ダンパー減衰力の計算方法

今回は「ダンパーの減衰力設定の基本的な計算方法」です。

減衰力の設定方法の大筋は「バネ上重量」と「スプリングレート」を用いて計算で基本となる値(臨界減衰)を求めて
車両のキャラクターに応じた係数を掛けて減衰力を設定します。

まずは基本となる「臨界減衰値」とは!!
ダンパーの無いスプリングが振動した場合、まったく振動減衰が無いので無限に振幅運動を続けます。
実際はスプリング自体の減衰(運動を熱に変換)、空気抵抗等により振幅運動は収束しますが、、、、

この無限運動状態に対して
ダンパーを取り付けたスプリングはダンパーの減衰力で振幅運動が減衰します。
この振幅運動が1発で収まる(縮んだスプリングがジワーッと伸びて自由長でピタッと止まる)状態が臨界減衰になります。

この臨界減衰状態をバネ上重量とスプリングレートを用いて計算した値が”臨界減衰値”になります
計算方法は
1/2軸重量(1輪あたりで計算する為) = A
ホイールレート = B

臨界減衰力(1m/sec)=2√BxA
ってたったこれだけ、、、

単位系の換算があるので実計算してみると
1/2軸重量(1輪あたりで計算する為) = 381kg
ホイールレート = 1.87kg/mm
単位換算 kgmmからNmに変換
1N = 9.80665kg
1/2軸重量(1輪あたりで計算する為) = 381kg x 9.80665 = 3736.33N
ホイールレート = 1.87kg/mm x 9.80 x1000(mm→m) = 18338.4Nm

この数値で計算すると、、、
臨界減衰力(1m/sec)=2√18338.4 x 3736.33
臨界減衰力(1m/sec)=16555N

イメージがつかみやすいkgに戻すと
臨界減衰力(1m/sec)=16555N / 9.80665 = 1688.16kg

次にダンパー特性を示す代表的なピストンスピードの0.3m/sec時における臨界減衰力を計算
臨界減衰力(0.3m/sec)=1688.16kg x 0.3
臨界減衰力(0.3m/sec)= 506.45kg

この数値が基本値になります。
「ギャップ通過をストロークを1発で収めるネコ脚」なんてイメージ先行で臨界減衰力でダンパーをオーダーすると、まったく動かないガチガチになります(笑)

「猫脚」って言われる脚の僕のイメージは、、、、
①ストロークが長く底付き&伸び切り感が無い事、
②重心位置とトレッド、アンチロール、アンチダイブジオメトリーでロールとピッチを抑えた動き
(スタビライザーやスプリングレート、ダンパー減衰力は最低限)
って漠然としたイメージで、、、、

あぁ、、、また脱線した
本線に戻して、

ダンパーが数回ストロークしてエネルギー減衰するように係数を掛けてキャラクターを作ります
この設定係数は減衰率(C/Cc)で表し
ファミリーカー 30%付近
スポーツカー 40%付近
サーキット仕様 50%付近
に設定するようです。
イメージとしては数値を感じたまま、
減衰率(C/Cc)が高くなるほどダンパーの抑えが効いてくるのでソリッドでシャープな動きになりますが
路面をそのままトレースする傾向が強くなるのでもちろん乗り心地は悪化します。

一概に%だけではどうも難しいようで、減衰率(C/Cc)が低めのスプリングの特性が出る仕様の方が動きに軽快感が出てくるのでヒラヒラと動きますし
柔らかめ(固有振動数低め)のスプリングにC/Ccを高めに設定すると落ち着いた雰囲気になってきます。

要は固有振動数の設定値との兼ね合いですね

高C/Ccはガチガチになりますし
低C/Ccはストローク感が大きく姿勢変化が大きいファミリーカー
ってイメージで良さそうです。

次に臨界減衰力に自分の用途に合ったC/Ccを掛けてダンパーの0.3m/s時の減衰力を設定します。
今回はファミリーカーとスポーツカーの中間を求めるとして
C/Cc = 35%で設定

