適切なスプリングの選定方法を考える② 設計による特性の違い

前回の適切なスプリングの選定方法で自分の使い方に合ったスプリングレートは求められるようになったので
次は自由長とスプリングの設計をカタログから読んで選びます

同じメーカー製の自由長が長いスプリングと短いスプリング、同じレートでも乗り心地が変わります。
メーカーを変えると、同じレート、同じ自由長でも動きが変わります。
この特性の違いを考えてみました

スプリングの場合、特性のほとんどは設計で決まります。
同じ10kgfmmのスプリングでも2極の設計が可能です。
① 細いスプリング鋼を短く使う設計
② 太いスプリング鋼を長く使う設計
どちらも線径と線長を調整する事で同じ10kmfmmを作り出せるのがイメージできますか?

コイルスプリングは一本のスプリング鋼線をコイル状に巻いて捩じり方向に使っていてトーションバーの省スペース版
それをがーっと伸ばしてみると、細くて短いスプリング鋼と太くて長いスプリング鋼の丸棒2本になりますよね

この同じ材料の2本のバネ、同じ10kgfmmでも何が違うか?
先ずは同じ材料だと吸収できる荷重が違うのがイメージできますよね
荷重を与えていくと「細く短い」方が少ない荷重で限界を迎えてぐにゃっと曲がってゴミになります
この限界荷重がスプリングの性能表の耐荷重です。
これは「太く長いスプリング=スプリング鋼を多く使う=重いスプリングの方が大きな荷重を支えられる」事を意味します
「同じレートでより大きな荷重を支えられる=ストロークが大きい」とも言えますね

次に、チョイと指で弾いてみましょう
「細く短い」は、ビーン♪って高音=速い周期で振動しますよね 「固有振動数が高い」ってことです
「太く長い」は、ぼーん♪って低音=遅い周期で振動します「固有振動数が低い」って事です
これは、伸びるスピードの違いを表していておなじ10kgfmmのスプリングでも
「細く短い」バネは速く伸びて、「太く長い」バネは遅く伸びる事を表します。

この伸びるスピードの速い、遅いは乗り心地に直撃して
スプリングはストロークする事で一時的にエネルギーを溜め発散させる部品なので、材料体積の大きい=重いほうがより余裕をもってエネルギーを吸収しゆっくりと発散できるので
同じスプリングレートでも巻き数の少ない(短く細い)スプリングよりも巻き数の多い(太く長い)スプリングのほうが乗り心地が良くなります

つまり、同じスプリングレートでも「線長が太くて長いスプリング=耐荷重が大きく重いスプリング」を採用する事でバネ上固有振動数は変わらず運動性は維持した状態で、乗り心地を改善出来る事になります。

実際のセッティングでプリロードによりダンパー1G位置を調整した結果、底付き&伸びきりを回避出来たけど、ちょっと跳ねたり固く感じる場合や車の動きをマイルドな方向に躾けたい場合は重いスプリングに交換すれば解決できます。
この場合、自由長を長い物に交換する事も視野に入れて、より巻きが多く太い素線の同じレートのスプリングを選択すればOK

逆に多少乗り心地は犠牲にしても、脚の動きを速めて路面追従性を求めるなら、耐荷重と有効ストロークが許す限り「細く短い」スプリングに変更すれば
バネ下荷重が少なくなり速い動きに追従できるので接地性が向上、タイヤグリップが良くなります。
乗り味はスプリングの早い動きを抑えるために伸び側減衰力を高めたよりソリッドでシャープな方向ですので
少ないパワーを無駄の無い運転でミリミリとマージンを削り落とすようなタイプ、ライトウエイトスポーツならこの方向だと思います。

ちょっと脱線しますが、よく言われている「プリロードを抜くためにスプリングの高レート化」を行うと、
バネ上固有振動数が変わる事になり、車両のバウンス特性とロール剛性に影響を及ぼし
特にフロントもしくはリア片側のみの変更の場合、前後ロール剛性バランスが変化してアンダー(オーバー)ステアが強くなる(弱くなる)等の旋回特性に影響を及ぼします

「あれ?なんのためにサスペンション変更しているんだっけ?」な状態で目的を見失ってますよね(笑)

適正なレートは軸重量と固有振動数から求めて
乗り心地重視なら可能な限りスプリング自由長を長く、耐荷重の大きい「太くて長い素線」のスプリングを選び
運動性重視なら最低限必要な耐荷重とダンパーストロークを満足できる範囲で可能な限り短い自由長かつ耐荷重の少ない「細くて短い素線」のスプリングを選ぶべきだと思います。


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