”技量的に完成した”なんて思った時点で選手としては”終わり”ですよね


Guinand 耐Gテスト

日本での最後のトレーニングを使って、Guinand S-90スペシャルモデルの最初の耐Gテストを行いました
テスト前の1G環境での日常使用での誤差を計測の後に、トレーニングフライトでGを掛け、
12時間後にもう一度誤差を測り変化を比べます
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最初にこの時計の持つ誤差を測定すると
24時間毎にゼンマイを全巻きして+12秒の誤差 5日 120時間毎に1分進みます。
12時間で+6秒の誤差を持ちます

日曜日の0800に時報との誤差を比べると 
時報+32秒

4回のトレーニングを実施、
このときのピークGは+5.5G インメルマンで不要なGを掛けてエネルギーロスを招いたようです。
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トレーニング終了後、機体を分解してトレーラーに格納
航空日誌とフライトログの整理をしたあたりで2000
時報との誤差を確認すると
時報+38秒

12時間で+6秒は変わらず。

5Gx4回程度じゃビクともしないって事ですね、
初回の耐Gテストはまったく問題無し、
来週からポーランドに一緒に渡り、トレーニングと競技会を通じて2週間の連続テストに入ります。
ギナーンのムーブメントの精度はGに影響されるかがテストを通じて明確になります。


あと1ヶ月しかない!!

7月1日~19日、日本を離れます。
もちろん目的は”Advanced&Unlimted Glider Aerobatic Polish Championships”「ポーランド グライダー曲技飛行選手権」に出場するため
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この先の世界選手権へ進むためにFAI公式戦でリザルトを残す必要があります、
(もちろん出来る限り高成績で!!)

予定としては7月1日に出国して、去年と同じポズナンでポーランドチームと一緒に1週間のトレーニングキャンプを行い
7月10日~15日にポーランド選手権に参戦
7月19日に帰国の予定

いよいよ実戦です、、、

もちろん、かなり追い込まれています。
FOXでの曲技飛行回数も100回を超えてきていますが、”乗りこなす”感覚は薄く、飛ぶ毎に曲技飛行の難しさを感じています。
「FOXに貢いでいる金額が少ない」とか「グライダーはカネだ!!」と敬愛する教官は申しております(笑)

まぁ、、、、ミもフタもありませんが実際に競技ってそうですよね、
同じ才能だとしても「練習量が多く、優れた機体に乗る者」が勝つのは道理ですから
極論として「リザルト=カネ」です。
って事は「ひたすらカネと時間を突っ込めば勝てる可能性が高くなる」って方向で考えましょう(笑)
(君の場合才能にも問題がねぇ、、、って聞こえてきますが、何か? イマニミテロヨ、、、)

「シーケンスをいくら飛んでも進歩が見えない」と感じたので違う方法で技量向上を目指します。
普段の練習の合間の冗談交じりの会話の中で気がついたこと、「ロール系よりループ&垂直系方が簡単に感じている」
「テールスライドやハンマーヘッドはエルロンロールより簡単」なんて冗談半分で言っていた時に気がついたのが、、、

科目の好き嫌いを並べてみると、嫌いな科目の出来がことごと悪い

エルロンロールは1/2~2/2の背面領域がダメ
キューバン8は背面45度ダウンラインの姿勢が嫌い
インメルマンも背面からの1/2ロールでラインが沈む
背面飛行、背面旋回 安定感不足

まぁ、上手く出来ないから嫌いって思っていたのですが、偏りが激しい
背面飛行に対して気持ち悪いとか怖いって感覚があるから体に無駄な力が入ったり、不要な緊張状態になっているんじゃないかと考えてみると
単純に考えれば「背面飛行への馴れと精度の問題」って事です
基礎の部分のレベルが低いって事ですね、、、orz

で、ド直球な解決方法として「背面飛行祭り♪」でした 
いつもと同じく1200mから練習開始、200km/hから1/2ロールで背面に
あとは、ひたすら背面直線飛行と背面旋回を繰り返しBOX内でオーバルトラックを描いたり、360度背面旋回してみたり
速度を変えてみたり、、、

航空機の基礎練習の直線飛行と旋回の背面版です。

数回の飛行を繰り返して体力を削られヘロってきて脱力したときに、技術的ブレイクスルー!!
背面直線飛行でハーネス(シートベルト)とラダーーペダルのつま先ストラップのにすべてを預けるように全身の力を抜くと
-Gにひたすら我慢していた感覚が消えて機体姿勢が安定、
速度も安定して視界も広がり頭上に広がるR/Wが思ったよりゆっくりと流れていく
緊張感も薄れて視界が広がるような感覚

