15日から板倉入りしてトレーニングキャンプ後半に参加しました
ところが、、、
15日の天候は下り坂、レーダーの降雨画像の移動を見ただけでもお昼頃から振り出しそう
10時から準備を始めて機体組立てから外部点検、曳航機の準備をすると、、、どんなに急いでも11時過ぎ
その間にどんどん雲は低くなるだろうから、、、無理ですね
15日は残念ながら運休になり、クラブルームで近況報告や飛行機話、
空力やエンジンネタだけで一日過ごせるって幸せですね~
16日は教科書に出てくるような見事な西高東低の冬型の気圧配置、天候は回復しましたが、朝から強烈な北西風
機体を組み立てて風が収まるまで地上待機の方針
風速10m/sの風の中での機体組立は本当に大変でした、
とにかく物が大きいだけに翼を組み立てるだけでも注意しないと機体を壊すし怪我もする
しかも、、、5℃程度の外気温で10m/s以上の風が吹くと 体感温度は氷点下
組立が終わる頃にはさらに風が強くなってきて、機体を地上係留で押さえつけておかないと吹き飛ばされそう、、、
地上係留してクラブルームに戻って風速を見ていると、瞬間最大風速22m/s!!
時速80km/hですかぁ、、、、風に正対させれば浮き上がりますね、、、
さすがに時間が経つにつれ低気圧が東の海上に離れていくので風が弱まり 1500頃には風速10m/sまで弱まったので、
急いで準備して2フライト
海外からトレーニングに来場している高木さんを優先的に飛ばして16日は撤収
合宿最終日の17日は風も弱まり朝からフライト開始
参加メンバーの搭乗分を順調に消化して、いよいよ自分のフライト
今回は梶さんと一緒に飛べるので、2014年のアンリミテッド参戦のために、アンリミテッドフィギュアに初挑戦
中でも難易度の高いスナップロールとローリングサークル、苦手意識イッパイのアウトサイドループに挑戦です。
スナップロールとは、エルロンを使ったロールとは異なりエレベーターで急激に機首を引き起こすことにより失速迎角を超え、
同時にラダーを任意の方向に入力することにより、片翼失速に持ち込み揚力&抗力バランスを崩して回るロールで
外から見ていると機首が上がった瞬間に内側の翼を引っかけるように一気に回ります。
「片方の翼だけを力任せに気流を引き剥がして回る」姿勢変化の激しいロールです。
これが非常に難しい、動きが早く慣性が大きいので任意の角度に止めるのは至難の業、
引き起こしが大きすぎるとディープストール状態に入りスピン状態が止まらなくなります。
「高速道路を走りながら、サイドブレーキで1回転スピンさせて、何事もなかったように走り続ける」って感じでしょうか?
世界選手権のトップクラスの選手でも成功率は95%程、
もちろんスナップロールもポジティブG(エレベーターを引く)とネガティブG(エレベーターを押す)があります。
ローリングサークルは、エルロンロールをしながら旋回する不思議な動きのフィギュア
しかも今回はアウトサイド側の練習なのでロールと旋回方向が逆になります。
つまり右にエルロンロールしながら左旋回する、、、混乱しそうです。
右エルロンロールに入れつつ、左ラダーで機首を振り
バンク45度あたりからエレベーターをDownさせて旋回させつつ 左ラダーを戻し
バンク90°でラダーニュートラル
バンク135°あたりからエレベーターを戻しつつ、右ラダーで旋回を継続
バンク180°(背面)で45度旋回
バンク225°あたりからエレベーターUPで旋回させつつ 右ラダーを戻し
バンク270°でラダーニュートラル
バンク315°あたりからエレベーターを戻しつつ、左ラダーで旋回を継続
バンク360°で90度旋回、で科目完了
手足の動きはことごとくバラバラなのに最初から最後まで連続変化
なんてややこしい、、、、
アウトサイドループは外側にGが掛かるループ、
水平飛行からエレベーターDownで下向きに描く方法と
背面飛行からエレベーターDownで上向きに描く方法の2種類
今回は比較的恐怖感の少ない背面から上向き方向に挑戦です。
これが怖いんですよね、、、
-Gで頭に血が押し込められるし、ループ頂点から下る時は地面めがけて頭から突っ込んでいくんですから、、、
エネルギーロスが大きい科目ばかりなので、普段より高く昇って1500mから練習開始、
45°降下姿勢140km/hから一気にスナップロールに入る、
スティックを斜め左に引きGが高まると同時に左ラダーを蹴る、
左の翼から「ババッ!!」と空気が引き剥がされる音を聞いた瞬間に一気に左に持っていかれる
旋転の早さに飲まれながら慌てて停止操作をの逆ラダー入力とエレベーターDown!!
なんとか止まったけどエレベーターDownが強すぎて体がハーネスに釣られる、、、
続けてネガティブスナップロールに入るためにループの頂点から背面45度で降下、
140km/hからスティックを斜め左に押し込み、右ラダーを蹴る
一気に-4Gでハーネスに身体が釣られた瞬間に、ズドッと翼から気流が剥がれて左旋転
なんとかネガティブスナップは形になった、、、
この組み合わせを2回繰り返して高度をチェックしたら、すでに1000m
スナップ4回で、一気に500mを失っている !!
スナップロールは姿勢変化が大きく早いので決まると気持ち良いフィギュアです!!
高度損失が早いので立て続けに背面飛行に入り250km/hまで加速、
姿勢を安定させたところで、気合を入れてスティックを押し込み背面状態からループを駆け上がる
-Gが掛かりハーネスが身体に食い込み全身の血が逆流するような感覚を受けながらGメーターに視線を走らせると
-4Gチョットを指しているので初期段階はOK
この時点でエネルギーマネージメントは半分イタダキ♪
速度を高度に変換しながらループ頂点に近づくにつれ-Gも弱まってきて、ループ頂点では-1G 110km/h程
適正な速度を確認しわずかに水平状態を修正して、恐怖の下半分に突入
ループの円が折れないように静かに操縦桿を押し込み地面めがけて頭から突っ込んでいく
垂直降下から先の1/4ループで一気に-Gが強まるけど、ここでエレベーターDownを緩めるとオーバースピードで機体破損、地面に突き刺さります。
始めてしまったら絶対に途中で中止できない科目なんです、、、
地平線が視界の上に消えて地上が目の前に広がり、もう一度足の下から現れるまで僅か数秒、、、
思ったより-Gの不快感も少なく、地平線が機首の下から現れ、押し続けていた操縦桿を緩めて背面飛行のピッチに落ち着ける
速度計を確認すると230km/hで安定した背面水平飛行
後席に乗せられてのアウトサイドループは-Gをひたすら我慢するだけのキツイ科目ですが
初めて自分の操縦で-Gを感じながら目の前に広がる地上が頭上に向けて流れていくのを見ていると、
「自分の世界が広がっていく」ような開放される感覚を覚えました、
垂直降下から「操縦桿を引く」事しか出来なかった自分の操縦可能領域が「操縦桿を押す」事が出来るようになり、限界解放されたのが嬉しいです!!
スナップロールとアウトサイドループが練習科目に加わった事でFOXの本当の姿が少し見えた気がします。
飛べば飛ぶほど世界の広さと深さが見えてきます。