サスペンション独学ノート 2017年まとめ② 「スプリングレートの選定とバンプラバーの役目」

スプリングレートは以下の要件で決定されます
①車両の用途(街乗り~競技)により基本的なバネ上固有振動数を設定されます

ばね上固有振動数を見てみると
高級車 1.0~1.5Hz
乗用車 街乗り~ワインディング  1.5~2.2Hz
乗用車 ワインディング~サーキット 2.2~2.7Hz
主にサーキット走行  3.0Hz~
になります。

「サスペンションを固く(ばね上固有振動数を高く)してロール&ピッチ変化を起こさない方がタイヤの限界が下がらない」って事で
「サーキット仕様の3.0Hz以上のガチガチに硬い高レートスプリングが速い!」って安直に考えますが

何事にも「限度」って物があります

高レート化は同時に伸びストロークが少なくなり、伸びストロークの減少は「路面追従性」が下がる事になるので
平滑なサーキットでは問題の無い高レートスプリングによるサスペンションでも
絶え間なく路面不正が続く公道では伸びストローク不足により路面値追従性が悪くトラクション切れ等の不安定要素が表れます。

この事から車両の用途によりバネ上固有振動数にはおのずと限界が生じ
これが「用途によるバネ上固有振動数」の大まかな目安の根拠だと考えます。

②ドライバーが求める操縦特性を前後の固有振動数差に加味して導かれます。
(↑現在、フロントメインスプリングのレート変更で実験中)
フロントスプリング仕様変更考察 (ばね上固有振動数変更による旋回特性の修正)
姿勢変化と4輪トータルグリップ③ 「スプリングレート設定を再考する」

※操縦特性は「アンダーステアの強さ」加減で調整されます
これはノーマル車のスプリングレートからバネ上固有振動数を調べると「フロント<リア」の設定になっている事が判り
この事から一般的な操縦特性は「入口オーバー 出口アンダー」に躾けられています。
E36 M3Bノーマルスプリングレートを考察する①
E36 M3Bノーマルスプリングレートを考察する②

前後ばね上固有振動数の設定で
「入口オーバー 出口アンダー」の設定となっていますが
基本的にオーバーステア設定はあり得ないと考えます。
「入口オーバー」の特性は減速時不安定で危険要素ですのでバンプラバーによる姿勢制限を行い安定性を補完します。

減速中のオーバーステア化変動量はノーズダイブによるピッチング量に影響され
フルブレーキング中の姿勢はスプリングレートではなくバンプラバーにより決定されます。

つまり減速に伴う姿勢変化を必要以上に起こさないためにバンプラバーを用いて最終的なノーズダイブ量(=ブレーキングによるオーバーステア化)を調整します。
p1
バンプラバーのくびれ部分やテーパー部分がバンプラバーとして衝撃吸収を担い、
太い本体部分はストローク制限を行う「パッカー」的な考え方です。

注意事項としては
フロントのバンプタッチを嫌って縮みストロークを増やす目的でバンプラバーを短く切ると、
ノーズダイブ量が増え減速中のオーバーステアが強くなり減速中の安定性が失われる恐れがあります。

またバンプラバーの衝撃吸収特性は「バンプラバーの形状と硬さ」によりストロークの止め方(乗り心地)が決まり、
無論、柔らかくて長い(潰れ代が多い)バンプラバーはソフトランディングとなり
短くて硬いバンプラバーはハードランディングになります。
バンプラバーの考え方①
バンプラバーの考え方②

これら上記の理由からメインスプリングとバンプラバーの設定経緯を要約すると
①車両の用途によりバネ上固有振動数を決め、
②前後のバネ上固有振動数を調整して求める操縦性を作り 
③仮定されたバネ上固有振動数にACF&レバー比を織り込みスプリングの固さが決まり
④このスプリングの固さにより走行時のロール量とピッチ量が定まるので、バンプラバーによる最終的なノーズダイブ量の規制で減速時の不安定成分(オーバーステア化変動量)を調整しています。

スプリングレートとバンプラバーの設定を変えて走行中の姿勢変化量と傾向を調整するって事です♪

ブログランキングに参加しています、記事を気に入っていただけましたら
↓クリックしていただけると嬉しく思います。

にほんブログ村 車ブログへ
にほんブログ村

全般ランキング


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です