前回で旋回出来るようになったので、
上昇&降下、左右旋回
ついに自由に飛べるようになりました!
旋回は
エルロンで主翼の左右揚力差を作り機体をバンクさせることにより
揚力から水平分力を得て旋回力を作ります!
バンクすることにより不足する揚力はエレベーター操作により迎え角を増やして揚力を増し高度を維持
迎え角を増やし揚力を増やすことで、同時に増える抗力(空気抵抗)には推力(エンジンパワー)を増すことで大気速度を維持します。
単純な水平旋回ですが、機体に働いている力のバランスが変わるので結構細かく調整が必要なんです。
こんな風に書き連ねるとなんだか難しそうですが、
ちょっと練習すれば誰でも飛ばせます(笑)
航空機の操縦の本当の難しさは「操縦技術」ではなく「状況認識と予測に基づいた判断」です。
さて、「旋回のお作法」で、扱う操縦系統は
・エルロン=主翼左右揚力バランス(バンク角)のコントロール
・エレベーター=ピッチ(主翼の迎え角)のコントロール
・スロットル=エンジンパワー(推力)のコントロール
でした。
「で、、、ラダー(方向舵)って何してるの?」ってお話です。
<ルフトハンザのしっぽ>
ラダーは、垂直安定板の後ろについている操縦舵面で
垂直安定板 + 方向舵 = 垂直尾翼になります。
ラダーは足のペダルにより操縦するので「蹴る」「踏む」って表現されます。
右のペダルを踏めば機首が右に偏向し、左のペダルを踏めば機首が左に偏向します
つまり機体のヨーをコントロールするのがラダーです。
外見から「船舶の舵っぽくて、実に旋回しそうな感じ」がしますが、
ラダーで旋回するのは出来ないことは無いけどカナリ大変です。
飛行機が水平飛行中にラダーを踏むと
機首が偏向した後にゆっくりと機体がバンクします。
これを操舵から機体の動きまで並べてみると
①右のラダーペダルを踏む
②方向舵が右へ動く
③垂直尾翼に右向きの揚力が発生する
④重心まわりに、上から見て 右回りのモーメントが発生して右へ機首を振る
⑤右に偏向することにより胴体から右向きの揚力が発生、同時に推力が相対気流に対して偏向し求心力が発生して旋回する
⑥機体が右に偏向することにより後退翼では
旋回外側の翼の翼幅が長くなる事になり、
旋回内側の翼の翼幅は短くなる事により
左右揚力バランスが変化しバンクする
上反角も同様に
旋回外側の翼は偏向により翼幅方向での迎角が増す事により揚力が増し
左右揚力バランスが変化しバンクします。
この操舵をバンク角90°で行って推力を増して、
胴体揚力と推力偏向による揚力成分で飛ぶのが「ナイフエッジ」ですね。
曲技科目は今度にしましょう、、、
脱線どころか暴走します(笑)
では、、、改めて、
普通の飛行機が旋回するときにラダーを使う理由(原因)はエルロンにあります。
エルロンは主翼の左右についていて左右が逆に動いて左右の揚力バランスを変化させています
イラストだと機体を後ろから見ているので
右エルロンが上がり、左エルロンが下がっています
右の翼の揚力が減り、左の翼の揚力が増して右にロールモーメントが発生しています。
この時に、、、もう一つ変化しちゃうのが抗力(空気抵抗)で
右の揚力が減る=右の抗力(空気抵抗)が減り
左の揚力が増す=左の抗力(空気抵抗)が増します
つまり右に旋回させようと右にバンクさせると、左にヨーが発生してしまいます。
飛行機&グライダーは実に天邪鬼でわがままでツンデレな乗り物です、、、
ときどき「ソッチじゃねえよ!!」って言いたくもなります(笑)
この「あっち向いてホイ」的な面倒な挙動は
「adverse yaw(あどばーす よー)」って言われていて
右バンクの際に生じる左ヨーにたいして右ラダーでカウンター入れて不要なヨー運動を押さえ込み
相対気流に対して機軸を合わせで滑り(Slip&Skid)をなくします
これが基本的なラダーの使い方。
旋回中にヨーバランスが崩れると不快な横Gが発生するので乗り心地に直結しますし、
パイロットの操縦負荷も高いので大型機では「ヨーダンパー」と呼ばれる半自動操縦が組まれていて
自動的に操縦されます。
もちろん小型機やグライダーにそんな便利なアイテムは無いので、
パイロットは文字通り「手足を駆使して、自分の手足のように機体を操ります」
「相対気流(空気の流れ)と機軸をどうやって合わせてるんだ? 空気の流れが見えるのか?」って?
機体の相対気流と機軸のズレを見る計器は2種類あります
1つは「滑り計」(通称ボール)
湾曲したガラス管にケロシンを満たしてボールを入れた計器で
原理は簡単で相対気流と機軸がズレて「滑り」が発生すると、
求心力と遠心力のバランスが崩れ、機体に働くgの向きが機体の垂直軸から傾きます、
この傾きを表示して滑りをパイロットに表します。
計器の見え方と修正方法は、
・ボールが旋回の内側にズレたら、旋回内側のラダーを踏む
・ボールが旋回の外側にズレたら、旋回外側のラダーを踏む
この修正操作は「ボールを蹴る」って呼ばれます
もう一つは「毛糸」
これは実にシンプル、キャノピーに機体の中心軸に合わせて吹流し毛糸をテープで貼り付けます
これでダイレクトに相対気流の流れが見えるので、機軸に対して左右に傾けば「滑り」が生じていることになります。
毛糸の傾きと修正操作は
・毛糸が旋回の外側に倒れたら、旋回内側のラダーを踏む
・毛糸が旋回の内側に倒れたら、旋回外側のラダーを踏む
この修正操作は「毛糸が指したラダーペダルを踏む」です。
計器の精度としてはボールに比べて毛糸の方が遥かに敏感です。
ラダーによる滑りの修正はとても重要で、僅かに滑っているだけで抗力(空気抵抗)が一気に増大するので
L/D勝負のグライダーは特に丁寧な操縦が必要になります。
(だからグライダーは毛糸が付けられています)
また、ラダーを使って機体を滑らせる事で抗力(空気抵抗)が増加する事を使った操縦方法として
着陸進入時にラダーを使って機体を滑らせて、カウンターエルロンで機体を傾けて進路を維持してL/Dを下げて
着陸進入角度を増やす「フォワードスリップ」
エルロンで機体をバンクさせて、旋回しないようにカウンターラダーを使って機軸を保ったまま平行移動させる
「サイドスリップ」
などの応用があります。
ラダーは機体のヨー軸の舵で、
「機体の滑り」をコントロールしています。
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