減衰力(0.3m/sec)= 506.45kg(臨界減衰力) x 35%
減衰力(0.3m/sec)= 177.26kg

この値が設定するべき減衰力の総量で、これを伸び縮み側に振り分けていきます。
この177.26㎏の減衰力を縮み10:伸び90で割り振るのか、縮み40:伸び60で割り振るか、、、
この振り分けはダンパーチューナーの考え方が反映される部分でしょうね、、、

基本的に縮み側減衰力を低めにすれば脚の入りが良いので乗り心地が良くなる反面、
外脚の踏ん張り感が薄れるので「腰砕け感」と「突っ張り感」の間の好みを探る事になります。

伸び側減衰力はイメージ通りのスプリングが伸びるスピードをコントロールするので、ピッチングスピード制御に用います。
伸び側減衰力を高めればピッチング&ロールスピードが抑えられ安定してきますが、
姿勢変化スピードが下がるので敏捷性は下がります
(度を過ぎると切り返し時にロールの切り替えが追い付かなくて車が重く感じます)

ココまでが基本的なダンパー減衰力の設定方法、
車重とスプリングレートから臨界減衰率を求め、
使用用途に応じた減衰率により減衰力が決まり、
伸び縮みの減衰力振り分けがダンパーチューナーの味付けになりますね
ただし、この計算は単純にレバー比無しでダンパーが垂直に取り付けられているモデルケース
実車での設定は、ダンパーの取り付け傾斜角によるACFやレバー比を織り込んだ計算になります。

ややこしいけどエクセルで計算式を作り込んでいけば、少しずつですが理屈が見えてきます。
もう少し調べてみます。

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「ダンパー減衰力の計算方法」への2件のフィードバック

  1. いつも参考にしております。ところで、臨界減衰を出すときに、ホイルレートとして出す件ですが、ダンパー上下ブッシュは計算に入れられてますか?私は減衰できない成分なので入れてませんが、バネ上目線で言うと、もしブッシュが軟らかいと、ダンピングできない振動成分があることになりますよね。臨界減衰および減衰比の限界なんでしょうか。

    1. コメントありがとうございます

      ダンパーの減衰力を設定する時にはダンパーマウントブッシュは計算に入れません
      入れるには少なくともブッシュの緒元を調べる必要がありますし、その緒元はメーカーにしか存在しません

      ダンパーストロークとゴムブッシュのストロークを比較すればイメージできると思いますが
      80~150mm以上のストロークのダンパーと稼働範囲上下約5mm程度のゴムブッシュは役割が異なります

      僕の作り方ですが
      ダンパーはバネ上の応答速度と運動の収束、ブッシュは最後の乗り味調整に使います。
      ダンパーの減推力より柔らかいゴムブッシュは稼働範囲の上下5mm程度をフリーに動かし路面からの入力を吸収します
      これにより数mmの小さな入力やロードノイズを吸収してNHVを改善して滑らかな乗り心地を作れます。

      逆に、
      ピストンスピードが遅い領域からキッチリと減衰力を立ち上げるダンパーに高ホイールレートの組み合わせのサスペンションの場合は
      ゴムブッシュの稼働範囲は「制御できない死んだストローク」になってしますので、
      ダンパー上下ともスフィカルジョイント(ピロボール)での支持を選択します。
      この領域を狙うなら乗り心地がドウコウって考えを持ち込む方がナンセンスですのでNHVは切り捨てます
      実際にゴムブッシュ領域で細かいピッチングが目立ちますし

      ゴムブッシュとスフィカルジョイントの中間を狙うのが強化ブッシュです。
      基本的にホイールレートとブッシュ硬度は比例関係になり
      ホイールレートに対して固めすぎるとNHVが悪くなり、柔らかいと細かいピッチングが気になります
      ブッシュ領域の数ミリのピッチングが気にならない程度まで様子を見ながら強化ブッシュで固めます。

      「臨界減衰」とか「減衰比」はダンパーの仕様を決めるための単なる指標でしかありません

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