「力を抜けば良い」って聞いてはいましたが
背面飛行に慣れるってコノ感覚なんですね!!
いままで、力を入れていた認識はこれっぽっちも無かったんですが、物凄く緊張していたんですね(笑)

技量的には僅かな精度向上だとは思いますが、精神的には一気に楽になりました。
曲技飛行って考えてみれば通常の飛行状態とは異なる状態での飛行精度を競う事なので
初期段階では「-G環境下でのコントロール能力」が重要だと思います。
この「コントロール能力」は技術的な面より精神的な要素が大きいと思います。
どんな乗り物のコントロールも「恐怖」や「緊張状態」ではまともな判断とコントロールなんてできませんよね、、、

残り少ない日本での練習を上手に使って少しでも上位を目指します。
S井教官と話した基本戦略は、、、「10点満点を目指しての精度」より「フィギュアを確実に飛んで0点だけは避ける」方向
「せめて赤点取らずに進級することを目指しましょう」って事ですね、、、orz

とにかく、、、ビビッてます


妻沼グライダーフェスタ 無事終了

3/3の妻沼グライダーフェスタでのRED FOX2のデモフライトは無事成功となりました
前日の夜まで雨が続き、前日の機体陸送後の機体組み立てと練習フライトが当日の朝にズレ込み、
午前中のスケジュールが詰まりストレスの掛かった運航状況になりましたが、素晴らしいデモフライトを披露することが出来ました。
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何とか天候は回復、、、ほっと一安心

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早朝から機体を組んで準備を進めます

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デモフライトならではのスモークシステムを取り付けます

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両翼に特大煙幕花火装着!!

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デモフライトパイロットは世界選手権9位の梶 智就さん
離陸前のチェックが終わり、曳航機を待つ一瞬
一気に集中力を高めます

コンペスタイルの普段のトレーニングとは違う、梶さんとスモークを引くFOXの”魅せるアクロ”は優雅さとエネルギーに満ちた曲技専用グライダーならではのフライト
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僕の”町内会盆踊りアクロ”とはレベルが違います、、、orz

特に歓声が上がるのは動きの大きいスナップロール系、今回は空域による高度制限でキャンセルになったラムシェバックなんかは更にウケが良さそうです。
圧巻なのは280km/hでのローパスからのインメルマン、
地上数メートルを280km/h近くでパスして7G近くで引き起こして1/2ループ+1/2ロールで反転
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最後のインメルマンの連続写真です、強烈な引き起こしのGで翼がしなっています。
このFOXの写真は航空写真家の山さんから頂きました、
これでも画質はかなり下がっているんです、出来が違いますね、、、

風切り音を引きながらインメルマンで駆け上る
普段、FOXで飛んでいても、、、思うことは単純 「かっこいい、、」(笑)

「グライダーは滑空して降下する」って紙飛行機的な漠然としたイメージしか持たない方には衝撃的な光景だったようで
聞こえてくる言葉は「エンジン無いのに垂直に昇ってる!!」とか「飛行機のアクロバット並みにできるんだ!!」、「ジェット機みたいな音がする!」などなど、、、

フライトが終わってブースの隣で地上展示と写真撮影&サイン会に移ると、、、
機体清掃もままならない程の大盛況、この熱気は高校の時の文化祭を思い出します
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梶さんは取材、サイン、写真撮影にひっきりなし
(意外なほどのサービス精神を見せて思わずチーム全員が驚く(笑))

豊富な知識と人当たりの柔らかさなHさんがコクピット担当してお父さん&子供への機体説明とコクピット体験
僕の周りははじいちゃん&ばあちゃん(笑)

お昼ごはんを食べる事すら忘れ、気が付いたら夕方で機材撤収、
東海大学航空部の方々に機体清掃を手伝っていただいている間に落ち着いて遅い昼食を取ることが出来ました、

コレはとても助かりました、、、、ありがとうございました。

今回のイベントを通じて、Web等のヴァーチャルな情報ではなく、リアルでグライダーアクロを感じて存在を知っていただき
少しでも日本にグライダーアクロを根付かせる基盤を整え、将来のグライダーアクロパイロットの種を撒くことが出来たはずです
僕の場合は幸運にも(笑) FOXのアクロを見た初日に体験搭乗してGを喰らい精神的、肉体的に衝撃を受けてオチた訳ですから
やはり実物を見て感じてもらうのが一番だと思います。

今後も機会ある度に「グライダーアクロの魅力」と「曲技飛行への入り口」を伝えていきたいと思います。

今の日本では数千人、数百人に一人かもしれませんが”変わった鳥”は確実に日本の何処かに居るはずですから

最後になりましたが、
関係者各位のご尽力により素晴らしいデモフライトを安全に滞りなく実施できました
チームの一員として感謝申し上げます。

ありがとうございました。