読み物程度の航空工学⑭ 「尾輪式と前輪式って?」

読み物程度の航空工学⑭ 「尾輪式と前輪式って?」

今回は飛行機の着陸脚を見てみましょう
ランディング ギアとかアンダーキャレッジって呼ばれてるヤツです
ざくっと分類すると、、、

・二次大戦までのレシプロ機やハスキー、パイパーカブ等の不整地運用を考慮した小型機などが「尾輪式」
DSC_1604

・二次大戦以降のジェット機など、舗装滑走路を前提として近代飛行機が「前輪式」
640x640
って感じですね

この尾輪式と前輪式の飛行機の一番の違いは、重心位置に対する車輪の配置で
重心位置に対して主輪が後ろにあるのが「前輪式」
重心位置に対して主輪が前にあるのが「尾輪式」
前輪式と尾輪式

どちらも大差無いように思えますが、、、、
「前輪式」は正しい設計で「尾輪式」は乗り物としては致命的な欠陥設計なんです
なぜ尾輪式がダメダメなのかは重心位置と転がり抵抗が発生する車輪の位置関係を見ると一目瞭然で

「前輪式」は
「前輪式」は重心位置が抵抗となる主輪の前方にあり
抵抗を生じる主輪が重心位置より後方の左右に対に存在する事です。
前輪式の復元力
この配置で慣性を付けて地面を転がしてみると、左右主輪の転がり抵抗にアンバランスが生じても
重心がより抵抗の大きい側の主輪(作用点)を引く力が生じるので自律安定します.

消しゴムに紐をつけて引っ張っているイメージですね
消しゴムを引っ張る
つまり、自立安定している「アンダーステア特性」の正しい設計って事ですね

「前輪式」に対して「尾輪式」は重心位置が抵抗となる主輪の後方にあり
抵抗を生じる主輪が重心位置より前方の左右に対に存在する事です。
この配置で慣性を付けて地面を転がしてみると、左右主輪の転がり抵抗に僅かでもアンバランスが生じると
重心が抵抗の大きい側の主輪(作用点)を軸に巻き込む動きが始まり、作用点を追い越しスピンします
尾輪式の不安定要素

消しゴムを押して進んでいる状態で、バランスを崩すとその場で回ってしまいます。
消しゴムを押す
この急激な地上滑走中のヨーイングからのスピンは「グランドループ」と呼ばれていて「尾輪式」飛行機の地上滑走中事故の多数を占めています

つまり、、、「尾輪式」は乗り物の設計常識としてあり得ない安定性が負に設計されている「オーバーステア特性」で立派な欠陥品って事です。

さらにピッチ方向で見てみると
「前輪式」は重心位置が主輪の前方にあるので
着陸時は”フレアー”と呼ばれる「引き起こし操作」で降下率を減らして機首を持ち上げた接地姿勢を作り接地(タッチダウン)させると
重心位置の後ろの主輪から接地するので、主輪を軸として降下率が機首下げモーメントとなり
自然と機首が下がりAoA(迎え角)が減少し、揚力が少なくなり着陸が容易になります。
前輪式の着陸
つまり、適正な降下率で接地させれば飛行機が勝手に機首を下げて安定した着陸してくれます。
前輪式着陸

「前輪式」に対して「尾輪式」は重心位置が主輪の後方にあるので
重心位置の前方の主輪から接地するので、主輪を軸として降下率が尾部下げモーメントとなり
結果として機首上げになりAoA(迎え角)が増え、揚力が増して浮き上がろうとします。
これは適正な降下率かつ失速速度付近の低エネルギーで接地させれば着陸可能ですが
失速速度より速い速度の「エネルギーを持った状態」で接地すると、機首上げ作用によりAoA(迎え角)が増して大きくバウンドしてしまいます。
尾輪式の跳ねる理由
このバウンドを上手く処理してエネルギーを減衰させ、且つ適切な降下率で接地させれば着陸できますが、
バウンドとパイロットのピッチコントロールの周期が合わないとバウンドが発散して最終的に機首から地面に突っ込む「ポーポイズ」に至る事もあります。


尾輪式でバウンドからポーポイズって色々探したんですが良い実写参考映像が見つかりませんでしたので
シミュレーター映像をお借りしました。
イイ感じで跳ねてますね、、、、

ポーポイズは前輪式の飛行機でも発生しますが、尾輪式飛行機は持ち前の「不安定要素」から「速度余りの状態」でバウンドが始まるとポーポイズに陥る可能性が自ずと高くなります。
かなり無理に降ろしてブッ壊してますねぇ、、、

以上の事から、尾輪式は着陸の基礎的な部分「適切な降下率と接地は失速寸前の低エネルギー状態」を厳守しないとバウンドが始まり
接地後も完全停止まではオーバーステア特性でフラフラとスピンしやすい地上滑走を、スピンしないようにバランスを取りながら減速していく必要があります。
ただでさえ飛行から地上滑走への「意図的な穏やかな地面との衝突」を作る丁寧な着陸操作で、さらにピッチ&ヨーの2軸が不安定になるって事です。

普通の肌感覚を持つパイロットが初めての尾輪式飛行機の着陸で「コレはヤバい、、、」って感じるのは
正しい感覚で「機体の不安定要素」を感じ取っているんだと思います。

じゃあ、、、なんでこんなダメダメな尾輪式を採用するのか?って
「最初に1機作ってダメだって理解したなら前輪式に変更すれば良いでしょ!!」って、、、
まぁ、確かにそうなんですが
尾輪式を使わなきゃならない理由ってヤツもちゃんとあるんですよ~

ブログランキングに参加しています、記事を気に入っていただけましたら
↓クリックしていただけると嬉しく思います。

にほんブログ村 その他スポーツブログへ
にほんブログ村


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です